このエントリーは
エロゲーと性差別
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090609/1244556324
の続きです。
色々とコメント頂きました。
特にまいさん。ブログ主より論点の明確なコメントありがとうございます。まさに仰るとおり、
逆にそれらの作品内で女性が性対象としての記号として扱われているからこそ、私は実際の性犯罪を想起するのです。
そのような状況では、実際の被害者の女性の存在をないがしろにするような発言は、まさに現実の女性をも意思をもつ尊重すべき人間として扱う気持ちがないかのように受け取られます。
この事が重要なのです。ゲーム自体が問題、というより、女性を「記号」として扱うゲームが受け入れられる社会が実際に女性を「記号」として扱っている事に対する懸念。この事をどう考えているのだ?というのが、再三あちこちで述べられている事なのです。
なのに、まだゲーム規制の問題だ、と捉える人が現れて吹き上がるのには閉口しますね。
ハッキリ言っておけば、(この点では他の人たちとも意見が合わないかもしれないが)規制には賛成出来ません。だって、このゲームや類似のゲームを排除したところで社会の側が変わる訳じゃありませんからね。
このゲームはいわば池に写った月みたいなものです。現実の性差別を写し取った影にすぎない。それを消しても、月、現実の性差別が消える訳じゃありません。
例えば、一般の人々、エロゲーの存在など考えもしていない人々、に今回の規制について問うたらどういう反応を示すと思います?
おそらくは、
「こうしたゲームを野放しにするのは良くないね。さっさと取り締まって発売禁止にすべきだ。」と述べるでしょう。この問題に関して山谷えり子らが強気なのもそうした状況を承知しているからでしょう。
でも、そうした「規制賛成」の人々、市井のオッチャン達は、セクハラを「そんな事ぐらいで目くじら立てないでも」とか性犯罪被害に対して「女の側にも非がある」とか云い垂れるのもほぼ確実だと思います。
「エロゲー規制賛成」だからといって、「女性差別」に対してセンシティブである、とは云えないわけです。大体、山谷えり子らがジェンダー問題に対してとっている態度からもそれは窺えるはずです。
であれば、性差別問題にせめて関心を持て、という意見に対して、
私が、徹頭徹尾批判しているのは、表現の自由にヒモをつけるということです。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090609/1244556324#c1244557579
といわれても、そんな事としてこちらは捉えていない話なのですよ。
記号として扱われる(または消費される)存在である事を意識せざるを得ない人たちが、それを反映した「ゲーム」を不快に思うのは当然でしょう。でも、現実の側を変えて現実に「記号ではない」存在として遇されるのであれば、「ゲーム」は虚構の存在として「ネタ的」に扱う事が出来る。それがためで無いにせよ、差別にセンシティブであれ、問題解決にコミットしろ、ってそんなにイヤなことなんですかね。別に“洗脳”なんて必要も無いでしょうに。要は、いつまでも「性差別」を引きずるような輩を「トンデモ」の領域へ追いやれれば充分なのですから。
ですから、この問題を「表現の自由」とその「規制」として捉える事は初っぱなから間違ってます。というか、その捉え方は山谷えり子らの望むところなのです。
だって、山谷らは「性差別」解消に積極的などでは無いわけです。彼女たちの経歴といえば、ドキュメンタリー映画「靖国」の上映中止に奔走してみたり、従軍慰安婦問題において被害者に冷淡であったり、と「性差別」問題はブラフに過ぎず*1、「表現の自由」を規制する事にこそが主目的であるのですよ。
であれば、その目的とするところで「反対」を唱えたりしたところで、その出方は連中の「想定内」といえるでしょう。furukatsuさんが好きなスタイルで言えば、「敵が設定した戦場に引きずり込まれた」ってところです。それはfurukatsuさんにとっても本意じゃないでしょうに。
それにしても、今になって「規制反対」なんて間の抜けた話ですよ。だって、最近もこんな話があったわけです。
上海で南京虐殺の中国映画を上映 日本の留学生企画、監督と交流も(47NEWS)
先月22日に中国で一般公開された「南京!南京!」は、捕虜の大量殺害や従軍慰安婦の強制徴用などを生々しく描く一方、罪悪感にさいなまれた日本兵が最後に捕虜を逃がし、自殺するという異色の作品。
http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009052301000663.html
この映画が日本で上映される事はたぶん無いでしょう。何事も無いように「自主規制」されるでしょうから。無理押しすれば、昨年の「靖国」の二の舞ですし、日本の配給会社が手を出すことは無い。テッド・レオンシス氏の「Nanking」なんて、結局日本で上映しようなんて事にはならなかったわけでしょ?
