シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

ブラジルが売られる

ブラジル新政権民営化を加速 ボルソナロ大統領
サンパウロ=外山尚之】1月に発足したブラジルのボルソナロ政権が公営部門の民営化を推進する。第1弾として18日、国内12空港の民営化手続きを進めると発表した。事業規模は35億レアル(約1千億円)以上の見通し。ブラジルでは財政難から公営インフラの投資が滞り、劣化が進む。財政支出を抑え、設備、サービスの質を上げられるとして港湾など幅広い分野にも導入する。
ボルソナロ大統領は北東部、中部、南部の地方空港の民営化案を発表した。ブラジルではビーチが近いレシフェ空港、ボリビア国境近くのクイアバ空港など乗降客が多い空港がある一方、乗降客が少なく採算性が悪い空港が比較的近い地域に立地する。国土が広く、飛行機が市民の“足”として定着しているためで、空港運営が難しい理由となっている。
民営化案では、採算性の良い空港と悪い空港を地域別にまとめて運営させ、効率を上げる。受託した企業は乗降客が少ない空港にも設備投資をしやすくなり、インフラの劣化を防ぎやすくなる。
入札日は3月中旬としており、7月以降に契約を結ぶという。ボルソナロ氏は就任間際に素早く民営化手続きを進めることで、改革派をアピールする。1月には自身のツイッターで4つの港湾を民営化することも打ち出している。老朽化が進みつつある高速道路も候補になりそうだ。
ブラジルはこれまでも空港を民営化してきたが、12もの空港を一気に民営化するのは初めて。同国では独フラポートやシンガポールチャンギ空港の運営会社などが空港運営に乗り出しており、これらの企業が入札に参加するかが注目される。港湾、配送電網などで買収攻勢をかけている中国企業の可能性もある。
民営化の旗と振るのは経済学者出身のゲジス経財相だ。ノーベル経済学賞を受賞した米経済学者のミルトン・フリードマン氏の下で学んだ同氏は、国営企業の民営化、年金支給額の抑制による財政再建などを強く主張する。
20日には年金支給開始年齢の引き上げを柱とする年金改革法案が議会に提出された。ボルソナロ大統領、ゲジス経財相の改革は着実に進んでおり、民営化も急速に広まるとみられる。
今後、政権が民営化に本気で取り組むのかどうかをはかる目安となるのが、前テメル政権下で頓挫した案件だ。前政権は2017年8月、中南米最大の国営電力エレトロブラス、ブラジルで2番目に利用客が多いサンパウロコンゴニャス空港などを候補とする民営化案を発表したが、実現しなかった。
公営部門が肥大化したブラジルでは収益性が高い案件は労働組合などをはじめとする既得権益者が多く、民営化に様々な勢力が抵抗する。こうした難しい案件を実行できるかどうかで、企業や投資家の評価は変わりそうだ。

 

財政難 投資は限界 インフラ崩壊に危機感
サンパウロ=外山尚之】 ブラジルでは財政難からインフラ投資が滞り、トラブルが相次いでいる。高速道路の橋ではヒビが見つかり、国立博物館では火災が起きた。きちんとメンテナンスしていれば防げたとみられ、「インフラの崩壊」と嘆く国民も多い。財政難の原因は2016年のリオデジャネイロ五輪の支出、前の左派政権のばらまきなどが指摘され、立て直しが急務だ。
経済協力開発機構OECD)の調査では00年から17年までの平均で、ブラジルの国内総生産GDP)における公共投資額の比率は1.92%と、OECD加盟国平均の3.51%を大きく下回る。数少ない公共事業費はサッカーW杯やリオ五輪の整備に回され、基礎インフラが後回しにされてきた。50歳代からもらえる年金制度など手厚い社会福祉も財政悪化の一因。民間シンクタンク、ジェトリオ・バルガス財団のブラジル経済研究所のマノエル・ピレス氏は「ブラジルの財政は社会福祉により圧迫されており、連邦政府・州政府とも公共投資に十分な予算を振り向けていない」と分析する。
民営化に対するボルソナロ政権の期待は大きい。しかし、民間の資金とノウハウを頼りにして、財政再建を進めないままでは公共財産を切り売りしているだけだとの批判は免れない。年金改革案をはじめ、抜本的な構造改革ができるかどうかがカギと言えるだろう
日経産業新聞 19年2月27日)

