シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

旅をするとは歩くこと その1

アンニョンハセヨ! お久しぶり、シートンです。韓国旅行してきました。
さすが引きの弱い私ですね。帰りは見事に騒ぎに巻き込まれました。

さて、韓国、知人に誘われて行ってきたわけですけど、正直、事前に何も調べていませんでした。ま、行けば何とかなるでしょ、みたいな感じです。しかも、ドジな事にガイドブック(会話集付き)を見事に置き忘れてしまったので、韓国はソウル、その玄関口の仁川(インチョン)国際空港に着いても、その後どうしようか、なんてサッパリ判りません。とりあえず、仁川がどでかい、という事だけは判りました。入国手続きを済ますと なぜ、どこでも入国審査官というヤツは仏頂面なのか ロビーへ向かいます。待っていたガイドのAさんに挨拶をすると、いきなりタクシー乗り場へ向かいます。
「え、他の人たちは?」
「いませんよ。」
「もしかして…」
「そう、あなた方だけです。じゃ、車に乗ってください。」
待っていた車はなぜか8人は乗れそうなヤツです。キャンセルが相次いだのか?ちょっと先行き不安な旅行です。


空港を出るとソウルへ向かいますが、道の外には広大な干潟が拡がっています。ここがマッカーサーが上陸を指揮した仁川か…などとつまらない事を考えますが、これだけ拡がった干潟はなかなか見る事の出来るもんじゃありません。Aさんによれば、ノリの養殖が行われたり、塩田が作られたりしている、とのこと。なるほど、ソウルの食卓を彩る海の幸が取れるわけですな。
それにしてもエライ飛ばしっぷりです。道幅も車線も日本の高速道路より広いのですけど、高速道路ではない、との事です。ソウル市へ近づくと左手にでかい河が見えてきます。
「これが漢江ですか。」
「そうです。漢江(ハンガン)です。北朝鮮ではイムジンガンと呼ばれ、韓国に入るとハンガンになります。」
「え、国境跨いでるんですか?」
「そうです。貴方国境見たいですか?明日JSA(共同警備区域 Joint Security Area)行きますか?」
え、別に行きたくも無いなぁ。でも、イヨンエさんがいるなら行きたいな。それにしても、JSAの俳優、なんかネプチューン原田泰造に似ているように思うんだが。
話も想像も逸れます。
「いや、それより河が国境を跨いでいるんですよね。警備とかってどうなってるんですか?」
「警備?してますよ。」
どうも話が通じていない。しかし、河の上の国境ってどうやって警備しているのか。なんか映画にしたら面白そうなところだな。
ハンガンは幅が広いだけでなく水量も多い。なるほど、グエムルも潜める巨大さだ。道の右側には巨大な団地が目立ち始める。


この団地のでかさも半端じゃない。そういえば、


韓国は団地天国だった(@nifty:デイリーポータルZ
http://portal.nifty.com/2009/03/27/b/index.htm


なんて記事があったっけ。このあたりから渋滞が酷くなります。
「それで、あなた方何がしたいですか?」
「え、そういえば…、オレ、よく知らないんですけど。」
「買い物ですか?ブランド物、ノリ、他に何買いたいですか。」
「いえ、あの、ブランド物って、さっぱり判らないんですけど。」
「じゃ、メガネですか。今、韓国でメガネ作ると安いですよ。」
「うーん、メガネも新調する予定無いし。というか、普段掛けないし。」
「じゃあ、何しに来たですか?」
「え、いや、というか、他の人たちはどうしてるんです?」
「女性はブランド物、それからエステ、最近はチムジルバン。男の人は、ゴルフ、それからカラオケね。」
「カラオケ?わざわざ韓国まで?*1 自分はゴルフもしないしなぁ」
「ホント、あなた方何しに来たですか!」
だんだんAさんの口調が呆れたものに変わってきます。
「うーんと、一応ですね。オレはその国の人が暮らしているところを見て回って、食事して、呑めればいいかな、と…」
「そんな、時間もったいないですよ。」
いや、別に時間の使い方を決めて貰う事は無いのですが。
「じゃあ、今夜は私が食事に連れて行きます。それから、街を案内するということで、それで何か希望はありますか?」
強引に決められてしまいました。
「え、そうですね。チゲとか食べられれば…」
「焼き肉にしましょう。」
勝手に決められてしまいます。ま、それもいいか。
「それから、水は水道水は飲まないように。水は店で買って飲んでください。トイレでは紙は流せません。紙は横のゴミ箱に捨ててください。水の勢いがそれほどではありませんし、紙も質がよくありません。」
そうか、そういえば今まで行った国は大体そんな感じだったな。ま、問題ないね。


