シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

パーマカルチャー講義録

講義録をようやくアップ。内容は講義を自分で要約したもの。

パーマカルチャとは?
1970年代 ビル=モリスンが創造 その後、考えが世界中に広まった。
1992年 日本に著作(日本語訳)が紹介される。

ビルモリスンは漁師にして猟師。→ 野生児 自然観察の中からパーマカルチャに至る。

1.自然と付き合い、より良い生活を送るには?→ 人間中心的(自然中心ではない。)禁欲的ではない。
2.「世界中をジャングルにしたい。」ビルモリスン
森とはいかなるところか? 自然の安定形、完成形(極相)
どう付き合っていくのか? 生物との関わりで地球環境は変化してきた。 → 生態系
人間も同じだが、環境に関するインパクトが大きい。 ローマクラブ(成長の限界

「地球の生産力は無限である。」ビルモリスン → 生産性の高い環境を造り上げる。

生態系の遷移 時間と生物量を軸にとると、極大値を持ち、特定値で安定した、なだらかな曲線になる。
一年草類→多年草類→低木・灌木→広葉樹(陽樹)→照葉樹・針葉樹(陰樹)=極相
a.パイオニアプランツ(先駆的植物)(柳、ハンノキ、松、萩、山桃)
b.極相形成は地域(気候帯)によって樹の種類が違う。(南日本なら楠、杉、北日本ならブナ、檜)
陰樹は他の植物を駆逐してしまう。極相では多様性が減少する。(安定だが、生産性は減る。)

パーマカルチャは、極相に攪乱を加えて多様性と生産性を保つ→里山

里山 クヌギ・コナラ等の雑木の適度な伐採によって生産性を上げる。 (ひこ生えによる再生)
自然にも攪乱は存在する。人為的に起こすことで、生産性と用途を増やす。
さらに、攪乱によって保つ生態系を多層にする。

多層とは? 一年草多年草、灌木、広葉樹(低木)、照葉樹・針葉樹(高木)、コケ、蔓性草、地下茎、が混在する森林状態。生産性と多様性が高い。

単層:杉林、檜林 生産性が低く、用途も限られる。
多層:雑木林 生産性が高く、用途が多岐に渡る。

パーマカルチャとは、「生態系を充分に観察し、生産性と多様性の高い環境を創造、維持することで”永続的可能性”のある文化」

パーマカルチャデザインとは?
デザイン=理想像に近づける事、現実化のプロセス
手順 ヴィジョン作り→(環境)観察→デザイン (デザインは実現化が前提)
この順でメタプロセスとなる。

デザインプロセス 1.コンセプトデザイン(実現可能性)←ヴィジョン・観察
           メインコンセプト(主題)、サブコンセプト
         2.ストラテジーデザイン(戦略立案)←コンセプトのブレイクダウン(具体化=アイテムやシステム)
                           ←観察・資源問題(利用解決)
                           ←パーマカルチャ原則と倫理
         3.システムデザイン input→(system)→output
           サブシステム設計では、システム間設計(カスケード利用、循環)を重要視
         4.ランドスケープデザイン 現場のデザイン 配置、無駄の無い配置(適材適所)
         5.アイテムデザイン 具体的素材の検討
コンセプトやヴィジョン作りに苦労する。どうしたらヴィジョンやコンセプトを作れるか?
ミッション(使命感)が必要

土壌学
土壌の構造 多層構造 団粒構造 (植物や微生物等と有機物、無機物が混在し関連しあう事で成り立つ)
土壌 三相(固相、液相、気相)理想的には40,30,30の割合
   三性質(物理的、化学的、生物的)

土壌中の栄養分も流入と流出のバランスが成り立つ。収支を観察する事でデザインの手がかりとなる。

植物生育条件 1.水分 2.温度 3.空気 4.栄養(窒素、リン、カリ、カルシウム、マグネシウム、硫黄、その他微量元素) 5.pH 
これらを充分に観察し、適した植物、適した環境を用意する。
植物:(土を)耕し、(栄養を)集め蓄え、(生き物を)育て、(土を)覆う。
微生物:(有機物を)分解し、(土を)耕し、(病害虫より)守り、(養分を)蓄える
人の役目は、これらを手伝うこと。

土壌のpH、酸性が強ければ、

  • ジャガイモ、スイカ、ブルーベリーを栽培する。(適した植物の選択)
  • 石灰、苦土石灰を入れる。(土壌の改良)

土壌の観察が欠かせない。

・堆肥や化学肥料は、植物、微生物が活動するための手伝い。(使いすぎは逆効果)
逆に言えば、時間さえあれば必ずしも必要ない。