 

スゴイですね。日経新聞社、未だに新自由主義ミルトン・フリードマンの亡霊のような主張をダラダラ連ねる特派員を派遣するなんて。しかも、そのひどい主張を記事にするという大惨事。
ボルソナロ大統領といえば「ブラジルのトランプ」と異名を取り 実際にトランプ氏と仲が良いそうで、旧軍事政権下の人権侵害すら無視するどころか称揚するクソのようなヤツですが*1、そうした問題は見事にスルーし、公共財産の売却を進める態度を褒めそやす始末。
どっかでみたような話でしょう?ミルトン・フリードマンは教鞭を取ったシカゴ大学において、極端なほどの古典的自由主義新自由主義)を、特に中南米富裕層の留学生に振りまきました。通称シカゴボーイズ。その名はチリのピノチェト政権における新自由主義の実験で知れ渡りました。
 
ミッシング [DVD]

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戒厳令下チリ潜入記 [VHS]

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民営化(=公共財産の私物化)と緊縮財政は、チリだけでなく、それを真似たイギリス、アメリカを始めとして世界中で流行しましたが、大体、同じような結果を招いています。大失敗だった、ということ。

 

チャヴ 弱者を敵視する社会

チャヴ 弱者を敵視する社会

 
つまり、緊縮財政による経済停滞と、一般市民の窮乏化と一部富裕層の富の膨張、つまり格差の増大です。日本では現在、大っぴらに緊縮財政が素晴らしい、というバカは減りましたが、巧みに隠ぺいしながら進行中の事態を、堤未果さんは「日本が売られる」と喝破しました。

 

日本が売られる (幻冬舎新書)

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ブラジルでは、それが大っぴらに行われているわけですね。
先ごろ話題になった「ファクトフルネス」でもちょっと触れていますが、ブラジルでの富の偏在はひどいものです。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

このクソのような特派員の記事とは異なり、本当に問題なのはこうした富裕層に適切な課税が出来ないことです。彼らのような富裕層およびそれが保有するコングロマリットこそが真の意味での「既得権益者」なのですが、労働組合を真っ先に既得権益者、に挙げる新聞記者。もう、新聞記者などではなくて、富裕層のケツ舐めでしかありませんね。

 

エスタブリッシュメント 彼らはこうして富と権力を独占する

エスタブリッシュメント 彼らはこうして富と権力を独占する

 

 

今後ブラジル(そして、同様に公共財産が売られる日本)がどうなるかですが、おそらくは経済の縮小は避けられず、中間層が減り、貧困層が増え、人種問題*2も併せて社会不安が募ることになるでしょう。

 

シティ・オブ・ゴッド [Blu-ray]

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その動揺をおそらくは、強圧的に、かつての軍事政権そのままの態度で、抑え込もうとするでしょう。
中南米の特派員というのはどいつもこいつも「シカゴボーイズ」的な態度が気になります。朝日新聞の岡田玄やその前の特派員の田村剛などもひどいものです。
彼らがネグっていることですが、アルゼンチンでは現在、緊縮王IMFに押し付けられた緊縮財政の真っ最中。なのに、政策金利は一時70%、現在でも40%以上、というそら恐ろしい状況です。
 
為替とインフレ率、安定的に推移との見方増える(アルゼンチン)

想像できますか?銀行金利が40%以上で、財政支出が極端に絞られている社会を。おそらく、一般人や中小企業などは資金確保すらままならないでしょう。考えるだけでゾッとします。ですが、そんなアルゼンチンの情報は朝日や日経の紙面には載らないのです。左派政権の時は、さんざん攻撃対象として取り上げていたのに。
ベネズエラもきっとマドゥロ政権*3が倒れ、そして富裕層が推す政権に代われば、ベネズエラ貧困層の話はおくびにも出なくなるでしょうね。今度はボリビアかメキシコあたりが標的になるでしょうか。

 

