シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

西川善文を吊し上げろ!

タイトルは若干煽り気味。日本郵政の西川“背任行為”善文社長が辞任しましたね。
後釜がどうか、という意見もありますが、西川氏が辞めたことは実に喜ばしいことです。ああいう、財界美人局みたいな野郎を公共サービスのトップに据えた小泉純一郎竹中平蔵もサッサとムショにぶちこむべきだと思いますね。


さっそくこんな財界お追従意見が出ていますけど。


産経抄】10月21日
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091021/plc0910210316001-n1.htm

日本はいつから社会主義国になったのか。日本郵政は、法律で民間会社になったはずである。6月の株主総会で承認された社長を政治家が陰に陽に圧力をかけて辞任に追いやったのは、ルール違反というよりいじめに近い。

 ▼西川善文社長の経営手法には、確かに毀誉褒貶(きよほうへん)がある。売却先の選定が不透明との批判が強かった「かんぽの宿」問題では、総務省から業務改善命令も受けた。ならば、株主総会で堂々と解任すればよい。会社経営では筋道を通すのが何より肝心だ。

 ▼鳩山由紀夫首相は「亀井静香担当相のところで素晴らしい方を(後任に)考えている」と語ったが、その言い方はないだろう。「解任」の手段をとらぬのなら、西川氏の労をねぎらうのが先だ。三顧の礼で迎えた人を政権が交代したから、とゴミでも放り出すように辞めさせては、友愛精神が泣く。

幾らでも突っ込みようがありますけど、そもそも日本郵政の株主は未だ日本国民のはずであります。で、選挙の結果であるから、と強引に「民営化」なるものを進めたのが小泉政権だったわけでありますから、株主である国民の選挙による選択、が現政権であるなら、西川氏を放り出そうとも文句の付けようなどありますまい。文句を付ける根拠があるなら、それはまず小泉“戦争犯罪人”純一郎に言うべきでありましょう。
政権交代、というのはこうしたドラスティックな結果を生む可能性がある、それこそが政治のダイナミズムというものでしょう。交代可能な二大政党制、なんてものを私は希求しませんが、それが日本の政治に必要だ、というのがもっぱらの風潮でしたし、であれば気にくわない結果が出た事に関しては煽った側の見通しの甘さと言うべきでしょうよ。

で、未だに庇い立てをしたがる輩のいる「かんぽの宿」問題ですけど、
「一括して売却を進めたのは正しい判断だった。でなければ、赤字を垂れ流しつづけるだけだ。」
という意見が根強くあります。
でもね、そんなのはウソなんですよ。


先日、焼津の街の衰退ぶりを載せましたが、焼津には「かんぽの宿 焼津」があります。


かんぽの宿 焼津
http://www.kanponoyado.japanpost.jp/yado/yaidu/

かんぽの宿熱海」 2億6200万円
(2009年2月7日 読売新聞)

の記事によると(要約)

かんぽの宿焼津」(焼津市)は土地代と建設費の合計が24億1000万円、簿価9900万円、1968年の開業で、客室41室と宴会場などを備え、駿河湾焼津市街が望める高台の上の好立地。07年度の売り上げは4億3200万円、人件費や施設維持費などを差し引くと、3700万円の赤字。07年度の客室稼働率67%で、全国のかんぽの宿の平均をやや下回ったもの、地元のホテル関係者は「人気は根強く、稼働率も健闘している」と言う。又、地元・焼津市の幹部は「立地などの条件は良く、利用客も多いことを考えれば、1億円という簿価は安いと感じる」と話している。
 そのほか「かんぽの宿伊豆高原」は土地代と建設費の合計34億9000万円・簿価7300万円、「かんぽの宿浜名湖三ヶ日」が土地代と建設費の合計19億4000万円・簿価4900万円である。


かんぽの宿 下請けは切り捨て−東京サバイバル情報 より引用

http://yaplog.jp/ichijihinan/archive/72


かんぽの宿 焼津」も「赤字」で、早急に売却すべき物件に含まれておりました。でも、記事にもありますけど、「かんぽの宿 焼津」の人気は高くて、半年前からの予約でも取れない事が多かったんです。交通の便が良く、風光明媚で温泉付き、焼津の海の幸が楽しめるとあって、自分達も泊まりの宴会をしよう、という場合に候補へ挙げてましたが取れた試しはありません。もちろん、宴会シーズンと普段では違うでしょうし、近隣には「焼津グランドホテル」と「松風閣」があります。でも、充分に競争力があるんです。


キチンと物件を査定するなら、こうした事も調べられていたはずです。普通ならこうした状況では、業務改善計画を出させて収支予想を立てるなりなんなりするんじゃないですか?その程度の改善案を出させる猶予も無いほどにせっぱ詰まっていたわけじゃ無いですしね。
たぶん、全国の施設で「かんぽの宿 焼津」のような状況の場所は決して少なくは無かったはずです。


けど、取られたのはインチキな出来レースの「一括売却」。これは、「かんぽの宿 焼津」を身近に見ている身からすれば、どう見ても株主(=国民)に対する背任行為ですよ。安値で特定の企業に売り払う、なんてのは。


で、やたら「郵政民営化」の際に唱われたフレーズ、「官から民へ」。
これって、そもそもヘンだと思いません?「郵政民営化」の本質は、公共サービスを私企業に売り払う、事でした。つまり、「公共物から私物へ」なんです。
郵政事業自体が官僚、ないしは族政治家の「私物化」状態であった事は否定出来ません。というか なぜか小泉政権は他の官僚と政治家によって私物化された公共サービスには興味を示しませんでしたが ダム事業だろうと空港事業であろうとグリーンピアだろうとそういう実態があるわけです。
ダム事業と空港事業なんて、今になって騒がれてますよね?
であれば、正しい公共サービスの在り方に戻すこと、が必要なのであって、私企業に売り払う、なんてのは開発独裁国家の汚職実態*1じゃあるまいし、本筋じゃないのです。


第一、日本の金融関係者は、官僚に比べて「民間感覚」のある連中じゃないでしょ?バブルの失敗も、そのツケも、他人に擦ってきた連中ですよ?責任を取らない官僚と何が違うと云うんでしょう。


とりあえず、「民営化すれば巧く行く」とか、「規制緩和による経済成長が大事*2」とか考える人たちはあまりに忘れっぽすぎます。去年、何が起きたのか、何が原因であったのか、誰によって救われたのか、さえ一年の間に忘れてしまうようじゃ話になりません。


それにしても、竹中平蔵の一面インタビューを載っけた朝日新聞といい、やたら「民営化」のミスリードを誘う各新聞社の記者の皆様。それほど、政府による規制、が嫌いなら、まず、新聞の再販制という規制を自主的に撤廃してはいかが?

*1:明治維新後にもこうした官業を安値で払い下げ、という不正が相次ぎました

*2:アメリカにおける経済成長の実態とは、借金を無害化したかのように見せて他人にババを掴ませる、という手法のイカサマに過ぎなかったわけです