furukatsuさんは、
そこが理解できないんだ。70年前死んだ中国人のことを本気で思うことは出来ない。よっぽどkanonの方が実感があるんだ。現実の政治問題としてのポジショニングは理解出来るけどね。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/sk-44/20090601/1243838801
なんて事を言ってるわけですけど、あんたが
ただ、表現の自由は一歩も引けない最後の砦なんですよ。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090609/1244556324#c1244655200
なんて言う「表現の自由」は、“本気で思うことの出来ない”部分でとうに「自主規制」されてるのよ。だから、あんたの本音は「表現の自由」なんかじゃ無いんだろ?
あとは、気になったところにコメント
「男性を犯すホモ向けゲーム」があったとしても、男性である自分は「規制しろ!」と批判はしません。こうなると「被害にあう絶対数が違う」という理論になりますでしょうか。結局は数の差、という話になりますでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090609/1244556324#c1244612192
あとさん。差別側は被差別側が感じる差別を自分のものとして捉える事が出来ません。それが、非対称性、という事です。
判りやすい例を挙げましょうか? 太っている人に「デブ」といえば傷つきます。ですが、太っている人が「ヤセ」と叫んでも、呼ばれた側は傷つかない。こうした例はあちこちに転がってます。男性側の被害を挙げても、女性側の差別状況を相殺するものでは無いことは承知しましょう。
ていうか、「差別的」ゲームをめぐる話ならば、「Six Days in Fallujah」なんかじゃなくて、「バイオ5」を巡る人種差別騒動とその顛末の方が余程事例として適当だと思うけど。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090609/1244556324#c1244652165
なまえさん。ご指摘ありがとうございます。そうした話もありましたね。
エロゲプレーヤーさん。
あなたが実際に女性をモノ扱いしていないのであれば、それはいけない事なのだ、と理解しているのであれば、そして、自分がそうした願望を秘めている事を認識出来ているのであれば、決して卑下することは無いと考えます。
問題なのは、その意識さえ無い、“息をするように”差別を行ってしまう事、です。
最近はエロゲやってないけど さん。
例のゲームが“「犯罪だ!」”とか“「人権侵害だ!」”とは述べていません。それが「娯楽」として通用してしまう「社会の内包する差別」に問題はあります。
最後に。今週のハナさん。
id:Thsc ごらんの有様 完全なる自由も平等もユートピア思想だろ/性犯罪被害者引きずり出すってどんなセカンドレイプだよ。正義の使者気取るためなら実被害者の心情お構いなしか。ゲイの強姦云々とか完全にパンドラの箱開きやがったコイツ
参考:
【政論探求】「反基地」勢力が叫ぶいかがわしさ
この事件を政治闘争の具にするというのでは、被害少女への思いやりを欠くというものだ。こういう事件を前にしては、人間の尊厳に対してどこまでも誠実でありたい。
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080213/1202894169
・14歳少女にはこれを教訓として生きてほしい
そうでないと、いつまでも「米兵の蛮行の被害少女」として扱われることになってしまう。少女を政治的に利用しようとする勢力がこんなにもいたことに、本人は当惑し、沖縄の現実を痛いほど身にしみてわかったはずだ。
http://hanasan.iza.ne.jp/blog/entry/499008/
女性をモノ扱いするゲームについての話をしながら、肝心の女性からどう見えるのか、を尋ねないで、何をどうする気だったんだ?てめェのオナニー見られたからって、八つ当たりすんなよ。
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*1:別の意味での性差別問題に積極的、とも言えるが