シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

非対称の中東

イスラエル、ガザ空爆3日目 国防相「全面戦争」を宣言
http://www.asahi.com/international/update/1229/TKY200812290177.html

 【エルサレム=井上道夫】 イスラエル軍は29日、パレスチナ自治区ガザに対する3日連続の空爆を行い、AFP通信は現地医療関係者の話として、これまでに少なくとも345人が死亡、1550人が負傷したと伝えた。イスラエルのバラク防相は同日、イスラム過激派ハマスとの「全面戦争」を宣言し、ガザ周辺を「軍事閉鎖地区」に指定。ガザとの境界には数十両の戦車や装甲車が集結。地上部隊の侵攻準備も進めているほか、ガザ沖に軍艦を派遣しているとの情報もあり、大規模な戦闘への突入が懸念されている。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はこれまでに、少なくとも57人の民間人が死亡したとしている。ハマス側は300人以上の死者のうち180人がハマスのメンバー、残る死者の多くが民間人だと主張している。子どもも犠牲になっている。

 イスラエル軍はまずハマスの治安拠点を集中的に空爆したが、その後、標的をモスクや大学、行政庁舎に拡大しており、市民の犠牲が増えている模様だ。28日には、エジプトとガザの境界にある約40カ所の密輸用地下トンネルも爆撃した。

 ハマスもロケット弾攻撃で対抗。AFP通信によると29日、ガザから約20キロ圏内のアシュケロンでイスラエル人1人が死亡した。

 ガザ南部ラファのエジプトとの境界では28日、ガザ住民が境界壁の数カ所を壊し、エジプト側に逃げ込んだ。この混乱で、パレスチナ人とエジプト治安部隊が衝突し、エジプト人警官1人が死亡。AP通信によると、エジプト政府は29日、ラファの検問所を開け、人道支援物資を搬入するトラックの通行を許可した。

 イスラエルとの和平交渉団長を務めるパレスチナ自治政府のクレイ元首相は29日、「イスラエルの攻撃が続く限り、交渉には応じられない」と語り、昨年11月に米国主導で再開した和平交渉を中断する意向を示した。


またしても旅の話。その昔、バックパッカーとして海外を旅行すると、安宿や安食堂でよく顔を合わせる連中がいた。ボロボロの格好にどでかいバックパック、無精ヒゲにボサボサの髪。長い事各国を放浪しているらしい彼らとメシを喰いながら話をする。彼らはイスラエルの若者達だった。
彼らは学校卒業後、人生経験を積むために海外を1年ほど流離うのだ、と云った。そして、帰国後は兵役に就くのだ、と。食事を持ってくる子供に笑いかけ、ありがとう、とたどたどしくお礼を言う。ほんの少しだけ彼らに出会い、そして別れた。


日本において、パレスチナ問題は昔からパレスチナ過激派(かつてはPLO、現在ならハマス)に焦点が当てられている。つまり、イスラエル側にどれだけの被害が出たか、という視点だ。圧倒的に殺されているパレスチナ側の被害をほとんどネグるか、矮小化されているのだ。例え扱うにせよ、「暴力の応酬」とか「衝突」という形で実態は隠蔽されている。


その全貌を記すのは難しいが、少しだけ例を挙げよう。
パレスチナ自治政府の暫定自治区イスラエルによる占領地域を一部返還されたもので、占領地域に囲まれた島のようなものだ。


イスラエルパレスチナ暫定自治区
http://homepage2.nifty.com/cns/middleeast/israel.htm


ヨルダン川西岸地域では、ユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力が絶えない。失策続きで中東和平に賭けるイスラエルオルメルト政権からも非難されるほどだ。


イスラエル首相、パレスチナ人襲撃を「虐殺」と非難
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200812080020.html

