シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

これも、どのカテゴリーに振るか迷ったが、環境論に。
環境問題と微妙な関係があるからだが、科学研究の世界では重要な意味を持つ話だ。
 
「これが宇宙ステーションでの仕事 筑波で訓練公開」
http://www.asahi.com/science/news/TKY200602280254.html
 
あえて言い切ってしまうが、
 
「有人宇宙飛行は百害あって一利無し。」
 
無人探査機による宇宙計画には科学的な意義が存在する。
衛星軌道の各種人工衛星の利用は実利的な価値も存在する。
 
だが、有人宇宙飛行には欠片ほどの科学的価値は存在しない。
実利面においても同じだ。
この点は、後で環境論の中で詳述するが、それとは別に簡潔にかつ正確に有人宇宙飛行の有害さを示した本がある。
 

わたしたちはなぜ科学にだまされるのか―インチキ!ブードゥー・サイエンス

わたしたちはなぜ科学にだまされるのか―インチキ!ブードゥー・サイエンス

 
著者は固体物理学者で、アメリカにおける科学啓蒙の第一人者でもある。
この本は日本においても「トンデモ」を斬る本として紹介された。
フリーエネルギー、ホメオパシー常温核融合といった分野については話題になっている。
だが、この本でタチの悪いヴードゥーサイエンス、と評価されているのが
 
有人宇宙飛行とスターウォーズ(SDI)計画なのだ。
 
スターウォーズ計画は形を変えて現在にも生き延びている。ミサイル防衛(MD)計画がそれだ。
 
アメリカでは有人宇宙開発は科学的価値を持つものとは考えられていない。
あくまで、アメリカの技術と力の象徴にすぎない。
だからこその「きぼう」の扱いなのだ。
 
「希望を失った宇宙ステーション日本モジュール『希望』」
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/space_kibou/051111_uchiage/index2.html
 
本来、冷戦期の力を誇示する象徴だった宇宙ステーション計画、その意義を失い流れ着いた果てこそが国際宇宙ステーションISS)だった。
ロシア人ロケット研究者を、”ならず者国家”のミサイル開発に加わらせないための方策。
それがISSの本当の意義である。
本来の意味が消滅した今、アメリカは自分を鼓舞する新たな象徴を見いだした。
 
ブッシュ大統領の「新宇宙計画」――月面基地や火星への有人飛行も視野に」
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20040115301.html
 
もはや、国際協調の象徴、というおためごかしは必要無くなった。
「きぼう」を打ち上げる意味を、彼らは感じてはいない。
 
日本の政府も研究機関もマスコミも、宇宙開発の実態を示してこなかった。
「きぼう」が「ぜつぼう」に変わり、甘い夢から覚めて楽園を追われる時が来る。
その時にどう説明するのだろう。
 
追記:実は、核融合もトンデモさんの仲間入りなのだ。
立花隆のコラムをご覧頂きたい。
 
「一枚の写真が指し示すアメリITER撤退の真相」
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050704_iter2/
 
アメリカの最新核融合拠点国立点火施設『NIF』の全容」
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050705_nif/
 
紹介されているNIFがあるのは、ローレンス・リバモア研究所であり、原理考案はエドワード=テラーと紹介されている。
エドワード=テラーこそは、SDIの実質的計画責任者である。究極のムダ計画。
NIFとはテラーのSDIに替わるオモチャである。
立花隆さえ騙されてしまうのだ。困ったものだ。

(敬称を略しました。:Dr-Seton)