金で買えるアメリカ民主主義 (角川文庫)

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いい加減、世界中、真っ当な政治を行なうべきなのです。
富裕層から富を取り返して、貧困に苦しむ人々に再分配する。そして、社会福祉や教育、医療に潤沢な予算を付け、安心できる社会を作ること*4。それが今一番必要なことじゃないでしょうか。
では。

*1:銃規制も緩和したそうですし、貧困層への蔑視的態度も酷いものです

*2:ブラジルでは、先住民やアフリカ系、その混血の人々の多くが貧困層です。ヨーロッパ系移民との経済格差は大きいですが、ヨーロッパ系も大半は豊かというほどではありません。よって、今回の選挙に見るような貧困層を突き放すような主張が受けたのです。これは、中南米の各地で見られる構図です

*3:マドゥロ政権を独裁として非難する米トランプ政権ですが、もっと大っぴらに独裁を布いているサウジアラビア等は擁護するわけですから、問題視しているのは独裁でも民衆弾圧でも無い

*4:アメリカではバーニー・サンダースエリザベス・ウォーレン、アレクサンドラ・オカシオ・コルテス、ベト・オルークら、イギリスならジェレミー・コービンら、フランスならメランショに期待しています。日本ではそれを主張しているのが共産党立憲民主党でしょうか

なら、韓国の要求も受け入れれば?

トランプ氏をノーベル賞に推して…米国が安倍首相に依頼:朝日新聞デジタル

トランプ氏によると、首相は「日本を代表し、敬意を込めてあなたを推薦した」と伝えた。推薦理由については「日本の領土を飛び越えるようなミサイルが発射されていたが、いまは突如として日本人は安心を実感しているからだ」との見方を示した。


まあ、ゴマすりにも程がある、という、しかし、安倍晋三ならやるだろうなぁ、という
気怠い徒労感を覚えるようなニュースですが、こんな感想が見られました。

shifting 国益にかなうなら何してもいいと思うわ。

http://b.hatena.ne.jp/shifting/20190217#bookmark-4664698481108216641

yamatedolphin ナショナリストどもが「犬」がどうのとやかましいが、貿易問題などでギャンギャン責められることに比べて何とお安いごようだと考えても無理はないかな。

http://b.hatena.ne.jp/yamatedolphin/20190217#bookmark-4664698481108216641

hagakuress ここで犬とか言ってる人達は、拉致、経済、北の非核化含めた安全保障をどう考えてるんだろう?ノーベル平和賞自体の価値が希薄化甚だしいしなぁ。。韓国の文在寅大統領なら犬じゃないのか?

http://b.hatena.ne.jp/hagakuress/20190217#bookmark-4664698481108216641

ono_matope 「拉致被害者の奪還のためには日米の緊密な連携と信頼関係が必要。頼まれれば推薦などいくらでもする」を盲従的と見るか実効的と見るかは微妙なところかもしれない。

http://b.hatena.ne.jp/ono_matope/20190217#bookmark-4664698481108216641
 

なら、韓国の従軍慰安婦に謝罪するのも、徴用工に民間企業が補償するのも認めりゃいいんじゃないですかね。
従軍慰安婦問題は天皇の謝罪の一言で解決される-韓国国会議長
文在寅大統領に近い文議長(73)は7日のブルームバーグとのインタビューで、「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう」と語った。

その方が、“安く”確実に国益になりますし。クソウヨは「アメリカと違って、韓国に頭下げても国益など無い」というかもしれませんが、北朝鮮による拉致被害者問題のこと忘れているでしょ。

「安倍政権で拉致問題解決する」被害者家族集会で首相
https://this.kiji.is/416528119748510817

日本は、北朝鮮と交渉チャンネルを持っていないから(正確に云えば、自ら潰した)、韓国か中国、ロシアに頼らなければ北朝鮮との交渉ルートが無い。あれほど、大見得を切ったのだから、“どんなことをしても”拉致問題を解決しないとね。それが、“国際政治のリアリズム”とやらじゃないの?トランプのためにノーベル平和賞の推薦状を書けるくらいなら、従軍慰安婦の方々に謝罪するのも、徴用工(強制労働被害者)に民間企業が補償するのも問題無いでしょ。
まあ、出来ないなら(もしくは、同意しないなら)アメリカには靴でも舐めるが、(格下とみなす)韓国には強気に出る、という歪んだ認識によるものだ、と明かすようなものですけどね。
では。

