シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

性奴隷が欲しい!

ちょっと前の事になりますが、江東区のマンションにおける殺人事件の公判で被告が述べたという言葉が反響を呼びました。(以下、グロテスクな表現があります)



神隠し殺人初公判(1)】動機は「性奴隷にしたかった」 交際経験ない被告(10:00〜10:15)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090113/trl0901131112003-n1.htm

 《東京都江東区のマンションで、2軒隣に住む会社員の東城瑠理香さん=当時(23)=を殺害して遺体をバラバラにし、トイレに流すなどしたとして、殺人、死体損壊、死体遺棄などの罪に問われた派遣社員、星島貴徳被告(34)に対する初公判が13日午前10時、東京地裁104号法廷で始まった》


星島被告、初公判で「性奴隷にしたかった」 (2/2ページ)
http://www.sanspo.com/shakai/news/090114/sha0901140506013-n2.htm

星島被告は「女性を自室に連れてきて性的快楽を与え続け自分の思うようにしようとした。『性奴隷』です。自分ならできると思った」と動機を告白。性奴隷を「私とのセックスに依存し、私を必要に思うような女性」と定義した上で「警察に訴えられないように(強姦し)調教しようと思った」と明かした。


タイトル自体えげつない感じですが、記事についたブクマコメントなどを見ますと、みんな憤っているのが伝わってきます。
女性を自分の身勝手な欲望のために拐かしたあげくに殺害するなんて許せない!
そんな、コメントから伝わる健全さに、世の中まだ捨てたもんじゃ無いなぁ、などと思っていたのですが、ある事で闇を覗き込んでしまったような気にさせられたのです。
あるニュースサイトを見ていた時のことですが、一緒に掲示されていたgoogle Adsenseに目が惹き付けられました。


エロ目的の広告はネットの花ですけど、これほど赤裸々な願望をニュースサイトに載せられると驚いてしまいます。で、この「洗脳で好きな女を彼女に」で検索掛けてみると、さらにあからさまな欲望剥き出しのサイトがバンバン引っ掛かってきます。案外、この手の願望ってのは珍しくもないのかもしれない、それも犯罪に繋がるとしても…
というわけで、「性奴隷が欲しい!」という犯罪について調べてみると、これが結構あるんですね。
そのへん、ちょっと紹介してみましょう。


最近の事件で有名なのは、オーストリアにおける事件でしょう。


オーストリアで娘を24年間監禁した男を逮捕、子ども7人を産ませる
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2384231/2874952

【4月28日 AFP】オーストリアの警察当局は27日、自分の娘を24年間自宅の地下室へ監禁し、性的暴行を加え7人の子どもを産ませてとしてJosef Fritzl容疑者(73)を逮捕した。

 同容疑者の娘(42)は1984年8月28日、東部アムシュテッテン(Amstetten)近郊の自宅で、麻酔で眠らされた後、手錠をかけられ地下室に閉じこめられた。

 娘は失踪(しっそう)者として認定され、国際刑事警察機構InterpolICPO)による捜査も開始された。両親に対し、捜索を中止するよう求める手紙が届いたことから、地元当局はある宗教団体に拘束されていると結論づけていた。

 被害者は、父親から繰り返し暴行を受け、7人の子どもが誕生した。うち双子の1人が誕生直後に死亡し、遺体はその後、焼却されたとみられている。現在、被害者と生存している6人の子どものDNA鑑定が行われている。


実の娘を閉じ込めて子供まで産ませてしまう。すでに横綱クラスの変態です。似たような事件はポーランドにもありました。


http://www.cnn.co.jp/world/CNN200809090026.html

ワルシャワ(AP) ポーランドの警察は9日、実の娘を6年間にわたって監禁し、
子供2人を産ませていた同国東部シェドルツェの男(45)を拘束したと発表した。
欧州では今年、オーストリアで実の娘を24年間にわたって地下室に閉じこめ、
7人の子供を産ませた男が逮捕されている。

ポーランド警察によると、男は今月5日に拘束された。娘は現在21歳。
窓がなく、ドアにはとってがない部屋に閉じこめて、繰り返し強姦していた。
娘は2人の男児を出産した。 (元記事はありません)


