シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

旅をするとは歩くこと その4

このエントリーは


旅をするとは歩くこと その3

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090508/1241789467

の続きです。


さて、チョンゲチョンへ行ってみよう、と言ってもどこにあるのかサッパリ判りません。この期におよんで「太陽の向きから言ってあっちじゃねぇ?」などという状況です。どこへ行くつもりなんだ、オレ達。「大通りに出ればわかるっしょ」といって、通りに出てみますが、当然ながらハングルで書かれた看板はまったく判別出来ません。


「どうすっか?とりあえず、誰かに聞いてみようか?」
かなりの年寄りか、若い人は日本語が多少通じる、という話を聞いたことがある我々は、適当に声を掛けて尋ねてみることにしました。で、自分達の前にいた女の子達三人組に声を掛けます。
「アンニョンハセヨ!」
「…」
レストランでゴキブリを見掛けた時のような表情を向けられます。そりゃそうですよね。昼間から酔ってるっぽい、言葉もおぼつかない(日本人だから当然だが)ヤツが声を掛けてくるんです。でも、裸になって公園で騒いでいないだけマシというものです。
ま、これも経験だ。表情に怯まず続けます。
「チョンゲチョン  … 。 (指であちこち指しながら) …ジュセヨ。」
こんな言葉で通じるのか、と思いつつも、身振り手振りで頑張ります。
すると、そんなでも通じるたのか、道の方向を指さしてくれます。
「カムサムニダ」
と礼を言いますが、なぜか進む方向は一緒です。道脇の店を眺めながら進んでいくと、開けたところに出ました。
「こいつがチョンゲチョンですかね?それっぽい感じですけど。」
一応、水路が目の前を流れています。水路の両端には人が散歩をしています。でも、そんなに簡単に着いてもいいものか?
「よく判らないけど、聞いてみましょうか。まだ、さっきの娘たち、あそこにいるから」
もっかい声を掛けてみます。
「チョンゲチョン?」
すると、
「イェー」
と返事が返ってきます。お前らは高島忠夫か。が、そうではありませんでした。「イェー」ではなく、「ネー」。そうです、って意味です。
「あ、これがやっぱチョンゲチョンなんだ。」
「あなた方は日本人ですか?」
一人の娘が日本語で話しかけてきます。
え、日本語話せるの?
「少しだけ。授業で習いました。」
すげー、他の二人はどうなのかな。
二人は話せないようです。
「英語は判ります?」
「英語はよくわからないです。」
日本語で会話をしてみます。彼女たちは大学生で、学校の帰りだという事。この後、ミョンドンに向かうらしい。
「ここ(チョンゲチョン)にはよく来るんですか」
「よく通りますよ。」
「(周りを見渡して)カップルばっかりですね。なんか居心地悪いな。」
「大丈夫ですよ。友達同士でも散歩したりします。」
一緒に散策してくれ、と言おうと思ったけれど、やんわり断られたみたい。
「ちょっと写真撮りたいんですが、一緒に写って貰っていいですか?」
キャーキャー言いながらも、彼女たち一緒に写ってくれました。

ちなみに、私の好みは左の娘です。


彼女たちと別れて、しばらくチョンゲチョン沿いを散策します。ソウルの目抜き通り沿いにあるだけあって、人工的な感じは強いですが、それでも都会のど真ん中に河川を通すのはなかなかに意欲的な試みです。



川を突き当たるまで歩いて、上に上がると再び妙なものが見えてきます。
「門ですね。」



それはキョンボックン(景福宮)でした。逆パース状態。見えてから辿り着くまで結構かかる。道を跨ぐにも大変だし。で、ようやく辿り着いたら、すでに閉館時間。しょうがなく、門から覗き込んで奥を写真に納めます。博物館も終わりか…。
後で知ったことですが、プッチョン(北村)という昔の家並みが残る地域があったんですね。近くに。でも、気づかなかった我々は早々に引き上げます。


