シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

自分は…、殺しが得意ですから…  ランボー 最後の戦場

ベトナム帰還兵にして歴戦の勇士、ランボー。タイで隠者のような生活をおくる彼の元に、ミャンマービルマ)への移送を望むボランティア団体が現れる。軍事政権下へ非合法に潜入しようとする彼らの依頼を断るランボーだったが、メンバーの一人、サラの真摯な願いに依頼を受ける。しかし、彼らの向かった村は、残虐なビルマ軍の攻撃を受けるのだった。




ようやく見ました。いや、素晴らしい。さすがは“一人軍隊”“致死性兵器”“生まれつきの殺し屋”“全被甲弾”。アクションの王道ですね。まるで任侠映画みたい。自分を殺し続ける主人公。悪辣極まりない敵。その悪行に主人公の怒りが炸裂。主人公は存分に力を奮い、敵を蹴散らす。
敵は悪辣なほどカタルシスが湧くわけで、実際に後半、ランボーが機関砲を奪ってビルマ兵を薙ぎ倒すところでは、やった!の気分。
なにせ、ビルマ軍は冒頭で田圃に地雷をまき散らし、連行してきた捕虜?を田圃で走らせ、地雷を踏んだらそいつが負け。えげつない賭けレース。レースが終われば皆殺し。女子供の殺戮も遠慮無し。刺すは、吊すは、焼くは、吹き飛ばすは、殺戮のオンパレード。徹底した、ここ最近見たことが無いくらいの悪役ぶり。敵役にも理があるのだ、なんて事は描きません。


ランボーの方は、といえば、珍しいガンアクションが最初の見せ場。そういえば、ランボーがガンアクションを見せるのは初めてだなぁ、と思いながら、同時に「そういえば、コラテラルでも似たようなシーンがあったな。でも、トムはワンカットでやって見せたところを、スタローンはスリーカットか。やはり、素早いガンアクションは無理だったのかな」などと、考えてしまった。


屈折していた彼が、サラたちの危機に接して自分を吹っ切る。自分の才能は戦闘にあるのだ、と。今までのシリーズ、とりわけ一作目ではベトナム帰還兵のトラウマ、国のために戦ったら厄介もの扱い、が描かれていた。どこか、自分の身を守る、とか、依頼を受けたし、とか、上官が危機に晒されてるし、とか、仕方なしに戦う、みたいな部分があった。
だが、本作では「オレの才能が戦闘にあるなら、それを駆使するのを躊躇うな」と覚醒。
どこかイヤイヤな感じのある傭兵達を叱咤して駆り立て、サラ達の救出へ。遠慮無しに矢で射殺するし、喉は引きちぎる。二次大戦時の大型爆弾にクレイモアを仕掛けて吹き飛ばし、機関砲を奪って部隊を撃破、哨戒艇も破壊。体は穴が開いたり引きちぎれるし、頭はぶっ飛ぶし、見事な殺しっぷりに呆れる他はない。特撮の進歩はランボーのアクションを押し上げたな、と感動した。


最後、ランボーは今まで帰ろうとしなかった自分の故郷、父のもとへ帰る。
きっと、自分は人を殺した。大勢殺した。しかし、自分自身に恥じ入る事はしなかった。と云えるようになったのだろう。自分を否定せず、折り合いを付けることが出来るようになったのだ。
タイトルの“John Rambo”は、自分自身の姿全てを受け入れた事を指しているのだろう。


ちょっと面白かったのが、バレットが登場したこと*1。狙撃の瞬間、頭部は消し飛ぶ、体は吹き飛ぶ、「そんな銃があるかよ」と思ったら、バレットだった。でも、幾らバレットでも体は吹き飛ばないんじゃないの?所詮、50口径なんだし。それに、潜入救出部隊の狙撃にバレットみたいな嵩張る銃を持っていくかなぁ。ま、バレットが活躍するだけでも満足なんですけど。
それから、何で逃亡する時にトラックや通信機器を壊していかないかな。そういうのは基本じゃないの?


それにしても、実際の世界情勢を意識しているなら、人を面白半分に殺すゲスな連中を登場させてぶっ殺して欲しいね。ほら、いるでしょ。こいつら


イラク無差別射撃ドライブのBGMはエルビス
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20070122


世界最大の傭兵会社ブラックウォーターUSA
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20070925


ぜひ、ランボーにはこいつらと、こいつらを派遣したヤツと、戦争を支持した連中に残虐な死をくれてやって貰いたいモンです。

*1:ノベライズではチェイタックM200だった