シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

再生可能エネルギーはもう終わり(日本では)回答編

先日のエントリーに色々と意見が寄せられたので、回答していきます。


http://b.hatena.ne.jp/oakbow/20150906#bookmark-265107079

再生エネルギーが不安定なのは事実じゃないかな?太陽光なら夜間とか。他国からの輸入で増減を調整できるドイツと違って、日本はなかなか依存率上げにくい気がするのだけど。もう少し細かい話があるといいなー


http://b.hatena.ne.jp/Dursan/20150906#bookmark-265107079

日本が欧米みたいに陸つながりでガスをパイプラインで引けて、電力を共有出来てシェールガス採掘や石炭を大量に露天掘りが出来るのならばねえ…50/60Hzの問題もあるなど他国の状況はあまり参考にならないかと。


http://b.hatena.ne.jp/tailwisdom/20150906#bookmark-265107079

ヨーロッパで再エネが普及している理由が隣国をバッファに使えるので発電力の不安定さに対する耐性が高いからだとすると、日本では蓄電池がブレイクスルーになりそう。


http://b.hatena.ne.jp/kaiton/20150908#bookmark-265107079

夜、どうするのかな?火力がんがん焚いて温暖化が進むのも、災害被害も多大


まず、電力需要のピークは日中に偏っているので夜間に発電が出来ないことは問題となりません。
以前取り上げた電力需要の図を載せます。

電力需要の負荷平準化 より引用
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/juyou/index.html


ちなみに、この図は3.11以前に電自連が載せていたものですが現在は存在しません。これを見ると需要変動のツケを被っているのは火力と水力であり、ツケを回しているのが原子力だ、とハッキリ判ってしまうからでしょう。


それに、再生可能エネルギーは太陽光ばかりではなく、最大のポテンシャルを持つ風力(陸上、海上)も水力(河川ダム、小水力)、バイオマス(木材、非可食性作物、可燃性廃棄物、下水汚泥ガス)、地熱、開発途上ですが波力、潮力などがあります。
相補的な関係にある発電手段もありますし、ならし効果と併せれば、不安定さなど問題になりません。というか、現段階の導入量ではもともと太陽光にしたって問題では無いのです。


あと、他国に輸出入出来る、という話ですが、ヨーロッパ主要各国の再生可能エネルギーの導入量はフランスを除けばほぼ20%なので*1、他国に再生可能エネルギーの不安定さを押しつけているわけではないのです。それから、EUの規模は日本の大体2倍ぐらいですから、日本国内でも各地での連系接続によって充分不安定さを解消できます*2。日本を甘く見すぎですよ。日頃は「日本SUGEEEEEE!」なのに、こういう時は「小さくて、孤立していて、資源も無い」とかいう自虐的態度に終始するんですね。


世界各国の発電供給量割合
http://sustainablejapan.jp/2015/03/03/world-electricity-production/14138


あ、それから連系によって再生可能エネルギーのツケを他国に廻せる、という事自体、デマですから。以下をどうぞ。


スペインに学ぶ「3条件」、再生エネの比率を5割以上に (2/2)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1406/20/news038_2.html

日本で再生可能エネルギーの比率を高める議論があると、不安定な電源であるため、系統連系可能な規模は、20%程度が上限ではないかといわれている。しかし、スペインの規模はその2倍以上だ。欧州諸国は豊富な連系線を利用して、電力を融通しやすいため再生可能エネルギーの比率を高くできるという意見がある。しかし、スペインの連系線の能力は先ほど紹介したように東京電力と同じような水準だ。電力が不足したとき、余ったときにフランスやポルトガルに頼り切ることはできない。


http://b.hatena.ne.jp/leb/20150906#bookmark-265107079

日本の電力の50%はモータで消費されるが、多くは直結の3000/3600rpmないし極数割で回っている。「ほとんどが電力変換器を介している」とか与太話もいいところ

その多くの直結モーターは、用途的に周波変動による影響と無縁なんです。僅かな周波変動でも問題だ、と主張するような用途にはサーボモーターを利用したりするので、入力側の周波変動には強いのです*3


まあ、モーターに対してもトップランナー式の省エネ基準が採用されましたから、今後ますます再生可能エネルギーの電力は不安定だ、タイプの難癖は付けにくくなるでしょう。


トップランナーモータ 2015年度スタート!!
http://www.jema-net.or.jp/Japanese/pis/top_runner/sansou_yudou.html


http://b.hatena.ne.jp/taruhachi/20150906#bookmark-265107079

太陽光発電コモディティー化して安くなるのはわかってたことなんだから、先走って古い高い電気を固定価格買い取りするより、安くなるまで暫定的に原発使えば良かったのだが、それを反対したのは誰かという話。


http://b.hatena.ne.jp/ykhmfst2012/20150907#bookmark-265107079

もし終わりになるとしたら、目先の利益だけ考えて無茶な値段の買取制度を強引に推し進めたどっかの誰かさんのせいでしょうね / なぜ買取制度に一言も触れられてないのかが一番の謎


えー、3.11直後に書いたエントリーに載せてますが、FITのような“イニシャルコスト回収の保障”をしてあげる事で、コモディティー化が進むのです。導入時に設定された額は42円/kWhでしたが、現在では27円/kWhです。


