FOXワールド
こういう意見に賛同する人が増えている事をどう捉えるべきか悩むところ。
橋下知事を叩くということ
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20081027
大阪府の橋下知事ってホント毎日叩かれているよね。よくここまでやるなあというくらい。
そして例によってネットでは(もちろん叩く記事やブログもあるけれど)同時に、その背景を詳説したり異なる見方を提供する論調もたくさんある。
既にあちこちで指摘されていることではあるけれど、そしてまた橋下知事の件にとどまらないのだけれど、ここのところ、この“既存大手マスコミの論調”と“ ネット上での世論”の乖離があまりにもパターン化していることに驚く。いや、反対か。驚かなくなっている、という方が正確かも。
ネット上での世論、てのが何を指しているのか、正直サッパリ理解出来ない。というか、乖離といえるような纏まった意見など存在しているの?
装いと取り払えば、“橋下知事は、「マスゴミ」には叩かれていて、それが大多数の意見のように見えるが、「実際の多数派である」ネット上での意見(=ネット世論)では違うんだよ”と云いたいわけ?
でもねぇ、「毎日変態記事問題」でも指摘したが、結局、ネット世論などというものは存在しなかった。毎日新聞に対して抗議行動?を起こしたのは極右政党とそのシンパぐらいだったし、訴訟騒ぎも同様。
だからこの問題は、単純に橋下がバカなだけだと思うけどね。
既存権力者(団塊世代前後)の広報言論機関である大手マスコミにとって、30代の“若造”が知事という自分たちより“上の”ポジションを獲得するなど“ あってはならないこと”だ。一日も早くこいつを“経験の足りない、考えの足りない若造であり、知事になるなど100年早い。”と世間に知らしめなければならない。それが(団塊世代の広報機関たる)マスコミの使命である。という姿勢があまりにも鮮烈だよね。
穿ちすぎでしょう。だって、橋下を大阪府知事の座へ上り詰めさせたのは“誰の”力だった?それこそ“既存権力者(団塊世代前後)の広報言論機関である大手マスコミ”のバラエティショーに登場して人気者になり、“(略)”による宣伝を繰り返し、“(略)”の広報を受けた選挙民によって選ばれたんでしょ?違うの?
ヤツが人気者に成り仰せた「行列が出来る法律相談所」って、メイン視聴者は主婦層や高齢者層じゃないの?彼らが人気者に押し上げ、そして府知事へ押し上げたわけでしょうが。
だから、マスコミが橋下を取り上げるのは、以前も今も同じ文脈、“それが受けるから”だけでしかなく、持ち上げるのも叩くのも表裏一体でしか無いでしょう。わざわざ世代間の問題にするような話かな。
一方で大手マスコミは、たとえば横浜市の中田市長(38歳で初当選。その前は衆議院議員。現在でも44歳)や神奈川県の松沢知事(46歳で神奈川県知事、その前は衆議院議員)の活躍についてはゼロとは言わないまでも、ありえないほど書かない。
いや、松沢知事はともかく、中田市長は当選当初、マスコミに出まくりだったと思ったけど。
正直言えば、自分は松沢知事はまったく評価していないし、やはり横浜市の大規模公共事業には手を付けない“改革派”の中田市長だって評価していない。彼はメンタリティの面でも問題があると考えているし。
・(松沢しげふみ(成文)神奈川県知事のこの4年間の「実績」)
http://d.hatena.ne.jp/artane/
・中田横浜市長の人種差別発言で
http://blogs.yahoo.co.jp/zakoba2005/51486398.html
でも、彼らは、(埼玉県の上田知事も含め)実績を上げている首長として評価されて、かつ無用な波風を立てないからこそ、“目立たない”だけだと思うけどね。
このマスコミの姿勢は徹底していて、安倍総理の突然の辞任には「総理になるのが早すぎた」「一国のトップとしては若すぎた」と“年齢”にタグ付けする一方で、福田総理が同じ行動をしても「やっぱり年寄りはあかん」などとは決して報道しない。
あのね、これは安倍チンに対する助け船、なんですよ。私は単純に安倍チンは“無能だ”と思うので年齢が若かったから、には与しないけど、それを云っちゃったら、身もフタもないでしょ?いつまでたってもコイツはダメだよ、と宣告してしまうことになるんだから。
誰かがヘマった時に、助け船を出してやるのは別におかしな事じゃないだろうに。
それとも、安倍ちゃんにトドメを刺しておきたい?