エルサレム(CNN) パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ヘブロンで先週、ユダヤ人入植者らがイスラエル当局の退去命令に反発し、パレスチナ人らに発砲した問題で、イスラエルオルメルト首相は7日、入植者らの行為を「ユダヤ人虐殺に相当する」と、厳しい言葉で非難した。


ガザ地区ではさらに状況はひどい。ガザ地区への出入りは厳しく制限され、欧米のメディアの立ち入りさえ制限されるほどだ。

イスラエルのガザ入り拒否、欧米主要メディアが抗議
http://www.asahi.com/international/update/1120/TKY200811200300.html

エルサレム=村上伸一】イスラエル当局がパレスチナ自治区ガザへの報道陣の立ち入りを拒否していることに対し、AP通信やロイター通信、CNNなど欧米の主要メディアが19日、社長や幹部の連名で抗議の書簡をオルメルト暫定首相に送った。

 立ち入り拒否はイスラエル軍が4日にガザに侵入し、イスラム過激派ハマスとの戦闘が再燃してから続いている。以前は戦闘中でも、外国報道陣は入ることができた。


欧米メディアでもこれだから、ガザ地区住民に対する制約、というより嫌がらせは酷い。
抵抗すれば殺される。イスラエルガザ地区にこんなものさえ設置している。


イスラエルガザ地区境界に「自動殺傷ゾーン」導入へ
http://wiredvision.jp/blog/dangerroom/200706/20070611134302.html

イスラエル軍は長年にわたり、ガザ地区パレスチナ武装勢力が越境してイスラエル側に入ってくるのを防ぐ方法を見つけ出そうと試みてきた。その最新の方法は、遠隔操作の機関銃、地上センサー、および無人機をネットワークでつないだ「自動殺傷ゾーン」を、60キロメートルの境界に沿って設置するというものだ。このシステムは、『See-Shoot』(見て、撃つ)または『Sentry Tech』(ハイテク歩哨)と呼ばれている。


これがさらに拡大しているようだ。


ガザ地区境界線に広がる、イスラエルの「自動殺傷ゾーン」
http://wiredvision.jp/news/200812/2008120821.html


イスラエル軍ガザ地区にしばしば侵攻しては、家屋もオリーブの木も何も平気で破壊する。(パレスチナ+ブルドーザーで検索してみるといい)。その破壊に抗議したアメリカ人女性さえひき殺した*1
また、ガザの町中でミサイルを利用したハマス幹部の暗殺さえ行う。当然、巻き添えを喰らう住民も出るがイスラエル軍は活動を正当化する。


イスラエルのこうした行動は当然パレスチナ人の強い反発を呼び込むが、それを指して日本の主要メディアでは「衝突」「暴力の応酬」と呼ぶのだ。こうしたイスラエルに対する特別扱いはこれだけではない。


先だって、北朝鮮の核問題を巡る六カ国協議が行われた。


5カ月ぶり6者協議スタート 「試料採取」文書化で溝
http://www.asahi.com/special/08001/TKY200812080334.html

【北京=稲田信司、奥寺淳】北朝鮮の核問題を巡る6者協議の首席代表会合が8日午後、北京の釣魚台迎賓館で始まった。議長国中国は9日に、北朝鮮が6月に提出した核計画申告の検証方法や対象を定めた合意文書の草案を各国に提示する予定。だが、核関連物質のサンプル(試料)採取を文書に明記するよう求める日米韓に対して、北朝鮮は拒否しており、5カ月ぶりの協議は難航が予想される。


どの国も北朝鮮に核を放棄させようとしているわけだ。これは、イランなどに対する態度も同じ。


米大統領「イラン核兵器開発、許さず」
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081205AT2M0504U05122008.html

【ワシントン=弟子丸幸子】ブッシュ米大統領は5日夕、ワシントン市内で中東情勢を巡り演説し、イランの核開発は世界にとっての「脅威」だとの認識を改めて表明する。「米国はイランの核兵器開発を許さない」と強調。ウラン濃縮活動を即時に停止し、外交交渉により解決するようイランに促す。ブッシュ政権の中東政策に関しては「イラクでの戦いは予期していたよりも長く犠牲の大きなものになった」と振り返る見通し。米ホワイトハウスが同日午前、演説に先立ち草稿を公表した。