そっくりですね。他にもフランスなどでもこうした事件がありました。さらにちょっと遡ると、もっとえげつない事件が登場します。


「死体の庭」あるいは「恐怖の館」殺人事件

コリン・ウィルソンが最悪の連続殺人事件に挑む。イギリス犯罪史上、最悪の惨劇「恐怖の館殺人事件」。庭から発見された11体の死体は、体の一部を切り取られていた。レイプ、幼児虐待、近親相姦、サディズム…、あらゆる現代の狂気を含む「恐怖の館」を、「アウトサイダー」「殺人百科」などの著者が分析するノンフィクション。被害者をも巻き込んだ伝染性狂気とは…。日本の読者だけのために書き下ろした最新作。(Amazonの紹介より引用)

「死体の庭」あるいは「恐怖の館」殺人事件

「死体の庭」あるいは「恐怖の館」殺人事件


殺人にまで及んでいます。半端じゃありません。大陸を渡ると、こんな事件もありました。


恐怖の地下室

18歳から25歳までの女性6人を次々とかどわかして地下室に幽閉し、一種のセックス奴隷に仕立てていた「ゲアリー・ハイドニク事件」。この事件は、電気ショック殺人や人肉嗜食といったショッキングな事態もからんでいる。(Amazonの内容紹介より引用)

恐怖の地下室 (海外ノンフィクションミステリー―ダイエット編集版)

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さすがアメリカ。変態大国。同性愛者にもこんな話が。


死体しか愛せなかった男―ジェフリー・ダーマー

17人もの男性を自室に連れ込み、殺害。からわらに寄り添い、犯し、死体を切り刻み、頭蓋骨を抱いて寝た…より親密になるために。1991年アメリカ・ミルウォキーでひとりの青年が逮捕された。彼の名は、ジェフリー・ダーマー。端正な美青年の心の内は、その外見とは裏腹に完全に崩壊していた。(Amazonの内容紹介より引用)

死体しか愛せなかった男―ジェフリー・ダーマー

死体しか愛せなかった男―ジェフリー・ダーマー


ダーマーは、被害者の頭に穴を開けて塩酸を流し込み、“自分の思いのまま”にしようとした、とあります。恐い話です。
こうした昏い願望に注目し、フィクションとして描くものもありました。
ジョン・ファウルズの「コレクター」。同名映画にもなりました。


コレクター (1965年の映画)
http://tinyurl.com/d2y6yt

蝶の採集が趣味の孤独な銀行員、フレディー。ある日、彼はくじで手に入れた大金で、地下室のある大きな古い離れの一軒家を購入する。前から気に入っていた女性ミランダを誘拐し、地下室に監禁する。


この映画が元で、蝶採集を趣味とする人々が変質者扱いされたというエピソードを見た事があります。


もう少し遡ってみましょうか。未解決事件にも性奴隷の願望を抱えた事件があるのです。
ブラックダリア事件。第二次世界大戦後まもない米ロサンゼルスを震撼させた凶悪犯罪。エルロイの小説、そして映画化によって広く知られるようになりました。

ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]

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エリザベス・ショートという魅力的な女性が失踪、ほどなくロサンゼルスの空き地で胴を真っ二つにされた状態で発見されます。彼女の惨たらしい死体には無数の暴力を受けた跡が窺えました。

その若い女性は両手両足をきつく縛られ、まず殺人者から体と陰部に小さな切り傷をいくつもつけられた。それから陰毛を剃られたが、殺人者はそれを後でヴァギナに挿入するつもりだったらしい。さらに彼女は体中殴られた。また自分の、あるいは殺人者の排泄物を食べさせられるという、これ以上ないほどの屈辱に耐えざるをえなかった。最後に彼女は死ぬまで殴られ、顔と体を残酷に切り刻まれ、冒涜された。
(「ブラックダリアの真実」 スティーヴ・ホデル ハヤカワ文庫 より引用)

ブラック・ダリア (文春文庫)

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ブラック・ダリアの真実〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)

