シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

武田先生…

つくられた「環境問題」―NHKの環境報道に騙されるな! (WAC BUNKO)

つくられた「環境問題」―NHKの環境報道に騙されるな! (WAC BUNKO)

えー、どう考えるべきでしょうね。よりによって、ワックの出版。対談相手は日下“ホップ・ステップ・核武装”“麻生タンの心の師”公人氏、ですか…。
お馴染みの地球温暖化懐疑論は飛び出るし、トンデモ扱いする他無い話になってますな。


カジュアル核武装・お手軽ファシズム
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090507/1241700507


首相のブレーン(?)の知的水準
http://d.hatena.ne.jp/apesnotmonkeys/20090508/p1


もともと、自分は武田氏を批判する気にはなれなかった。初っ端の「リサイクルはムダ論」はアレだったが、パラメータ次第の部分がある定量評価は水掛け論に陥りやすい。リサイクルによるトータルのエネルギー効率は技術や産業・社会構造次第で大きく変化するから、リサイクルの筋道を立てる事は重要であるけど、リサイクル=エコ、と捉えられるのには問題がある。リサイクルさえすれば済むかのように扱われることはマズい。必要なのはトータルでの消費を減らすことだから。


例えばこんな話があったりする。


Honda エコグランプリ
http://www.honda.co.jp/ecogp/


みんな、エコ度を競うために、クルマに乗ってるんだよ?本来なら、乗らないで済ます事が一番有効なのに、エコドライブ技術を競うために練習してたりするんだわ。本末転倒。
だから、「リサイクル」を賞賛する態度に水を差す事は、それなりに意味があるかな、と思っていたのだ。
が、どうやら、武田氏、ガチだったようですな。
それにしても、

公害問題の先頭を走っていた宇井純さん 


こんな対談に宇井先生の名前出すのは失礼だろ。宇井先生は反原発の立役者の一人でもあったのに。


それにしても、ネトウヨは「温室効果ガス排出削減25%(90年度比)」に反対する、に留まらず、「地球温暖化懐疑論」にまで染まってきたんだね。まぁ、元がトンデモだから、トンデモとの親和性は高いわけだけど、ネトウヨ君、真に受けてこんな事を書いてます。


地球温暖化詐欺の真実 (「反日勢力を斬る」)
http://ponko.iza.ne.jp/blog/entry/1226438/

A博士
「環境過激派が現れた理由のひとつは世界中で共産主義が失敗したからだ。
ベルリンの壁が崩壊し、多くの平和運動家や政治活動家環境保護活動に移行した。新マルクス主義を持ち込み、環境保護用語の使い方を身に付けた。
そして科学ではなく、反資本主義や反グローバリゼーションに関係したアジェンダを巧みに覆い隠した」

環境保護活動なんて、ベルリンの壁崩壊前から盛んだったし、共産主義が失敗したから、って…。旧共産圏が公害垂れ流し状態だったのを告発したのは環境団体たちだったんだけど。チェルノブイリの問題を取り上げたのってどこだと思ってるの?

B博士
「左派は社会主義マルクス主義の失敗により方向性を失っていた。彼等は反資本主義者であることを隠す口実が必要だった」

えー、旧ソ連圏はリベラルから強い非難を浴びていた事は無視ですか?

C博士
「右派のマーガレット・サッチャーから極左の反資本主義者や環境活動家を含めた驚くべき一種の同盟関係がおかしな思想を背景とする勢力を作り出した」

サッチャーも英保守党も別に環境保護活動には熱心じゃなかったけど?右から左まで同盟している、って感じるなら、そりゃ、大概の人のコンセンサスに成り得ているからだろ。

「1990年代初頭から人為的地球温暖化の本格的に政治キャンペーンが始まった。
ブッシュシニア以前の気候や気候関連科学への助成金は年間170億円と妥当な数字だったが、10倍以上の年間2000億円に跳ね上がった」

何?ブッシュシニアの前、って“悪の帝国”レーガンで、ヤツは徹底的に環境問題をネグりまくってたんだけど。それが“妥当な数字”だって?何か、基本的部分さえデタラメなんだけどね。
事実はそれとは逆に、ブッシュJr.政権の時、温暖化を否定するための研究やロビー活動に石油メジャーが資金提供していたんだけど。


それにしても、ネトウヨの「反環境保護」のスタンスには興味深いものがあるね。