車はハンガンを渡ってソウル市内の中心部へ向かっていきます。日本によく似ている感じですが、建物が華奢です。地殻が安定しているためでしょう。それから、字はまったく読めない。うぅむ、ハングルもちっとは覚えておくべきだったか。下町っぽいところの、ごちゃついた中を強引に進んでいくと、ホテルへ着く。Aさんはロビーで待ってるからさっさと荷物を片づけてこい、とのこと。なんか引きずられっぱなしです。


ロビーに降りるとAさんが待っています。
「時間がありません。サッサと食事にしましょう。」
ホテルを出てサッサと歩き出すAさん。慌てて追いかけます。ホテルの前は大通りなのですが、ここも渋滞がヒドい。街全体が見慣れたような、それでもって違うような不思議な感じを受けます。
5分ほど歩くと地下へ降りる階段があります。地下鉄だそうです。
しかし、キップの買い方だとかサッパリ判りません。ガイドブックには載っていたはずですが、何せ持っていません。まったくのAさん頼み。駅員に話しかけ、こちらから金を適当に受け取るとキップを渡してくれます。運賃は一律1000ウォン(1円≒13ウォン)。Suicaのような非接触型プリチャージカードもあるようですが、日本と同じく保証料が必要なため今回は購入しませんでした。
地下鉄車両自体は日本と変わるところはありません。路線表示が色分けされており、乗り換え案内が若干判りやすい事が特徴でしょうか。ただ、路線のどちら方向か、で悩むことは度々ありました。


さて、降りたのは明洞(ミョンドン)。といっても、夜だし路地裏の飲食店街でサッパリ周辺の様子がわかりませんけど、日本人観光客の多い界隈だそうです。周囲の店並みは原色ハデハデ、日本語の案内もところどころ出ており、新宿歌舞伎町界隈のようです。
「あとで、この土産物店案内します。」
いや、みやげもの今から考えなくていいけど…。ま、ツアー案内にあったしな。
「オススメのお店はココです。」
と案内された焼き肉屋で二階に案内されますけど、店員は日本語が通じるし、客も日本人ばかりです。どうやら日本人観光客には有名な店らしい。


焼肉専門店 ウリナラ
http://www.woorinara.pe.kr/


「ここはハズレがないです。オイシイですよ。」
うーん、そういうものかな。周囲の客を見習いながらセットメニューを頼みます。

嬉しいことに、韓国ではサイドメニューはおかわり自由とのこと。うん、サイドメニューも美味しい。いよいよ焼肉が登場となれば、飲み物も頼まなければ
「ビールはあまりオイシクないです。」
「じゃあ、何が美味しいですか?マッコリ飲みたいとは思ってるんですけど。」
「焼酎ですね。韓国ではストレートで呑みますよ。」
「そうなんですか。じゃあ、それ。」
注文して目の前に置かれたのは、日本でお馴染み「眞露」。
「こいつですか?」
「オイシイですよ。」
なんか、ちょっぴり残念な気分がする。韓国ならではの酒、を期待していたのに。ボトルのキャップを捻り、小振りなグラスに注いで飲んでみる。
!!!!…美味い。
全然違う。日本で飲んだ眞露とまるで別物。蒸留酒のはずなのに甘い。くどくない上品な甘さで、サラッと飲めてしまう。
ビックリしてAさんを見る。Aさんがニッコリして
「美味しいでしょう。」
「…はい。これは美味しいです。土産に買っていきたい。」
「どこでも売ってますよ。」
「え、じゃあなんで日本でこの眞露売ってないんですかね。」
チャミスルです。他のところでも出てますよ。」
「判りました。味比べしてみます。」


というわけで、焼肉は喰うわ、チャミスルは飲むわ、海苔もモヤシも何もかも美味い。さすがにチャミスル蒸留酒だけあって度数が高い。あまりのスッキリ味わい、に杯を重ねてしまい、足腰が立たなくなります。
やばいな、と思っているうちに、店を出たところで土産物屋へ突っ込まれました。
つづく

*1:あとで知ったのだが、韓国でカラオケとは買春の事らしい