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ブラック・ダリアの真実〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

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この本の中身は、エルロイの「ブラックダリア」と「L.A.コンフィデンシャル」を足しっぱなしにしたようなノワール感が漂いますが、実際にエルロイが序文を書いてます、衝撃的な内容ですのでオススメ。公式には事件は未解決。20世紀猟奇犯罪のイコンとなりました。


LAコンフィデンシャル〈上〉 (文春文庫)

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L.A.コンフィデンシャル [DVD]

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ちなみに、ブラックダリア事件の犯人がインスパイアを受けたとおぼしきマルキ・ド・サドですが、パオロ・パゾリーニが映画化しています。あんまり面白くないですけどね。

悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)

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ソドムの百二十日

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パゾリーニ・コレクション ソドムの市 (オリジナル全長版) [DVD]

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あの、南京事件にもゾッとする「監禁事件」が登場します。


「混血児(?)が出生してないから、南京では強姦は無かった!」って、それマジで逝ってんの?
http://www10.ocn.ne.jp/~war/rape.htm

南京安全区国際委員会のメンバーと雖も、日本兵からの暴力と無縁ではありませんでした。

金陵大学のチャールズ・H・リッグス(アメリカ人)と、アメリカ大使館員のジョン・アリソン三等書記官は、日本兵が集団で連日強姦を行なっていた場所に踏み込み、ピンタを喰らってしまいました。

金陵大学内でリッグスが雇っていた二人の中国人女性が日本兵に連行され、リッグスからこの訴えを受けたアメリカ大使館員のジョン・アリソン三等書記官は1938年1月26日、リッグスと共に日本の憲兵の同行の上、連行された場所を突きとめました。しかしそこは天野郷三予備中尉ら十数名の兵士が宿泊していた家屋で、天野は連日あちこちから女性をさらっては部下らと暴行していました。アリソンらが踏み込んだときは、まさに天野が別室で女性を暴行している最中でした。天野の部下はアリソンらに強姦現場を目撃されたくないために「back!back」と叫びながら、アリソンとリッグスに平手打ちを加え、同行の憲兵はただ傍観するのみだったそうです。この事は当然アメリカ側からも抗議されたためタダでは済まなくなり、天野ら12名は軍法会議にかけられ、天野は旅順陸軍刑務所に送られました。戦後は召集前の生業だった弁護士業(!)を再開、1964年まで生きていたそうです。(秦郁彦南京事件」より引用)


なんと、監禁強姦魔は弁護士さんだったんですね。しかも、戦後も弁護士やってます。どういう弁護士だったんでしょう。


ハッキリ言って、調べ出すときりがありません。
デュッセルドルフの吸血鬼ことペーター・キュルテンとか、人肉ソーセージのフリッツ・ハールマン、etc。

M [DVD]

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遡って有名どころ、というとやはり大元帥ジル・ド・レイでしょうか。桁が違います。犠牲者数は推定150〜1500ですから。

ペローの青ひげ (講談社の翻訳絵本)

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もちろん、ローマ皇帝ともなると、カリギュラとかネロだとかヘリオガバルスだとか。やはり権力は変態を育てますね。

カリギュラ [DVD]

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犠牲者はもちろん皆気の毒なのですが、個人的に惹かれるのがベアトリーチェ・チェンチ


澁澤龍彦氏の「世界悪女物語」に出ております。父親に監禁され犯されるのですが、彼女は反撃に出ます。なんと父親を殺害してしまうのです。しかし事件は露呈し、彼女は同情を受けつつも処刑されます。享年22歳。彼女の悲劇は様々な人に創作の啓示を与えたのか、彼女をモデルにした絵や彫像、戯曲、小説、音楽が作られています。

世界悪女物語 文春文庫

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「性奴隷が欲しい!」という暗黒の願望は、人の世に何度と無く見え隠れします。この先もおそらくこの手の事件は起こるでしょう。忌まわしい事ではありますが。一方で被害者に対する同情の声も加害者に対する憤りも無くなる事は無いでしょう。
不謹慎ではありますが、このような人の相矛盾するような心の深淵に惹かれてしまうのです。