シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

大統領暗殺

2007年10月19日、第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュは、遊説に赴いたシカゴでイラク戦争に反対する大勢のデモ隊に取り囲まれる事になる。緊迫する警護体制。騒然とする警護の隙を突くかのように大統領が狙撃される。。。


もし、ブッシュが暗殺されたら、という視点で作られたフェイク・ドキュメンタリーとでもいう本作。アメリカでは公開劇場が大幅に減らされたり、イタリアでは公開が見送られたり、と話題性に富んでいる。日本でも「ブッシュ暗殺」という邦題がマズいという事で、「大統領暗殺」となった経緯がある。ただし、原題は「Death of a President」。
実写映像と大統領警護官や取材記者、デモ隊関係者、そして、暗殺容疑者の妻、などにインタビューを行い、事件のニュース映像などと重ねていくことでドキュメンタリーらしく見せている。ややこしいのが、実際のニュース映像を利用したのか、ブッシュやチェイニーなど公人は本物。デモ映像はどうだったのかな。


で、面白かったのか、といわれるとちょっと微妙。イスラム教徒が容疑者に仕立てられていく様子や、真犯人と思われる人物像など淡々と描きすぎていて、面白くなりそうな部分の掘り下げがイマイチな感じ。どうせフェイクと判っているんだし、もっとテンポを上げて、センセーショナルな部分をもう少し出しても良かったんじゃないかな。恒久法となった「改正愛国者法」も、その存在は不気味でも、どういう危険性があるのか判るレベルに盛り込まれていない。


フェイク・ドキュメンタリーは面白い手法なんで、他にも色々応用が考えられそうだ。
自分としては「鼻行類」の「ナショナル・ジオグラフィック」っぽいドキュメンタリーなんて面白いんじゃないかなと思う。シナリオは書くんで、誰か映画関係者の方、連絡ください。お待ちしております。

鼻行類 (平凡社ライブラリー)

鼻行類 (平凡社ライブラリー)