1956年にタイムスリップしたと思ったら、現代だった。

平和条約に意欲も「北方四島の帰属の問題」表現使わず 首相
北方領土の日」の7日、返還を求める全国大会が都内で開かれ、安倍総理大臣は、領土問題を解決し、平和条約の締結を目指す考えを強調する一方、これまでとは異なり「北方四島の帰属の問題」などの表現は使いませんでした。ロシア側で反対の動きなどが出る中、平和条約交渉の進展に向けた環境整備を図るねらいもあったものとみられます。
北方領土の日」は、1855年2月7日に北方四島を日本の領土とする条約がロシアとの間に結ばれたことにちなんで定められ、毎年、元島民らも参加して返還を求める全国大会が開かれています。
7日の大会で、あいさつに立った安倍総理大臣は、北方領土問題について「戦後73年以上残された課題の解決は容易ではないが、やり遂げなければならない」と述べました。
そのうえで、「日本国民とロシア国民が互いの信頼関係をさらに増進し、相互に受け入れ可能な解決策を見いだすための共同作業を力強く進め、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、交渉を進めていく」と述べ、北方領土問題を解決して平和条約の締結を目指す考えを重ねて強調しました。
一方で、安倍総理大臣は、これまでのあいさつでは「北方四島の帰属の問題を解決して、平和条約を締結する」という表現を使ってきましたが、7日は「北方四島の帰属の問題」などの表現は使いませんでした。
 
まあ、私は島(領土)に拘るのはくだらない、と考える方なので、二島返還だろうと、返ってこなかろうと構わないが(ついでに言えば、尖閣諸島にしても、竹島にしてもそうだ)、じゃあ、今まで何のために交渉を突っぱねてきたんだ?という話ではある。
領土に拘らないのであれば、1956年の段階で平和条約は締結出来たわけで、60年あまりの無用の対立は緩和できただろう。
 
日ソ共同宣言(資料)

(略)ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/1957/s32-shiryou-001.htm

もちろん、本質は領土にあったわけではなく、反共主義による対立を維持するために突っぱねていたので、目的と手段が逆ではあるのだが、それにしてもこれほどみっともない「交渉」とやらを見せられると愕然とする。元島民の方々は反共政策維持のためのダシにされていたわけで、こんなサル芝居を晒すことになるとはね。

消えた「不法占拠」の文言 北方領土の日、全国大会で

北方領土の日」の7日、北方領土返還要求全国大会が採択したアピール文から、例年使ってきた「北方四島が不法に占拠されている」との文言が消えた。ロシアを刺激しないようにする狙いがある。政府の方針を反映し、地元・根室や元島民の意識も揺れている。だが、ロシアは強硬姿勢を崩していない。

https://www.asahi.com/articles/ASM274TJHM27UTFK011.html

では。

 

 

 

なぜ、政府はキャッシュレスをゴリ押しするのか
 
 
首相、キャッシュレス決済「ちょっと緊張したけど簡単」:朝日新聞デジタル

安倍晋三首相(発言録)
 (商店街の鮮魚店生花店電子マネーやQRコードを使ったキャッシュレス決済を体験した後に)初めてだったので、ちょっと緊張したけど、本当に簡単に買えました。10月からはいよいよ(消費増税対策として)5ポイントのポイント(還元)制がスタートします。この機会にキャッシュレスをしっかり生かして、外国人の観光客4千万人に向けて、みなさん頑張ってもらいたいと思います。(2日、東京都品川区の戸越銀座)


くだらないサル芝居を見ている気分ですが、なぜ、これほど消費税にかこつけてキャッシュレスを推進したがるのか?
その答えかもね、という話を見つけました。


同時に、金融機関の所有する日本の国債の多くは、国民や企業が金融機関に預けたお金をもとに購入されているのですから、国債のマイナス金利化とは、国民の側から見れば、金融資産を少しずつ削り取られていくことを意味します。
つまり、マイナス金利とは、実質的に資産課税に等しいのです。憲法に定められている通り、本来、国家の徴税率を決めるのは国会であり、執行するのが行政ですが、国会での議決を経ずに徴税権を日銀が手にしたとも言えます。(略)

