シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

ライトスタッフ(朝比奈大龍勢 その4)

あんまり、殺伐とした事ばかり書くと気が滅入るので、すっかり忘れていた大龍勢見物について載せます。

朝比奈への道は結構混んでいた。普段は静かな田舎なのだが、さすがに大イベントともなると混雑するようだ。でも、自動車止められる場所などあっただろうか。打ち上げ現場に近づくと、車だけではなく、自転車や歩行者も目立つようになってくる。何度か朝比奈川を渡っているのだが、最後の橋を渡ると会場に出る。普段は田んぼなのだが、周囲は大龍勢を見ようと詰めかけた観客の見学桟敷になっている。打ち上げ櫓の周囲100メートルほどは危険のため立ち入り禁止。自転車を駐輪場に駐めて桟敷に近づくと、驚くべき光景が広がっていた。見学桟敷と見えたのは、なんとそれぞれの集団が自力で作った桟敷だったのだ。材料もバラエティーに富んでいる。ミカンのコンテナで作られた桟敷もあれば、本格的に工事の足場用アルミパイプで作られたものもある。田んぼに直にシートを敷いたものや木造のものもある。さすがは田舎の人々だ。即席でも身近なもので作り上げる技能にびっくり。でも、全然大龍勢を見ていない。龍勢は切っ掛けに過ぎなくて、宴会するのが目的だったようだ。是非、中に入りたかった。周囲の農道も足の踏み場がないほど宴席が設けられている。コンロや鍋があるのは当たり前で、七輪で焼き鳥や焼き肉をやっていたり、冷えるのかコタツまで並んでいる。これは、どちらかというと龍勢だけでなく宴席を見ているのが楽しい、という感じだ。


突如、大音量のアナウンスが響き渡る。「おぉぉぉぅりゅぅぅぅぅっせぇぇぇぇぃぃい。」と妙な節を付けた龍勢の口上だ。どうも酔っぱらっているらしい。そのうちに、数人が声を合わせて合唱状態。「さあ、上がれ揚がれ」と、アオリまで入ってくる。どうなってんだ、と思っているうちに点火。


発射櫓に導火線の火が走るのが見える。長さ7〜8メートルほどの竹竿の先端に噴射する本体があるのだが、噴射口に火が点る。数十秒たって、じれているうちに轟音を立てて空へ駆け上がる。数秒と立たずに仰ぎ見なければならない高さに達する。それからが各龍勢連の見せ場。取り付けられた流星(誤字ではない)花火が四方八方に放たれる。カラースモークも湧き出てくる。本体はパラシュートでのんびりと浮いている。
つまり、本体が落ちるまでの間に如何にギミックを見せるのか、が各龍勢連の腕の見せ所なわけだ。風があれば流されてしまうし、パラシュートが開かなければさっさとおっこってしまう。打ち上げる間隔は15〜30分ほど。落っこちてきた龍勢は山の彼方に落ちたり、林業用ロープウェイに引っ掛かったりと大変だ。各龍勢連は、自分たちの龍勢を見届けた後でそれを拾いに行く。

追記:写真は龍勢の発射の瞬間。