シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

「規制緩和」などイカサマだよ

ども、インフルエンザ対策の遅れているシートンです。
さて、「小さい政府、大きい政府」や「規制緩和」について発言すると随分と湧くモンですな。さて、少しコメントに応えていきます。

gami
経済 小さな政府を志向する人は、不適切な関与を減らせと主張しているだけで、適切な関与を否定する人なんていないよ。

hallo-ponkichi
特許→所有権は資本主義成立の前提なので,そこを否定する人は新自由主義者ですらないのでは?

tJacks
岩田規久男氏が本にスバリ書いてた→「新古典派経済学も「新自由主義者」も、その意味(規制ルール無用)での「市場原理主義」を主張したことは一度もない。「市場原理主義」批判者の批判はまったくの見当違い」って

fromdusktildawn
竹中平蔵氏ですら「経済学者は市場原理主義者ではありえません。なぜなら市場の失敗を認めるからです」とか言ってたよ。市場の失敗のあるところに政府が介入することまで否定する小さな政府主義者って何処にいる?


あぁ、もうダメダメですね。竹中平蔵氏はともかく、岩田規久男氏がこんな事を書いているのなら。
いいですか?「新自由主義者」が政府の介入を否定していない、なんてことは、こちらは百も承知なんです。
新自由主義者」は、「政府の介入は少ない方が素晴らしい」「出来るだけ(公共サービスでも何でも)市場化を進める方が効率が上がり、経済成長が見込める」というような言葉を吐くことで、あたかも「政府(ジャッジ)や外野の手は借りない」というヴァーリ・トゥードのガチンコ勝負、それこそが公正で公平な競争だ、というスタンスを印象づけていた訳でしょうが。


だけど、その前提には「私有財産の不可侵」であるとか、「知的財産権の保護」、「金融取引の許認可」というような政府関与が、含まれている事に鈍感というかネグっていたというべきか、見えてるという話なんです。「小さな政府」の究極とされる「夜警国家」自体が金持ち優遇の政府関与に過ぎない、という事を示すために以前、「犯罪規制を緩和せよ」と述べたわけですよ。


規制緩和を進めろ!

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090306/1236350561


つまり、「新自由主義者」の「規制緩和」の声というのは、単に
「オレを依怙贔屓しろ!」
でしかないよ、という事なんです。依怙贔屓せよ、というのだって、別に要求したって構わないけど、それを誰にとっても公正・公平な措置である、かのような錯覚をもたらすのはどうよ?ってモンでしょうが。


所詮、競争なんてのは「ある一定のルールの下」で行われるものです。ルールが多ければ面倒だ、面白くない、というのはあるでしょうが、であれば「ルールを減らせ!」なんて大雑把な話は無意味ってモンです。


だから、「規制緩和が必要だ」と叫ぶ人は、緩和して欲しい、または改訂して欲しいルール=規制を具体的に云いなさい。
そして、その緩和・改訂によって“自分”がどんな利益を得るのか訴えなさい。その訴えが皆に「なるほど」と思われたのなら進める、「図々しいんだよ」と思われれば無視される。必要なのは、そうした事を討議する透明性の高い場を政府なりに設けることであって、それこそが公正で公平な措置ってことじゃないの?


その点では竹中平蔵氏は欲望を隠さなくてステキですね。労働法制の緩和への期待を隠さず、そして派遣業の利権を貪る。それくらいゲスに振る舞うなら大したモノです。同意するかどうかは別ですが。


さて、他にも回答です。
まずブコメから。

Blue-Period
おっぱいの奪い合い 「大きなおっぱい、小さなおっぱい」など存在しない。私は「形の良いおっぱい」がいいです、という話?

見事な説明だと思います。付け加えるなら、“形の良さ”を具体的に示すことでしょう。


コメント欄に戻ります。

K
あなたは、新自由主義を何も理解していないようですが、新自由主義は再配分機能を否定していますか。多くの新自由主義者ベーシックインカムを主張しています。新自由主義はインターネットについて研究することを否定していますか。新自由主義は特許なんていらないと言っていますか。

ベーシックインカムの原資をどこに置くのか、の問題です。で、消費税を充てるというなら反対します。
特許に関して云えば、上で述べたとおり、むしろ新自由主義者が特許なんていらない、と主張しない事を皮肉ったのです。

ty
公務員数や社会保障費と公共事業費のバランスなどはじめて聞くことだったのでおもしろいです。

なにごともバランスが大事で小さな政府も大きな政府もない。
というお話かとおもったのですが、途中から新自由主義批判がはいって結論がそれに乗っ取られてしまい、多少支離滅裂ですね。