 

 

(前略)現に、元イングランド銀行の金融政策委員のW.ブイターは「マイナス金利政策が長期にわたって続けば、マイナス預金金利のタブーはいずれ弱まり、最終的には消える」と考えており、「いずれは金利の下限を完全に取り払うことが望ましい」と述べています。
ブイターは「下限をなくす最も簡単な方法は、現金を廃止して、電子マネーすなわちデジタルマネーに切り替えることである」と主張し、「その時、マイナス金利とキャッシュレス社会のすばらしい新世界が到来する」とまで断言します。
まさに、これは中央銀行が徴税権をなし崩し敵に手に入れることであり、民主主義の破壊にほかなりません。

(上下ともに「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」水野和夫 (集英社新書)P82-83 より引用)」水野和夫 (集英社新書)P82-83 より引用)

 

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)

 

ちょっと説明すると、マイナス金利となると、資産を現金で退蔵(タンス預金)する人が増えてしまう。電子マネー(キャッシュレス)であれば、そのそれぞれの電子マネーにマイナス金利を適用(減価)させることが可能なので、マイナス金利を推し進めるには電子マネー(キャッシュレス)を推し進めろというわけです。
これ、原理的にはかつて説明したシルビオ・ゲゼルの“価値が減っていく貨幣”と同じ。それを電子マネーなら容易に逃れることなくできる、という話。
 
 
 

経済学に興味も知識もない私が定額給付金政府発行紙幣についてアイデアを述べるよ
https://dr-seton.hatenablog.com/entry/20090305/1236259097
 

リフレ政策もそうなんだけど、再分配政策無しに金融政策のみで景気回復など出来なだろう。それなしだと、さらに困窮する人たちが出てしまう。
安倍政権にはそうした配慮は期待できないよねぇ。
では。

ストロング系で自滅するわたし

この数年、酒の嗜好が変わって、ストロング系の缶チューハイを飲むようになった私。結構、コンビニで期間限定だののストロング系が出ると、つい飲んでしまう。
なので、このニュースは、「俺だけじゃないんだな」感があって、後ろめたさが薄れてしまう。


「氷結」16年ぶり首位譲る 「ストロングゼロ」がトップに
https://mainichi.jp/articles/20181227/k00/00m/020/117000c

2018年の缶酎ハイ出荷実績で、キリンビールの「氷結」シリーズが02年から16年連続で守ってきたブランド別首位の座を譲る見通しになったことが27日、分かった。年末商戦の行方にもよるが「ストロングゼロ」で知られるサントリースピリッツの「−196℃」シリーズが競り勝ち、初めてトップとなるのがほぼ確実だ。


特に、ストロングゼロのドライや、ビターオレンジ、ビターアップルがお気に入り。最近だと、サッポロの99.99がドハマり。しかも、500mlの缶、二本空けてしまったりするので、自分でもヤバいという自覚はある。
まあ、最近、やってらんねぇよ!という事が増えた、というのはあるのだが、それにしても禁酒を考えないといけないですね。


では、皆さま良いお年を。

クソウヨはやっぱり自衛厨だった

読むのがつらくなる話がありました。すでに読まれた方も多いと思います。


拝啓 伊藤詩織様 | 差出人は25年前の最も有名なレイプ事件の被害者 | クーリエ・ジャポン
https://courrier.jp/news/archives/142306/


で、ブコメに目を疑うコメントがありました。


http://b.hatena.ne.jp/tetora2/20181207#bookmark-374736537

被害者女性は気の毒ではあるけれど「見ず知らずの人についていってはいけません」という幼稚園児ですら守っている原則を無視したのも事実。これを被害者擁護一色で染めるのはおかしい。