もしも石原さんが橋下さんと同じ年齢だったら、やっていることが同じであってもその報道のされ方は全く異なったものになると思う。前に橋下知事が勤務時間中にジムに行ったとか叩いてたけど、石原都知事はそもそも週に2日か3日しか都庁にこないじゃん。若くてこんなことしてたら何を言われるだろう、って思うだよ。
えーとですね。若い人は知らないんでしょうけど、石原氏はそれこそ“昔っから”“若い頃から”、ああいう人だったんですよ。年齢のせいにしようがないんです。人種差別、障害者差別発言に勇ましい言葉や人をバカにした発言に至るまで、ある意味彼はまったく「変わっていない」。
民主党の偽メール事件ってのがあったでしょ。あれも同じだよね。“やっぱり若い執行部ではダメだ”という論調をマスコミは民主党の古手リーダーと利害を共有して作り上げた。あれ以来、民主党の若手は党内選挙にさえ立候補できなくなってしまった。
というかですね。その前に菅氏が代表だった時、彼に難癖付けて辞めさせた事もあったわけです。単純に小泉贔屓だっただけでしょう。むしろ、前原達も無能の烙印押されずに、「若いから」で免罪されているわけですよ。私は単純に前原は無能なので、代表になどなって欲しくないと考えますけどね。
マスコミが橋下知事を必死で継続的に叩きたがるのは、彼個人の資質の問題というより、“30代で日本3番目の県の知事になるなどという例を、決して成功例として終わらせてはならない”という強い意志、強固なミッション、が彼らにあるからだ。
だから、そんな強固な意志やミッションが存在するなら、そもそもその意志やミッションを共有する大阪財界や府議団がバックに付くわきゃないでしょ。
新聞はじめ、マスコミって「なんとか若者に気に入ってもらおう」という努力を全く感じないよね。“30代なんかではまだ全然何もわかってないですな”っていう世論を作るのに必死で、高齢者にこびまくり続けるのみ。これはいったいなぜなんだ??
これって、“オレの気に入る論調にしろ”って訳しゃいいの?勝手に“若者”を代弁されてもねぇ。自分が同意出来ない論調の記事が出るから、それは“30代なんかではまだ全然何もわかってないですな”っていう世論を作るのに必死、に見えるわけかい。
オレもマスコミのあり方に対しては文句がある。だが、それは、暴力の応酬という形で片づけられてしまうパレスティナの人々の抗議であったり、ワーキングプアの問題であったり、大型公共事業の問題であったり、と圧倒的に踏みにじられ置き去りにされた人々の嘆きの言葉を集めるような作業を欠いている点に関してだ。
橋下知事は立派に権力者*1であり、彼がその言動をもって批判の対象になるのは当然のことでしかない。それが気に入らないからといって、世界の変化が“マスゴミ”に及びますように、って願望は、なんか赤木智弘の一連の議論に近い感じだ。
じゃあ、その願望が一足早く来た国はどうなってんのか。それは、町山智浩氏の一連の

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)
- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/10/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 165人 クリック: 1,576回
- この商品を含むブログ (247件) を見る

- 作者: 町山智浩
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2004/08
- メディア: 単行本
- 購入: 20人 クリック: 263回
- この商品を含むブログ (50件) を見る
著書などが参考になるんじゃないかな。
アメリカじゃ、マスメディアの広告収入は減る一方で、新聞社が買収の対象になるわ、記者の解雇は相次ぐわ、の状況。ここで登場するのがメディア王、ルパート・マードック。彼がどんどんこの状況でメディアを買い漁っているのはご存じの通り。
で、そのマードックの支配するメディアと云えば、ブッシュを賞賛し、イラク戦争を支持した「FOX」のようになる。FOXのような論調を好む人々がいて、それに迎合することが利益になると理解したマードックのような人物がメディアを押さえる。アメリカ外からはそれがどんなに異様な事に見えたとしても、FOXを選択するような人々が考えを変える事は無い。なぜって、彼らが欲しいと思う情報をFOXは伝えてくれるからだ。
“ブッシュは正しい”“イラク戦争は必要な戦争だ”
そうした扇動に乗せられたあげく一番割を食ったのは貧困層であり、その若者達だった。
そういう世界を期待しているわけ?オレは御免だな。
*1:本人も認めているよね