シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

NASA、2024年までに月の極に有人基地建設へ


米航空宇宙局(NASA)は4日、将来の有人月探査計画の柱として、月の極点付近へ2024年にも国際基地を建設する構想を発表した。宇宙飛行士が半年間居住できる基地を国際協力で建設し、そこを拠点に有人火星探査を目指すとしている。
http://www.asahi.com/science/news/TKY200612050142.html


NASAのトンデモ化に歯止めが掛からない。ブッシュ政権はほぼ壊滅状態なのに、こんなバカバカしい計画が進められようとしているのはどういうことなのか。
なぜ、そんなに宇宙に住みたいのだろう。以前にも述べたが、


http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20060302#1141289016


有人宇宙開発は百害あって一利無し、である。そんな金があるなら、無人のもっと有効な計画、観測衛星や探査体打ち上げに使った方が100倍マシである。
宇宙に植民地を創り、移住するというのはまったくのムダだ。また、詳しく述べるがここで簡単に言い切ってしまえば、


宇宙に植民できる技術があるなら、宇宙に植民する必要が無くなる


のである。


スラッシュドットには、このNASAの発表で

ツィオルコフスキーの「地球は人類の揺り籠だが、我々が永遠に揺り籠に留まることは無いであろう」を引用している


事が書かれている。
http://slashdot.jp/science/06/12/05/0432223.shtml



ツィオルコフスキーは確かに、「ロケットの父」とでも云うべき人物だが、彼の生きていた時代には地球の生態系も宇宙の実状も、なにもかも判っていなかった。
彼が書いた「月世界到着! : ヒマラヤから月へ」という本がある。


http://opac.ndl.go.jp/Process?MODE_10100001=ON&SEARCH_WINDOW_INFO=01&THN=9&INDEX_POSITION=0&DB_HEAD=01&SORT_ORDER=01&SHRS=RUSR&QUERY_FILE=422174987_1492308&TA_LIBRARY_DRP=99&DS=0&CID=000001003649&SS=01&SSI=0&SHN=9&SIP=1&LS=422174987
国会図書館の検索結果)


ロケットを創りだした科学者たちが月を探検したり、小惑星に到達したりする話だ。昔、図書館で読んだが、わくわくする魅力に溢れていた。
当たり前の事だが、本にあるのはあまりにも牧歌的な宇宙観であり、現在知られている宇宙像とはまったく異なる。
彼の生きた時代には、人類が自然を改変していくことは素晴らしい事で、人類にはそれだけの力がある、と考えた素朴な科学万能観があった。
現在、そんな素朴な科学万能観は通用しない。人類の出来ることには限界があり、人類の造り出すものが、人類が自然を改変することが、素晴らしい事ばかりではない、と云うのが、(常識的な)科学者の立場だ。
既に失われた自然観と科学万能論を振りかざして、NASAは何をするつもりなのか。予算が取れればそれで構わないのか。日本のマスコミも、いいかげんに有人宇宙開発の真実に迫るべきだろう。


予告編:宇宙に住みたがる人々
キーワード:核戦争を熱望する人々、バイオスフィアⅡ、リン循環、開放系、シェーンハイマーの「動的均衡」、「宇宙船とカヌー」、ダイソン・スフィア


追記:写真は青葉おでん横丁にて。おでん鍋です。店の名前は失念。