もう、何度こうした“自衛厨”を批判してきたでしょうね。学習機能、ってもんがこういう輩には無いんでしょうか?
まあ、コイツのブコメを見ると、安倍信者のクソウヨですから、そんなものなのでしょうけど。
「自衛のススメ」を他人が、それも加害者目線で行い、被害者攻撃として使う。極めて短いのに醜悪さがすべて詰まった宿便*1のようなゲスいコメントを読まされるとゲンナリします。
すでに9年も前に指摘してきた話なのですが。


男は夜道で刺されても当然
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091202/1259763746


男は性犯罪を防ぐために外出制限されて当然
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091203/1259844768


男をルドヴィコ療法に掛けるのは当然
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091205/1260004523


「男はケモノ」が「女性の自衛」と結びついていること自体が差別
http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20091203/p1


どんな友人でも最初は“見ず知らずの他人”です。その誘いに乗ったから、といって他人が責めるべきではない。責められるべきは信頼を裏切った輩です。大体、性犯罪の加害者で圧倒的に多いのは「身内・知人」です。そんなに知人に「自衛」して欲しいですか?私は女性の信頼を裏切りたくもないし、「自衛」を強いたくもありません。
まだ、女性は「自衛」をせざるを得ない。だとしても、その現実を変え、「強姦者の論理」(被害者の側に隙があったorそんなところに行く被害者が悪い)を否定しなければならないのです。では。

Black Box

Black Box

性犯罪被害とたたかうということ (朝日文庫)

性犯罪被害とたたかうということ (朝日文庫)

性犯罪被害にあうということ (朝日文庫)

性犯罪被害にあうということ (朝日文庫)

セカンド・レイプ (講談社文庫)

セカンド・レイプ (講談社文庫)

*1:宿便というものは無いそうですが

なるほど、ナットク。

このところ忙しかったものですから、なかなかニュースに触れる機会も短かったのですが、それにしても理解に苦しむニュースがありました。これです。


徴用工、首相「あらゆる選択肢を視野」政府の対応本格化

首相は、元徴用工への賠償については1965年の日韓請求権協定で解決済みだとし、判決について「国際法にただせば、あり得ない」と改めて批判した。今回の原告にも言及。当時の労務動員の方法として「募集」「官あっせん」「徴用」があったとし、原告4人は「いずれも募集に応じた」と説明した。

https://www.asahi.com/articles/ASLC15300LC1UTFK01B.html


徴用工というか、強制労働問題については以前も触れているのですが、日本政府の対応は明らかに問題があるので、まあ、こういう判決が出るのも当然かな、と思っていたので、日本政府の反応は意外ではありませんでしたが残念なものでした。
それにしても、ここで安倍首相が言う「国際法」って、なんでしょうかね?ちょっと私にはわかりません。
ナチスによるユダヤ人迫害にせよ、トルコのアルメニア人大虐殺にせよ、アルゼンチンやチリの市民迫害にせよ、植民地の旧宗主国側の人権問題にせよ、“過去のことをほじくり返す(これ自体が加害者側の論理なわけですが)”話はゴロゴロしているわけで、どういう根拠があって、「国際法にただせば、あり得ない」なんて言っちゃったのかサッパリ判りません。
まあ、いつものとおり、特に判ってもいないのに大風呂敷広げた、というだけなのでしょう。


この個人請求権が損なわれていない、という韓国側司法の判断根拠は、日本政府がかつて認めたものなので、お前は何を言っているんだ、案件なのです。


日本国と大韓民国との間の条約及び協定等に関する特別委員会第10号(昭和40年11月5日)

(前略)○石橋委員 そうしますと外交保護権も放棄した。日本国民の個人のいわゆる所有権というものも、これも全部、その当人の承諾なしに、日本政府がかってに放棄した、こういうふうに認めていいですか。
○藤崎政府委員 前段におっしゃった外交保護権のことはそのとおりでございます。個人の請求権というものは向こうさんが認めないであろうということを申しているわけでございまして、この条約、協定で、そういうものを日本政府が放棄したということじゃないわけでございます。
○石橋委員 日本の政府は国民の生命、財産を保護する責任があるわけですよ。それをかってに放棄したと同じ形になるじゃないですか。それに対して責任を持たないのですか。
○藤崎政府委員 それが外交保護権の放棄ということでございます。(後略)

http://www.twitlonger.com/show/n_1sqn6v7


そもそも、日韓国交正常化の際に軍事独裁政権であった朴政権が結んだ条約は、反共政策の一環でしかなく韓国市民への償いを実現するものではなかったわけなので、それを堂々と“解決済み”というのは人権意識に関心が薄い、と告白するものでしかありません。


