シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

浜岡原発運転差し止め訴訟

浜岡原発停止認めず 耐震性の確保認定 静岡地裁判決

静岡県御前崎市にある浜岡原発は「想定される東海地震の揺れに耐えられず危険だ」として、静岡県や愛知県の住民らが中部電力(本店・名古屋市)に1〜4号機の運転差し止めを求めた訴訟の判決が26日、静岡地裁であった。宮岡章裁判長は「耐震安全性は確保されており、原告らの生命、身体が侵害される具体的危険があるとは認められない」と判断し、原告側の請求を棄却した。仮処分申請についても却下した。原告側は東京高裁に控訴するとともに、仮処分却下については即時抗告する方針。
 営業中の原発の運転をめぐる訴訟で金沢地裁北陸電力志賀(しか)原発2号機について初めて差し止めを命じた(昨年3月、高裁で係争中)ことや、7月の新潟県中越沖地震東京電力柏崎刈羽原発が被災するなど、原発の安全性への信頼が揺らぐ中での判決として注目されていた。

 判決はまず、国の中央防災会議(中防)による想定東海地震駿河湾などを震源域とするマグニチュード〈M〉8程度の巨大地震)のモデルや東海地震の揺れについて、「モデルは十分な科学的根拠に基づいている」と判断。1〜4号機は新旧の国の耐震設計審査指針を満たしているとして、想定される東海地震だけでなく東海地震東南海地震、南海地震が連動した場合の地震動に対しても耐震安全性は確保されていると結論づけた。

 続いて施設の老朽化について検討。中電の点検・検査によって機器の「応力腐食割れ(SCC)」の発生を捕捉できる体制が整い、「配管の減肉」などについても点検・管理体制が適切に構築されているとした。

 浜岡原発東海地震の想定震源域の真ん中にあり、裁判では、地震の大きさや原発耐震強度をめぐり、原告側、中電側の双方が学者を動員して激しく対立していた。

 原告側が訴訟に先だって仮処分申請したのは02年4月。原発周辺の住民とそれを支援する「浜岡原発とめよう裁判の会」の約1800人が、1〜4号機の運転差し止めを求めた。その後、仮処分の審尋ではできない現地検証や証人尋問をしたいとして27人が同じ趣旨で提訴。03年7月の提訴後に運転を始めた5号機は対象外だった。

 訴訟のさなかに原発地震をめぐる環境は激変した。05年の宮城県沖地震では東北電力女川原発で、今年3月の能登半島地震では北陸電力志賀原発で、いずれも耐震設計上の想定を上回る揺れを観測。中越沖地震では東京電力柏崎刈羽原発が想定をほぼ全面的に超える国内原発最大の揺れに見舞われた。

http://www.asahi.com/national/update/1026/TKY200710260094.html

まあ、予想通りの判決、と言いたいところだが、安全性の不安を払拭するように、とかの言葉も無しのようだ。ここまでイヌっぷりを示す裁判も珍しい。

浜岡原発>住民らの請求棄却 静岡地裁
東海地震の想定震源域に立つ中部電力浜岡原発静岡県御前崎市)を巡り、周辺住民ら27人が中電に1〜4号機(出力総計361.7万キロワット)の運転差し止めを求めた訴訟の判決が26日、静岡地裁であり、宮岡章裁判長は請求を棄却した。想定される東海地震の規模と原発の耐震性が最大の争点だったが、判決は、中電の安全対策を評価した。原発の差し止め訴訟では、昨年3月の金沢地裁判決が北陸電力に差し止めを命じ、名古屋高裁金沢支部で係争中。原告側は控訴する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071026-00000036-mai-soci


この裁判官らの認識が酷いのは、以下の判決内容からも伺える。

判決は、国の中央防災会議が想定している東海地震モデルについて、「アスペリティーの設定やプレート境界面の設定は適切で、十分な科学的根拠に基づいている」と判断。想定以上の地震が発生する可能性を考慮すべきという原告側の主張を退けた。

地震に関してここまで凄い認識が出来るのがビックリだ。未だに知られていない地質学的問題は数知れないうえ、それがしばしば科学とは関係なく扱われる事は、新潟中越沖地震でも判った事の筈だ。
「人間が識り得る事、成し得る事には限界がある」
というのは、未知の事柄について、科学を志す者が最低限取らなくては態度だ。
ここまで、何もかも知る事が可能、と考えるなら、地震予知など容易であるかのような錯覚さえ感じさせる。

 浜岡原発の耐震安全性については、「中電の地震動評価に不合理な点は認められず、原子炉施設固有の地震動周期があったとしても、過大な破損などが生じるがい然性があるとはいえない」と判断。原告側が震源になる活断層である可能性を指摘した敷地内を走る4本の「H断層系」についても、「浜岡原発の原子炉敷地内のH断層系はすでに固着しており、活断層ではない」とした。


これも酷い。過大な破損が生じる蓋然性がある、とは云えないのは当然だろう。蓋然性があれば、最初から問題だ。蓋然性がないレベルでも起きうる可能性はあるわけで、それが起きた場合に、その被害が多大なものと予想されるからこそ、「原発を止めろ」といっているわけだ。
蓋然性は無いですよ、って、それは理由にもなっていない。


さらに、断層に関して、“すでに固着しており”って、そんな事判断できるわけ無かろうに。人間のスケールで“生きているか”“死んでいるか”なんて決められるわけでもないのだ。確率的な問題はあろうが、数千年単位で動かない、程度では“固着している”などと決めつけられない。

 「応力腐食割れ(SCC)」など機器の経年劣化については、「SCCの発生メカニズムの解析が相当程度進んでいる」という判断を示したうえで、「中電の点検・検査でSCCの発生は捕捉でき、仮にSCCを捕捉できなかった時でも、漏えい試験などで適切な補修などをすることで機器の健全性は確保される」と指摘した。

いや、これじゃあ、モノの寿命など無いかの様じゃないの。実際には張り巡らされた配管の総延長を考えたら、到底“SCCの発生を捕捉できたり”はしないわけだ。だからこそ、しょっちゅう水漏れやらなにやら起きるのである。

最後もひどい。

 訴訟対象の原子炉4機のうち、1、2号機は1970年代に稼働した古い原発で、1号機は01年11月の事故後、2号機は04年2月に定期検査入りしたまま運転を停止中だが、安全と認めた。さらに、改定前の旧耐震指針についても、「新指針は旧指針の安全性を否定したものではない」とした。

いや、基準をきつくした、って事は、旧指針じゃ対応しきれないからだろう?なんのために新指針を入れたと思ってんだろう。
本当に、これほどの行政ベッタリ裁判をやるんじゃ、司法は司法の役目を期待する事など出来ないね。
宮岡章、この名前は覚えておくとしよう。