シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

元増田終了

 ここで触れるのが、遺伝子組み換え技術が登場した70年代、乱用を恐れた研究者らが実験の一時見合わせを呼びかけた話だ。急いで開いた国際会議の議論は実験指針につながった。開催地の名からアシロマ会議という。著者は、このように学界が自律に立ち上がったことを高く評価する。

 別の章では、核に対する「アシロマ」もありえたという歴史上のイフが、悔いを込めて語られる。

 核分裂発見直後の39年、米国で物理学者の会議があった。原爆誕生の可能性を知りながら「大胆に発言し、協議事項に倫理的責任の問題を含めるよう提案する者はだれもいなかった」。アシロマのようには「勇敢な人物は現れなかった」のである。

http://book.asahi.com/review/TKY200809090097.html


だそうですよ。
フリーマン・ダイソンといえば、以前自分のエントリーでも取り上げたことがあるけど、「オリオン計画」「ダイソン・スフィア」のような“テクノロジー優先”的な発想をする人物だった。
だから、今回、抑制の利いた科学観を開陳したことに正直ビックリしている。
おそらくは、息子のジョージ・ダイソン*1の影響が強いのだろうな、と思ってしまった。

 生物学の流れにも苦言を呈する。西側世界では「遺伝子」に目を奪われ、生き物と地球環境を一つにとらえる「生物圏」を忘れてこなかったか。「両方の種類の生物学が必要」との立場をとる。

この辺なんかは、息子の影響だよね。ジョージはアラスカ西海岸地方を今もカヌーで行き来している筈だけど、「生態系」を「知識」ではなく、「内よりの意識」として捉える事が出来る希有な人物なんだわ。「関係性」を重視する「生態系学(エコロジー)」をキチンと捉える事は難しい。
その点を意識したダイソンは自分の世界の枠を超えたのだね。

宇宙船とカヌー (ちくま文庫)

宇宙船とカヌー (ちくま文庫)

*1:「宇宙船とカヌー」に詳細掲載