以前に書いてお蔵入りしていたブログネタ。以下に掲載する。
昔のことだ。
自分はアメリカドラマの吹き替えが好きでよく見ていた。
ウィリアム・カットの「アメリカン・ヒーロー」、ジャン・マイケル・ヴィンセントの「超音速攻撃ヘリエアウルフ」、ジョージ・ペパードの「特攻野郎Aチーム」、デビッド・ハッセルホフの「ナイトライダー」などなど。
そのアメリカTV映画があるあたりから突然として設定が変わり面白くなくなった。
どの作品ももともとは地域を牛耳るボスや悪徳企業などが敵だったのが、急に敵は“外”の存在になった。ラルフはスーツの秘密がバレて。エアウルフはホークが大怪我を負い、相棒ドミニクが死に、兄へ主人公交代と共に。Aチームは逮捕されて特赦を条件に。どれも急に「権力の犬」に成り下がったのだ。どれも、アメリカの典型的なヒーロー像とちょっとズレたところが面白かったのだが、典型的なアメリカ万歳ヒーローになって見る気が失せた。
アメリカンヒーローは気のいい高校教師がスーパーヒーローの力を手に入れてしまって困る、そのズレ具合が楽しかった。エアウルフは国の最新兵器として造られたヘリを、それ以外の目的で利用し、悪をぶっつぶす痛快さが楽しかった。Aチームは軍から脱走した一癖も二癖もある連中が、その能力を生かして小悪を叩きつぶす格好良さがよかった。
その彼らが赤い悪の帝国と闘う話、なんてのが大して面白くない、というのは自分の感想だけでなかったようで、早々にそれらは自分の視聴していた放送局では打ち切りとなった。その他の地域やアメリカでは放映されていたのかどうかは知らない。
どうして、それらの番組が急に変わってしまったのか疑問だったが、どうやらそれらの番組設定が変わったのは、本国の放映がレーガン政権二期目の頃のようだった。
レーガンがソビエト連邦を「悪の帝国」と呼び、敵対を鮮明にしていた頃の事だ。レーガン政権の姿勢が娯楽番組にまで影響を与えた、と考えたら穿ちすぎだろうか。
こう考えるには、別例があるのだ。
映画にもなったかつての人気番組「X-Files」。X-Filesは、政府を信じるな、のメタファになっていた。政府は全てを隠蔽し、国民に隠れて良からぬ事を行っているというメッセージが明確になっていた。映画ではもっとハッキリしている。極めて退屈な映画だったが、冒頭ではオクラホマの連邦ビル爆破事件が登場する。現実には、連邦ビルを爆破したのは極右のミリシア(民兵組織)だったが、映画では、実は政府の闇組織が異星人とつるんで実行した、というストーリーである。なんで、そんなシーンが必要だったのかはさっぱり判らない。べつに貿易センタービル爆破事件*1でも何でも良かったと思うのだが。
このX-filesの終了後に放映され、リアルタイムストーリーで人気作となった「24」は、対称的に、政府を信じろ、のメタファである。政府は超法規的、非合法的活動を行うが、全て国民のためであり、それを知れ(そして支持しろ)というメッセージがある。ジャック・バウアーが“テロリスト”にどういう態度に出るかを見れば良く理解出来るだろう。
ジャック・バウワーの拷問はプロが参考にしている!?
http://sokukyou.seesaa.net/article/95798591.html
2001年9月の米中枢同時テロ後、米政府がテロ情報収集のため拷問に等しい尋問方法を導入する過程を検証したノンフィクション「トーチャー(拷問)チーム」の著者、英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのフィリップ・サンズ教授は産経新聞に対し、「テロとの戦いを描いた米のテレビドラマが拷問は役に立つという雰囲気を醸成し、尋問方法の検討チームにも影響を与えていた」と指摘した。同教授は6日に米下院司法委員会で証言する。
この作品の違いは、民主党のクリントン政権から、共和党のブッシュ政権への移行があるのではないだろうか。放映時期と放送局がFOX*2であることを考えるとそれほど的外れではないのではないか。
もちろん、LOSTやプリズンブレイク、トゥルーコーリング、など他にも人気作はあるわけで、プロパガンダ作ばかりが流されているとは思わない。しかし、日本でも放送命令などというプロパガンダが行われる事になっていることを考えると、今後、そういうソフトでスマートなプロパガンダが行われないとは云えない気がする。
ここまで。
これを書いた後に、米民主党政権が現実味を帯びる頃にX-Filesがなぜか再び映画化。「24」は展開が大幅に変えられた上に延期、その後は不明。
おそらくだが、FOXでは再び「政府は信用出来ない」というようなストーリーのドラマが作られるような気がする。これも陰謀論かな。
- 出版社/メーカー: タキコーポレーション
- 発売日: 2004/08/27
- メディア: DVD
- クリック: 21回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2006/12/22
- メディア: DVD
- クリック: 21回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2004/12/17
- メディア: DVD
- クリック: 26回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2005/07/22
- メディア: DVD
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン
- 発売日: 2007/07/27
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
24 -TWENTY FOUR- トリロジーBOX [DVD]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2010/06/09
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 19回
- この商品を含むブログ (136件) を見る