だが、イスラエル*2核兵器開発はお咎め無しなのだ。
イスラエル核兵器、それも水爆(中性子爆弾?)の開発を進め、すでに複数の弾頭を保有していると考えられている。その事は核施設の技術者モルデハイ・バヌヌ氏によって告発されたが、バヌヌ氏はイスラエル政府によって収監され、アメリカなどの国々(日本を含む)は、その告発を無視している。
しかも、イスラエルはかつて南アフリカアパルトヘイト時の)に核技術を提供している。これも無視されている。


イスラエルの非道ぶりに批判が集まるのは当然で、イスラエルに対しては国連安保理で非難決議が何度と無く討議されている。そのたびにアメリカは拒否権を発動。アメリカの拒否権発動は82回、そのうちイスラエル非難に対するものが約半数の37回にのぼる。


イラクやイランに対する態度との大きな違い。そのアメリカのダブスタが追従する日本の態度、ひいてはメディアの態度を生んだのだ。知らぬふりを決め込む中で、パレスチナの人々はまるで交通事故か何かのようにイスラエルに殺されていく。


アメリカは、その行動を見れば「テロ国家」と呼んでも良いイスラエルを支えるために、巨額の援助を行っている。


参考:アメリカが武装させたイスラエル
http://palestine-heiwa.org/news/200607280950.htm


だが、希望が無いわけではない。


イスラエルモサド副官の娘が兵役を拒否
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2008/10/post-748f.html

(略)
9月、私はオメアに何度か会った。アパートで、他の良心的兵役拒否をした少女たちと一緒だった。1年前に卒業した高校の前で、彼女たちは共に、イスラエルによるヨルダン川西岸地区及びガザ地区占領に反対するチラシを配布していた。

オメアが市民的自由を得られる最後の日、イスラエル国防軍への2年間兵役任務命令を受けた新兵受入基地の門の前で、私は彼女に会った。彼女は徴兵を拒否し、裁きを受けまもなく収監されることになった。

十数人の支援者が現れた。『壁に反対する無政府主義者』のメンバー、彼女の母親、そして数人の友人。終わりの時を遅らせようとするかのように、オメアは支援者たちの傍に居た。これから彼女は独りで軍に立ち向かわねばならない。
(略)

彼女以外にも良心的兵役拒否を行う者達が多数出ている。
web上では見つけられなかったが、パレスチナ人のオリーブ収穫を手伝うイスラエルの市民団体もある。(記憶にはあるのだが、ご存じの方情報があればお願いします。)


旅先であったイスラエルの若者達、彼らは国に帰って兵役に就いたのだろうか。
かつて、ナチスによって惨たらしい目にあったユダヤ人達が作った国が、他の人々に対してナチス並みに非道な行為を数十年続けている事は残念で堪らない。だが、それにNo!を示す人々もいる事が少しだけ希望を感じさせる。


私は夢想する。あの時知り合った若者達がパレスチナ人達に銃を向ける事を拒否する姿を。世界を巡り、他の国の人々と交流した事が彼らを偏狭な態度へ向かわせなかったことを。彼らが私に向けたような親しみをパレスチナの人々にも向けてくれる事を。


参考サイト


・ガザ空爆の報道メモと現地レポート転載 (Gazing at the Celestial Blue)
http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-590.html

パレスチナ1948 NAKBA

パレスチナ1948 NAKBA

パレスチナ新版 (岩波新書)

パレスチナ新版 (岩波新書)

*1:http://d.hatena.ne.jp/umeten/20081208/p1

*2:最近だとパキスタン、インドもなし崩し的に認めようとしているが