シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

原発再稼動について

自称中立現実主義者が、原発再稼動は現実的に必要だ、安全が確認されれば再稼動を認めるべきだ、みたいな事を言ってたりしますが、それならば、現在の川内原発再稼動の安全審査に対して批判的でなくてはいけないはずですね。
安倍政権はあくまで川内原発再稼動を突破口にしようと図っていますが、結果として火山噴火に対してデタラメな意見を口走っています。

安倍総理大臣は、鹿児島県の川内原発の再稼働について、桜島などが御嶽山よりはるかに大規模に噴火した場合でも、安全性は確保されていると強調しました。

「大規模噴火でも川内原発は安全」 安倍総理
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000035888.html


これこそが、安全神話、ってやつですよね。自称中立現実主義に立つ人々なら、こうした安全神話に立脚した態度は批判しないとね。安倍氏には前歴があることですから。

吉井英勝議員「海外(スウェーデン)では二重のバックアップ電源を喪失した事故もあるが日本は大丈夫なのか」
安倍首相「海外とは原発の構造が違う。日本の原発で同様の事態が発生するとは考えられない」

吉井議員「冷却系が完全に沈黙した場合の復旧シナリオは考えてあるのか」
安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「冷却に失敗し各燃料棒が焼損した(溶け落ちた)場合の想定をしているのか」
安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「原子炉が破壊し放射性物質が拡散した場合の被害予測を教えて欲しい」
安倍首相「そうならないよう万全の態勢を整えている」

吉井議員「総ての発電設備について、データ偽造が行われた期間と虚偽報告の経過を教えて欲しい」
安倍首相「調査、整理等の作業が膨大なものになることから答えることは困難」

吉井議員「これだけデータ偽造が繰り返されているのに、なぜ国はそうしたことを長期にわたって見逃してきたのか」
安倍首相「質問の意図が分からないので答えることが困難。とにかくそうならないよう万全の態勢を整えている」

2006.12.13 参議院における吉井英勝議員と安倍首相の原発事故防止関連の質疑応答
http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/column15.html


まさに、安全神話というべきか、現実逃避というべきか、を述べているのが官房長官ですけど。これって全然科学的ではないですよね。

菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「気象庁として(事前に)情報提供できなかったが、現在の技術水準で、できるだけの判断はしていた」と説明。「予知が可能になるように、さまざまな予算措置もして、取り組んでいく必要がある」との考えを示した。

 その一方、今回の噴火による川内原発の再稼働への影響は「ないと思う」と明言。二十九日夜のBS民放番組でも「川内原発は火山が(周囲に)あっても、火砕流がそこまで行かないことは明快。全く心配ない」と言い切った。

「予知困難」認めるも… 川内再稼働 政府が固持
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014093002000138.html


しかも、「ドロナワ」のおまけつき。

九電によると、既存の国の観測網に加え、新たに2カ所の離島に機器を設置して地殻変動を毎月1回監視。兆候が見られた場合、有識者の意見や社内の議論を踏まえて社長が原子炉の停止や核燃料の搬出を決定。約5年かけて核燃料を搬出するとしている。一方、具体的な搬出場所や方法は「5年の時間があるのでその時に検討する」と説明した。

川内原発:再開へ噴火判断基準公表せず
http://mainichi.jp/select/news/20141009k0000m040065000c.html


噴火の兆候が捉えられるかがそもそも疑問ですが*1、兆候が捉えられてから5年間掛けて核燃料搬出、って、まるでダメでしょ。搬出のために圧力容器を開けたときに噴火が起きたらどうするつもりなのか。


現実的で科学的、中立な立場に拘る方々なら、こうした政権の態度は批判しないとねぇ。
もちろん、ポジショントークだと判っていますから、期待はしませんよ。
では。

*1:私は、地震・噴火予知自体に疑問を持っています。地震と火山研究には意義があっても、予知を前提とした防災システムは組むべきではないと考えます