あと、批判のための批判になっているというか、議論の前提を極論に持っていって無理に叩くと話がまともに噛み合ないので、非生産的だと思います。

話を噛み合わせる必要を感じませんから。ここは私の日記に過ぎず、好き放題書いているだけです。生産的な話がしたければ雑誌にでも載せてます。原稿料も入らない文章でそこまで気を遣う必要を感じません。

bobby
大きな政府か小さな政府かは、結果であって目的ではありません。政府の年度会計を損益計算書で考えた時、収入(税収)の範囲内でできる事を考えて予算を組むべきである事は明白です。企業であれば、長期的に減収減益が確実な時は、事業縮小、人員削減して収入に見合った組織になる事は合理的行動です。企業を政府に置き換えても問題ないと思われます。

企業を政府に置き換えて考えるのは問題アリアリです。

bobby
別の見方でもう一度行政の効率について考えます。たとえば医療の年度予算が○兆円あったとして、予算を実施する厚生労働省の組織が大きければ大きいほど、組織自体が消費する経費が膨らみ、社会へ届く実際の医療費予算金額が減ります。ここで厚生労働省が、より小さな組織で同等の事業を行えるのであれば、社会へ届く医療予算の減額比率が減り、より多くの結果を得る事ができます。

組織の生産性を考えた時に、損益のはっきりしない公務員組織で事業の全てを行うか、損益のはっきりしている民間企業をできるだけ活用するかを考えれば、税金の使用効率はどちらが高いかは自明です。

前半には同意ですが、後半の企業に当てれば効率的、という結論には賛成出来ません。

bobby
社会のセーフティーネットを考えた場合、失業保険や生活保護や年金など複数の組織が個別に制度を作って対応するよりも、ベーシックインカム(あるいは負の所得税)に一本化して、不要になった省庁組織を解体する方が効果的です。効率の良い方法は、結果として小さくて効率的な組織を生み出します。

ベーシックインカムに関しては、原資の問題であって運用に関してはお好きに考えてみてはどうでしょうか。

bobby
市場原理主義とか新自由主義とか、そういうイデオロギーはどうでも良いのですが、労働者の生活改善には十分な賃金が必要であり、雇用と賃金を企業が提供する以上、企業が利益を生み出し易い環境の提供を行政(政治家と官僚)が行う事は重要です。

中国やシンガポールのような国家資本主義ですら、経済振興は行政のターゲット政策と規制緩和をセットで行う事で成果を上げています。

社会が成熟している日本では、「官僚たちの夏」のバターナリズムが現在でも効果を得られうかどうかはわかりませんが、行政が社会全体、世界全体を見渡して、国の将来のあり方を考え、発展する余地のある業界を税制や融資で支援したり、未来の無い衰退産業(たとえば国内の土木・建設)への税金投入をやめて、新しい産業(たとえば介護や農業の大企業参入等)を育成する為により一層の規制緩和を行うなどのターゲット政策を行う事で、国内の新産業育成の努力を行う余地はあると思います。

私は企業をベースに考える事には賛成出来ません。やはり企業と個人では企業の影響力は大きい。サポートの対象は個人であるべきです。

bobby
私は自分の事を市場原理主義とも新自由主義とも考えておらず、ただ合理的で効率的な行政組織が、企業の繁栄によって税収を増し、集めた税金その他のお金を最も効率の良い方法で社会を良くする為に使ってほしいと考えています。

そういう私は、レッセフェールを旨とする香港に住んでいます。ここには起業家にも労働者にも「いつか大金持ちになりたい」という夢があって良い所ですよ。

そんなスカスカの言葉は無意味です。それをどう実現するか、の問題なのですから。
それにしても、「いつか大金持ちになりたい」という夢、ですか。つまらん夢ですな。ゴメンですね、そんなところ。

通行人N
こんにちは、知識のないコメント者の通行人Nですw

私は働き始めたばかりの正社員です。税金はきっちり払ってます。
不況を何とかしてほしいと思ってますし、同時に借金まみれの日本の財政にも不安を持ってます。
景気は回復させてほしいが、かといって借金を増やすのも勘弁してほしい、というのが本音です。

そういった立場ですので、借金を減らす方向に明確に舵を切ったうえに
どん底だった景気を上向かせた小泉政権を評価しています
(行き過ぎた規制緩和はマイナス点と考えていますが)。
逆に、安部以降の自民党政権は評価しません。重視するところが違うだろうと。

そして民主政権にも、今のところ非常に不安を抱いています。
無駄な支出を3兆円近くも削ったところはもちろん評価しているのですが、
高速道路無料化とか郵政再官営化とか子供手当てとかで、
結局のところ借金を増やしてしまいそうですし。
景気回復に効果があるかどうかよくわからんことにお金を使うより、
もっと重要な課題に目を向けてくれと願っています。

ここのブログ主さんとは立場は異なるかもしれませんが、
自分としては是々非々で政治を評価しているつもりですし、
自分自身のためにも今後50年の日本が上向いていくことを願っています。

……というわけなんですが、こういう私も「日本から出て行」くべきなんでしょうか?

