できるかな? ぼくらのミライに逆回転
ニューヨーク近郊、ニュージャージーの寂れた街パッセーク。再開発で立ち退きを迫られるビデオ店「Be Kind Rewind」。店員のマイクは店長の留守を預かり未だVHSビデオレンタルを続ける店を切り盛りするが、友人のジェリーが店内のテープを全部消去してしまう。老婦人の客に「ゴーストバスターズ」を頼まれたマイクは窮余の策を思いつく。「そうだ、自分たちで作ってしまえばいいんだ。」…。
いやぁ、今年の洋画は豊作だったな。「ノーカントリー」「ダークナイト」「ミスト」「クローバーフィールド」「告発の時」「ゼア・ウィルビー・ブラッド」。
シネ・ギャラでは、「命の食べ方」「いまここにある風景」など。今年は邦画が好調で、洋画が不振だそうだが、そりゃ単に客がボンクラだからだよ(暴言)。映画館まで見に行くんだよ?スクリーン映えする映画見なくてどうするの?TVドラマの続きみたいなものを金払って見に行くヤツの神経が知れん。
閑話休題。
で、今年最高の映画に本作を押そうと思う。もちろん、「ミスト」「ノーカントリー」は恐かったし、「ダークナイト」は魅力的だった。「クローバーフィールド」は斬新だった。
しかし、「映画っていいよな」と思わせてくれた点では本作が一番。
リメイクのための工夫の数々。ビデオ店「Be Kind Rewind」はうち捨てられたようなパッセーク、ひいては置いていかれた多くの人々の象徴だ。途中、常連客が1ドルのレンタル料を1セント硬貨で払うシーンがある。つましい生活の中で貯めた小銭をささやかな楽しみであるビデオ鑑賞に使う。そんなところが良く出ているのだ。そんな映画に対する純粋な愛情を追求するのが“スウェーデン製”のリメイク。お金も人もないのないないづくし。あるのは映画に対する思いのみ。だって、連中映画のシーンもセリフもみんな作るんだよ?映画に対する愛あっての事だよ。
しかし、みんなに好評な“スウェーデン製”(ポルノじゃないよ)ビデオ。著作権法違反という事で取りつぶし。シガニー・ウィーバー、お久しぶり。立ち退きを迫られ、リメイクも禁止で凹むマイク達に、ジェリー達が呼びかける。
「リメイクがダメなら、オリジナルで“スウェーデン製”作ろうぜ!」
街の、“取り残された人々”の協力で、みんなで映画を作る。なんか、高校時代の学園祭を思い出しちまったよ。あの時は色々と工夫したっけ。おかげで優勝したけど。
で、ラスト。パッセーク出の有名人ファッツ・ウォーラー伝記映画(その筋立てだって皆で創作)を試写会。ライバル?レンタルビデオ屋まで協力しての試写で奇跡が起きる。それが何かは見て欲しい。
全編、テンポがいいのだが、決して客を置いてきぼりにする事はない。公式サイトに“スウェーデン製”作品が載せられているので、ぜひご覧のほど。
日本版公式サイト
http://www.gyakukaiten.jp/