徴用工判決が突きつける「日韓国交正常化の闇」 韓国大法院判決全文の熟読で分かったこと
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11/post-11272.php


そもそも、誰を誰が訴えるんでしょう?
この徴用工に関する裁判は、元徴用工の方が、新日鐵住金、を訴えたものです。何で、日本政府が出てきて、韓国の司法府の判決に対して政府(行政府)を詰るのでしょうか?まったく理解に苦しみます。まあ、ぬらりひょんは以下のようなことを言っていますが、正直、意味不明です。


官房長官 「徴用工」判決 韓国政府の対応見極める考え

これに関連し、菅官房長官は午前の記者会見で、「今回の韓国大法院の判決は日韓請求権協定に明らかに反しており、極めて遺憾だ。日韓請求権協定は司法府も含めて当事国全体を拘束するものであり、大法院の判決が確定した時点で、韓国による国際法違反の状態が生じている」と指摘しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181107/k10011701371000.html


この人、三権分立、というものを理解しているのでしょうか?行政府と異なる判決を下す、なんてことは、民主主義国家では当然あり得る話でしかありません*1。法人としての新日鐵住金を元徴用工が訴えた、という話なのですから、政府の思惑を超えてこういう判決が出ることもあるでしょう。それを韓国政府の責任とするのは、ちょっと判りません。というか、何で、新日鐵住金の裁判に日本政府が首を突っ込むのか不思議です。これほど、熱心なら、その熱心さをほんの少しでも安田純平さん救出に向けたらよかったのに。


でも、今日見たニュースで疑問が氷解しました。


元朝日記者の損賠請求棄却
慰安婦記事巡り、札幌地裁

元朝日新聞記者の植村隆氏(60)が、従軍慰安婦について書いた記事を「捏造」とされ名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの桜井よしこ氏(73)と出版社3社に謝罪広告の掲載と損害賠償などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(岡山忠広裁判長)は9日、植村氏の請求を棄却した。
 訴状によると、植村氏が朝日新聞記者時代の1991年に韓国の元慰安婦の証言を取り上げた記事を「捏造」「意図的な虚偽報道」などとする桜井氏の記事が、週刊新潮など3誌や桜井氏のオフィシャルサイトに掲載された。
 植村氏は文芸春秋などに対しても同様の訴訟を起こし、東京地裁で係争中。

https://this.kiji.is/433539335054279777


でっち上げの記事で、植村氏の職や家族の安否を追い込んでいながら、その行為を問題なしとする、こういう判決は明らかに政権に忖度したものでしょう。まあ、忖度は安倍政権の得意技ですし、犯罪行為でさえ首相の子飼いということで逃れられるわけですし、安倍首相自身もデマを飛ばし、その事実が認定されながら、その責任から逃れてますからね。


安倍首相がデマ拡散、菅直人に訴えられた名誉毀損裁判で不当判決! 抗議の意味を込め安倍の捏造歴を暴露する!
https://lite-ra.com/2015/12/post-1745.html


現政権として、司法は当然行政(というか、権力者)の意見に従うべきだ、との意識があるのでしょう。自分たちと同じ水準(途方もなく間違った考えですが)で行政と司法の関係を捉えているわけです。つまり、「お前(文大統領)らが、あの判決を出させたんだろ!」ということですね(残念ながら、日本ではメディアでもそうした意見が目立つわけですが)。


つまるところ、今回の件で、安倍政権、というか日本社会は戦争責任問題に無知、鈍感で、三権分立に疎くて司法を行政の追認機関としか捉えておらず、居丈高に振舞えば相手が折れると思っている幼稚な存在だ、ということです。
ひたすらみっともないですね。
では。

*1:かつては、日本でもそういう判決はありましたが