消滅する自民党
日本に帰ってきてから解散に関する記事などにも一通り目を通せるようになったわけだが、フォアグラあびるんのところに面白い記事が載っているのに気づいた。
2大政党どころか、民主党1党制(小沢院政)に…? (国を憂い、われとわが身を甘やかすの記)
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1135397/
(略)
となると、細川連立政権ができたときとは比べものにならないぐらい、次々と自民党から人がこぼれ、抜け落ちていく可能性はけっこう高いのだろうと思うのです。で、どうなるかというと、気付いたら、巨大な一大政党、民主党とその補完勢力、ごく小さな自民党のなれの果ての保守政党しかいなくなっていた、ということだってあるだろうなと。当然、多くの人が口にする政界再編なんてありようもなく、ただただ草木も何かも民主党になびくんじゃないかと。
うん、これは珍しくあびるんに賛成。たぶん、自民党は今回の選挙で事実上消滅するだろう、と自分も予想しているのだ。
ぶっちゃけ、麻生の解散に踏み切るタイミングなどは(自民党にとって)致命的だった。時期も悪いし、選挙期間が長いのも自民党には不利に働く。というのも、地元静岡県などを見てみても、自民と民主が競い合っているようなところでは、時間につれて民主候補の方が有利になっているようだから。元々、投票率が上がるほど自民には不利に働くことはほぼ間違いなく、周知期間が長い状況では投票率は増加傾向になるだろう。してみると、何だって麻生は今まで散々伸ばした挙げ句に、最悪な状態で選挙に踏み切るのか。単純に馬鹿だから何だろうな。
で、自民党というのは政党ではなく利権集団に過ぎないから、利権(=職務権限)から切り離されないためには何でもやって来た。逆に云えば、利権から切り離されれば存在意義さえ失う。集票組織(利権構図)が成り立たないからだ。今回の選挙で当選しようとも政権の座に無い自民党議員には利益誘導の手段は存在しない。民主党が政権を取れば、おそらく2005年の総選挙で自民党がそうしたように、目一杯まで解散を行おうとはしないだろう。で、その4年弱の間に自民党のバックボーンを完膚無きまでに潰す事はほぼ間違いない。
となると、自民党自体の求心力は急激に失われる。連中もそれは承知しているようだ。で、自分達の支持基盤を拡げようとしているように思える。しかし、どうもそれが的外れなようなんだ。
先日、話題になっていた自民党の政策パンフレット
民主党の「お試し政権」に日本を任せられません(平成21年7月発行) (PDFファイル)
http://www.jimin.jp/jimin/kouyaku/pamphlet/pdf/2009_nominsyu.pdf
どうみても2ちゃん連中の言葉にしか見えない。こんなものを配ろうとしているわけだ。
こんな話も出ている。
選挙:衆院選・宮崎1区 中山成彬氏、一転して出馬表明 公認獲得に自信
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090723ddm041010064000c.html
中山氏は「党本部は『勝てる候補者』として必ず自分を公認する。公認手続きのため私から手を挙げた」と語った。
森元首相、中山氏を支援 自民分裂の宮崎1区(asahi.com)
http://www.asahi.com/politics/update/0726/SEB200907260009.html
不出馬宣言から一転、衆院への立候補を表明した宮崎1区の自民前職、中山成彬・前国土交通相らの講演会が25日、宮崎市であり、同じ派閥の森喜朗元首相が出席。1区の公認問題について「県連が決めた立候補予定者を党本部は(予定者と)受け止めていない」と、中山氏支援を強調した。
何を考えているんだろう、と思うが、この自信はこんな経緯があったためじゃないかな?
中山前国交相「日教組批判」で反撃 ネット上などに「発言支持」の声
http://news.livedoor.com/article/detail/3838513/
さらに、JNNが08年9月27・28日に行った世論調査で、「辞める必要なし」とする意見が45%に上り、「辞めるべき」が48%と拮抗した状態であることを受け、中山氏は若い人を中心に「ほんとのことをよく言ってくれた」「やめる必要ないぞ」という電話が事務所に殺到している、と述べた。
実際、インターネット上掲示板などでは、中山氏の日教組批判について「辞めないで頑張ればよかったのに」「日教組と刺し違えても日本のためを思って身を犠牲にしたわけか」「こんな政治家は応援したい」「発言の撤回をしないから尊敬した」といった中山氏を擁護する書き込みも相次いでいる。
所詮、ネットの声、などというのはノイジーマイノリティーにすぎない、と「毎日ヘンタイ記事事件」だとか「麻生首相の支持率」などで明らかなのだが、どうやら中山氏らは、こうした事が読めていないらしい。たぶん、本当に自分は支持されている、などと考えているのだろう。
自民党の政策パンフレットもノイジーな連中に受けの良さそうな文章だ。つまり、自民党全般がイカれてきているのである。そうしてみると、
自民・尾辻氏「皇国の興廃、この一戦にあり。チェスト!」 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/280437/
(略)皇国の興廃はこの一戦にあり。必勝をお祈りします。チェストー!」と、日露戦争時などに旧海軍に使われたZ旗(ぜっとき)の文句と、地元・鹿児島のかけ声で必勝を呼びかけた。
なんて、アホなセリフも納得がいく。
保守王国の静岡にいて、選挙に少しでも関わってみれば、かつての自民党の集票組織の統率のすさまじさは身に染みている。それこそ、各企業から各種団体 スポーツ少年団なんてのにも関わってる 地域の自治会に至るまでバッチリ把握してあり、それぞれで票読みが行われて積み上げされる、なんて状況、だった。そうした、自民党を実際に支えてきた組織に関わる人々が、“ネットの声”とやらや、それに振り回される自民党をどう見るか、どう見ているか。彼らが「右へ」先鋭化し、利益誘導さえ出来ない「自民党」を完全に見放すのはそう遠く無い話だと思う。
たぶん、選挙後4年以内に自民党は多数に分裂するだろう。「極右」に活路を見出すもの。民主党と迎合するもの。様々に。で、民主党内も「右」と「左」に分裂されるのでは無いかと思う。