景気を上向かせたのは別に小泉政権などではありませんよ。外需頼みであったがゆえに、アメリカの好景気で高収益を上げただけですから。出て行くかどうかは自分で判断されればいいのでは?民主党政権が期待出来ない、と思うのなら出て行くのがお得だろうと思います。

pat
GoogleもYahooもマイクロソフトも、特許とは一番縁遠い会社だよ。ある程度大きくなるまで知財なんざまったくお構いなしだったし、大きくなってからは個人発明家から訴訟ふっかけられまくって迷惑してる側。まあ言いたいことは分かるが、論理展開に無茶がある。

Googleの検索アルゴリズムといい、検索時のスポンサー表示というスタイルといい、知的財産として保護されているんだけど。Yahoo!のビジネスモデル、マイクロソフトIBMとの契約、そのいずれも「権利」として保護された。彼らはその「規制」を巧く活用したわけだよ。


はてぶです。

yk0627
とりあえず経済哲学を部分部分かじった知識で駄文を書いてるようにしか見えない。自由主義個人主義の違いについてはまずはハイエクあたりをおすすめします。

これが面白かったですね。そもそも経済学には興味ないし、経済哲学など囓ってさえいません。これは単に社会政策の妥当性の問題です。
それにしても、社会主義共産主義批判する(した)人の中でマルクスの「資本論」やレーニンの「帝国主義論」を読んだ人っているのかな?オレも読んだことないけど。

h3f
”「日本を出て行けー!」と云っているかのように勘違い”そう書いたじゃねーか。

これは聞き捨てなりませんね。id:h3f氏、どこに書いたのか示して頂きましょうか。

vialavida
「なぜ、日本において新自由主義がもてはやされるのかさっぱり理解出来ませんね。」本当に今、日本でもてはやされてるの?前回「シャドーボクシング」というブコメもあったけど。

どういたしまして。この一連のエントリーを書いた契機が実はライブドアの「BLOGOS」でした。覗いてみると判りますが、ノビーや中川秀直片山さつきらが勢揃い。場違いにも自分のブログも紹介されているんで、皮肉として書いてやった訳です。


livedoorニュース BLOGOS
http://blogos.livedoor.com/list/

cepheid
共和党政権は公的サービスを減らすが、一方で膨大な軍事費予算を組むので大きな政府になっちゃうんだよ、って話じゃないのか・・。

これは重要な指摘だと思いますね。アメリカ共和党がメディケアや年金制度、教育制度への公的関与を極力削ろうとする一方で、軍需産業や大企業、金融・証券に対する露骨な庇い立てを行っているのは、「小さな政府論」が目を欺くためのスローガンに過ぎない証拠だと思います。

metabodepon
このブログ主は公務員を信頼している。そこが僕と意見が異なる理由のようだ。僕は民間人であり公務員の仕事ぶりに批判がある。効率が悪いということだ。だからブログ主の公務員の生産性についての意見を聞きたく思う

公務員を信頼、などしていませんよ。ただ、公共サービスであれば公正・公平・透明性を要求する事が本来は可能な訳です。現在に至るまで実現しないのは、それが民間かどうかの問題では無いですよね。

m-matsuoka
これはひどい, 経済 で、政府による再分配がうまくいった実例は?ちなみに健康保険は再分配じゃない。政府が適切・不適切を判断できるなんて過大評価もいいところ(w小さな政府は審判。大きな政府はプレイヤーと審判の両方を行う。

バカですねぇ。「政府」による再配分って、5000年以上の歴史があるじゃないですか。それがうまくいくかどうか、というなら「市場」だってその検証に耐えるほどじゃありません。補完させる、という話ならともかく、一方だけを取り上げてもムダだ、という事ですよ。


それにしても面白かったのは、「自分は○○の規制によって妨げられている。だから、その規制を緩和して欲しい。」というような具体的意見は出てこない、という事です。
誰もが、「規制を緩和すると、企業活動が盛んになり(何で?)、経済成長が促され(だから何で?)、自分たちにも恩恵が(滴が滴るように)及ぶ」というスカスカな意見を表明してみせるのには笑いました。アンタら、そりゃボラれ放題だわ。