結構、反響が多くてビックリ。この件については折に触れて書いていくつもりですけど、若干コメントのお礼も兼ねて。
昨日は独裁者2人の夢、エウルとゲルマニアを取り上げましたが、大元はid:hsksyuskさんがおっしゃられたように
独裁者の夢的な都市計画はコルビュジェだっけ?六本木ヒルズとか、ブラジリアとか。吉祥寺はアレグザンダー的な街だっていう卒論を書いていた佐藤さんはお元気だろうか。
ル・コルビュジエら近代建築の巨匠達のようです。
輝く都市(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BC%9D%E3%81%8F%E9%83%BD%E5%B8%82
つまり、現代日本における都市像とは、1930年代の思想がそのまま、という事なわけです。それに関して面白い資料がありました。
森稔 森稔が語る仕事
(略)
その頃(シートン注:1959年、森ビル設立時)、心惹かれた建築家がル・コルビュジエです。彼の建築を一目観ようと欧州を訪ねましたが、彼の思想も建築も全く評価されておらず、失望して戻りました。しかし、次に訪ねた米国では、コルビュジエの提唱する近代的で合理的なビルが主流になっており、大いに勇気づけられました。
サンフランシスコでは「ゲートシティ」の再開発に強い衝撃を受けました。当時の日本には再開発制度はありません。区画整理は実施されましたが、敷地が小さい上に徹底せず、これではだめだ、と思いました。
もっと街区の単位を大きくし、広い街路を確保しなければいけない、いつか世界に誇れるような美しくて安全な街を創りたい。それには再開発という制度が必要だ。 (略)朝日新聞 2008.1.20 朝刊 全面広告
森ビルといえば、皆さんご存じ、六本木ヒルズや表参道ヒルズなどデベロッパー最大手といってもいい存在です。そのトップがル・コルビュジエへの傾倒を率直に口に出す。ビンゴ!というところでしょう。日本の都市は「輝く都市」というわけです。日本の名だたる建築家の多くもコルビュジエの弟子のようなものです。私は建築家では吉村順三を高く評価していますが、それは彼が大げさな建築より、「等身大」の建築を多く手がけたからです。吉村順三は、丹下健三やその門下ほどには評価されていません。日本では「等身大」の建築=都市計画の発想は人気がないのかもしれません。
ちなみに、ジェイコブスはコルビュジエに対する批判者として登場しました。彼女に対する批判は当然ありましたが、彼女が反論したポイントが、ニューヨークやデトロイトなどのアメリカ大都市の“スプロール(郊外)化”だったのです。日本ではスプロール化に対する問題意識は、現在ようやく議論の俎上に上がりだしたところです。いったい、アメリカでの問題をどう捉えていたんでしょうね。不思議な事です。
アメリカの大都市がコルビュジエの都市理論に基づいて造られた事は疑いの無いところでしょう。それだけではなく、南半球の新都市、ブラジルのブラジリア、オーストラリアのキャンベラなども挙げられるかもしれません。ちなみに、ブラジリアもキャンベラも、そのあまりのよそよそしく人工的な様が嫌われ、人気のある大都市とは云えません。ブラジルならサンパウロやリオ・デ・ジャネイロ。オーストラリアならシドニーやメルボルンの方が活気に満ちています。
少なくとも私なら、コルビュジエよりもジェイコブスやアレグザンダーの都市理論に軍配を上げます。日本でも、吉祥寺や下北沢、秋葉原も歩く魅力のある街でしょう。id:yukky2001さんの言うとおり、秋葉原の再開発は散策する楽しみを奪っている気がします。
横浜でも歩くなら関内や中華街、馬車道、元町、桜木町の方が、「みなとみらい」より楽しいと思いませんか?たぶん、その「感覚」のほうが、まちづくりには重要なはずです。
コルビュジエの都市理論は、なかなか(西側)ヨーロッパには浸透しませんでした。ですから、現在の郊外化食い止めにいち早く対応出来た面があります。
いい加減、「再開発」の視点を、等身大に見直す事は無いんでしょうかね。
最後に。
id:morutanさん。素晴らしいサイトの紹介ありがとうございます。
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http://kousyoublog.jp/?eid=1412
面白かったので、こちらでも改めて紹介させて頂きます。
それでは、コメントくださった皆様、どうもありがとうございました。感謝いたします。
追記:写真は松山の道後温泉 ここも“Walkable”な街でした。再開発されてどうなったのでしょう。
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