で、次は食事がてらナンデムン(南大門)に行ってみましょうか、という事に。ナンデムンは衣料雑貨の市が出るらしい。空はすっかり暗くなり、着いた頃には周囲がよく判らなくなっています。適当に通り沿いに進んでみますが、さっぱり何が何やら。ブランド物の偽物らしいものも扱ってますけど、本物だ、と言い張ります。何人か日本人観光客が買っています。予想はしてましたが、やはりブランドだの衣類はちょっと判らない。食事の出来る店もほとんど日本人狙い。日本語で看板が出てます。なんかあまり面白くない、という事で引き上げます。
「朝行ったショッピングセンター近くの店、あのへん行ってみませんか?あそこで晩飯兼酒と行きましょう。」
朝行ったあたりはすっかり夜の顔を見せております。いい匂いはするし、人の往来も激しい。カラオケ、と書かれた店もチラホラ。日本語を喋る人も若干見掛けます。その中を朝見掛けた美味しそうな店、へ進んでいきますと、人気が無くなってきます。
…。
終わってました。どうやら、学生相手の食堂ゆえか、遅くまではやらないみたい。同行者の刺々しい視線を痛いほど浴びつつ、「あっちにあった店、あっちで飲みますか?」と戻ります。
店の外まで客が溢れて、簡易テーブルや椅子を拡げた店があったのです。ハッキリ言って、何が食べられるのかはサッパリ判りません。でも、「韓国で大人気!知る人ぞ知る」という店っぽい、という事で入ってみることにしました。
「★※?*△!」
何を言っているかは判りませんが、ニッコリ笑って指を二本。二人、を示します。
「ネー」
といって、小さな店内のテーブルに案内されます。座わると注文を取りに来ますから、さっきと同じ調子。近くの客を指して、
「… ジュセヨ。」
店員のお姉さん、ニッコリ笑って店の奥に消えます。再び戻ってきて、コップで飲むマネ。どうやら、「飲み物は何にする?」らしい。
とりあえず、チャミスルを頼みます。
お姉さん、こちらをチョイチョイと招くので、近寄ると
「★※?*△ イルポン?」
と言います。
「…イルポン? ! あぁ、そう、イルポン(日本)!」
店内がドッと盛り上がります。どうやら、日本人が来るのは珍しい店だったみたい。これは面白い。
そのうち、チャミスルと皿がやってきます。ついでに、薄手のポリ手袋も。どうやら、これで手づかみにして食べるみたい。手袋越しに熱の伝わる香ばしい薄茶の固まりにかぶりつきます。ん?甘い。しょっぱい。辛い!! 後から辛さがドカンと来る。えらく弾力のある肉の塊、なんと豚足でした。豚足を甘辛く味つけして炭火で焼いたもの。ゴリっとした歯ごたえと、噛んでいくとネットリとした感触。辛さは強烈。しかし、なぜか止まらない。
ヒーヒーいいながらガツガツ食べます。一杯目こそチャミスルにしましたが、辛いもの、とくればマッコリの出番。再びマッコリと辛豚足の組み合わせ。ドンドン進みます。
「しかし、豚足と酒ばかりじゃなんですねぇ。ご飯無いのかな?」
考えればどうやって通じたのかサッパリ判りませんが、そのうちに混ぜご飯のようなものの入ったボールが出てきます。これも手袋をして食べます。
美味い!香ばしい韓国海苔胡麻を混ぜたご飯だ。自分でちょっとずつおにぎりのような固まりして食べるわけです。腹一杯、もう飲めない、というまで飲んでお会計。17000ウォンなり。二人で飲み食いして1000円ちょっとかよ。考えられない。いい気分で引き上げます。
ちなみに、写真が何にも無いことにお気づきでしょうか。豚足を撮ったり、お姉さんと並んで撮ってもらったりと写真は結構撮ったはずなのですが、暗く、酔っぱらっていたせいもあって、ボケボケ。何一つ役に立ちませんでした。
二日目は、実に楽しくソウル市内を満喫したのであります。
つづく。