シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

キングダム/見えざる敵

1991年の湾岸戦争以来、サウジアラビアアメリカ軍の駐留を受け入れ、復古主義者の憎悪を買う事になった。皮肉にもアメリカが旧ソ連に対して育成したアフガンゲリラ残党がアメリカに牙を向けるようになる。アメリカは世界最大の産油国であるサウジアラビアとの関係を深め、サウジアラビアは一方で反米活動のパトロンになるという摩訶不思議な関係。その奇妙な緊張の中で惨劇が生じる。


サウジに住むアメリカ人達は、サウジ国民の憎悪から身を守るために厳重に警護されていたが、その隙をついてテロリストグループによる無差別銃撃がリクリエーションに興じるアメリカ人達を襲う。相次ぐ犠牲。逃げまどう人々。「こちらに逃げてくれば安心です。」と誘導するニセ警備員は自爆。周到に仕組まれたワナだったのだ。さらに救護活動中に起きる大爆発。おびただしい人命が失われる。

ジェイミー・フォックス演じるFBI捜査官フルーリーは巻き込まれた同僚の敵を討つため、仲間達とサウジアラビアへ乗り込む。捜査期間は5日間。国務省サウジアラビアと事を荒立てないために、あの手この手で捜査を妨害し、事件の幕引きを図ろうとする。サウジアラビア側も捜査には非協力的だ。しかし、ねばり強い捜査を進めるフルーリー達はサウジの警官達と打ち解け、少しずつ真相に迫る。
ストーリーは現代的なテーマを盛り込みつつも、典型的なバディ・ムービーに則っている。
つまり、古くは「真夜中の大捜査線」。近くなら「リーサルウェポン」や「48時間」、「レッドブル」、etc*1。変わったところなら「エイリアンネイション」や「ヒドゥン」などもあるし、コメディに振れば「ラッシュアワー」なんかもそうかも。
舞台を日本、にすれば、そう、「ブラックレイン」。まったくそのまま。

ハッキリ言って、フルーリー達FBI捜査官は無神経なヤンキーどもである。他人のショバに土足で上がり込むし、どこでもアメリカ式、を通そうとする。一応、サウジ式、に親しむふりはするが、やはりアメリカ一番、の態度は変わらない。だから、相棒となって彼等を案内するサウジの警官、アル・ガージは“狗”にしか見えないのだ。“先導の狗達”だな。
アメリカ様に最敬礼!ワンワンワン。」
高倉健松田優作、ハリウッドデビュー、とか云っても、こんな風に見えていたのか、と思うとゲンナリ
無遠慮な行動の果てに仲間を攫われた、と高速道路や町中で一大銃撃戦。RPGまで登場するが、正義のアメリカ様には通用しない。しかし、サウジなのに、なんで銃がAK47で、RPGなんだよ。爆弾は米軍製、とか云っていたはずだ。彼の地では、M16やM72の方が手に入りやすいだろうに。
町中での戦闘シーンは明らかに「ブラックホークダウン」を意識している。出てくる連中もゾンビ扱い。登場しちゃバタバタと薙ぎ倒される。

仲間を捜して建物に突入。他人の部屋、戸も壁もぶち破って好き放題。
いきなり子供に出くわして狼狽えるクソアマ。「隠れていてね」オマエ等が帰れば済む事じゃん。
ひたすらアメリカンな態度にムカツキ最高潮。酷い映画だ。
御都合主義な銃撃戦で仲間無事救出。何故こんなクズ映画撮ったんだ?マイケル・マンともあろう人が


しかし、最後になって狙いが浮き彫りに。
帰る途中、さっきの女の子にアメをやろうとする毛唐女。手なづけでもしようってか。
「ぎぶみーあちょっこれーと」の世界だな。
安藤昇がいたら、このバカ女に二、三発ビンタ喰らわして、「ごーほーむ・びっち!」と言ってくれただろう。
安藤の替わりを女の子の兄貴が果たす。見事、狗警官を仕留める坊主。だが、あっという間に蜂の巣に。
テロ首謀者のじーさんもぶっ殺される。無事、一件落着。のはずだが。。。

で、ようやく鈍いFBIどもも自分たちの振るまいが何を引き起こしたのか気付く。
ラストに捜査着手前に仲間に囁いた声と、テロじーさんの言い残した言葉が交錯する。
「ヤツらを皆殺しにする。」
憎悪の連鎖。それは、他者の存在に無思慮であるところから始まるのだ。


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*1:これらは自分の好み