なっとく再生可能エネルギー
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html


まあ、初期の導入コストを見誤った事は確かでしょう。私のところにも年7%の利益があるから、と誘いがありましたから。現在の金利水準を考えたら、魅力的な案件ですよね。経産省は世界市場のパネルや設備の価格を見誤ったわけですが(高利回りの投資物件のほとんどが中国企業製のパネル利用)、それは制度の問題ではなく、再生可能エネルギーのポテンシャルを過小評価していたためです。
実際、日本でもFIT導入後の太陽光発電導入量は急速に増加し、併せてパネルのコストも下がりました。


住宅用太陽光のシステム費用(4p)
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/pdf/013_02_00.pdf


家庭用太陽光の発電コスト、1kW時21円でグリッドパリティー到達−本社調査
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820140730aaan.html


一応、昨年度の太陽光発電導入量は世界3位なのです。問題は、原子力回帰を鮮明にした安倍政権のために先行きが不透明になり、導入を躊躇うケースが増えたことです。この場合、思い切った大規模設備導入はリスクになるため、コモディティー化は進まない。そして、中国企業から大量に入荷するだけ、ということになったわけです。
つまり、自分たちで首を絞めたのです。


太陽光発電が2014年に28%も拡大、中国と日本の伸びが目立つ
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1506/23/news032.html


それから、現在まで原発が止まっていたのは「安全審査手続き」の問題であって、反原発とは関係がありません。責任を押し付けるのもいい加減にしてほしいですね。それすら、「サッサと進めろ」というなら、政府のお題目「安全が確認された原発を稼働させる」さえも、その場しのぎでしかない、と云っちゃっているようなものです*4


http://b.hatena.ne.jp/Hohasha/20150906#bookmark-265107079

豪雪地帯人口2000万人の日本だと冬は太陽光使えないからなあ。冬に必要な電源を夏は休止させるとかだと、かなり高コストになっちゃうのでは?


上で説明した通りです。各地域間の連系接によって電力の融通が可能です。今までだってそうしていたわけですが。それから、日本海側では風力発電建設が進められています。


風の王国 プロジェクト -風車1000本、秋田の挑戦-
http://kaze-project.jp/

秋田県沿岸と大潟村の民家から離れた場所に大型風車(2400kW級)を合計1000基設置します。
設置する風車は国産風車とし、その工場も秋田に誘致します。(年産100基)
総事業費は5000億円程度。
企業誘致やエネルギー産業の集積による経済効果のほか、観光産業の活性化も期待できます。


あと、バイオマスもですね。コージェネレーションタイプですと、熱と電力の両供給が可能ですから効率も高く投資に見合うようになるかもしれません*5


東北最大級のバイオマス発電が2016年7月に開始、3万8000世帯に電力供給
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1504/07/news032.html


http://b.hatena.ne.jp/nekora/20150906#bookmark-265107079

毎度おなじみ、「発電方法別の発電量当たり死者数の比較」 http://togetter.com/li/323361 石炭への切り替えは人命軽視で大気汚染。一刻も早い原発再稼働で冷房28度制限撤廃を!


アメリカではオバマ大統領が再生可能エネルギー推進と温室効果ガス削減、大気汚染防止のために、石炭火力に対して規制強化することに決めました。
すると、議会多数派の共和党が「規制すると電気代が上がる!産業と経済に悪影響だ!」と反対しています。これをどう思います?


ここに注目! 「オバマ大統領の温暖化対策は?」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/226220.html

今月オバマ大統領は、新たな国内対策を打ち出しました。二酸化炭素の排出量が多い石炭を使った火力発電への規制を強化し、その代わり、太陽光などの再生可能エネルギーを活用しようというのです。しかし、議会で多数を占める野党共和党は、石炭を産出する州や、電力料金の上昇を懸念する産業界の意向を背景に「経済に悪い影響を与えかねない」と反発しています。


中国の大気汚染に厳しい目を向ける皆様なら、当然、「電気代が上がるからといって、石炭火力の規制に反対する米共和党や保守層はクソだ!」と主張してくれるでしょう。
それにしても、「電気代が上がる!経済に悪影響だ!」って、クソどもの常套句なんですね。
石炭火力による被害を懸念されるid:nekoraさんなら、米共和党の態度や「電気代が上がるから」的な言説を徹底的に批判してくれるでしょう。期待してますよ。


http://b.hatena.ne.jp/hima-ari/20150907#bookmark-265107079

大陸と比較してもねぇ。こういうの、状況や条件揃える意味でも島国で比較しないとどうにもならんのじゃないかな。


私、本文中にハワイの例を示したんですけどね。読んでないんですか?改めて載せておきますから、声に出して50回くらい読んでおいてください。

全米初の「再エネ100%」法案が可決、ハワイ州2045年に義務付け

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150611/422760/


http://b.hatena.ne.jp/gomakyu/20150907#bookmark-265107079

電気が足りないから気合でなんとかしていたのに、大丈夫じゃんそのまま頑張れとか何処のブラック企業?最近石油が安いけど、半年後も安いとは限らないよ。


http://b.hatena.ne.jp/mori-yoshiro/20150907#bookmark-265107079

老朽化した火力をリプレースして現場が必死でインフラを維持している現状を無視して再エネに目を輝かせる反原発クンw今やれてるんだから成長すればもっといける!ってブラック企業経営者と同じ理屈だなwww


こんな問題は4年前から指摘していた事なんです。(私の過去エントリー参考のこと)
簡単に云えば、九電や関電は「そのうち原発を動かせるから」とリプレイスを怠っていたのですよ。
逆に、当事者は原発再稼働にもある程度シビアな目を持っているんでしょう。きちんと最新鋭火力を導入してますよ*6。(高効率なので、燃料コスト削減になる)


東京電力、川崎火力2号で最新鋭コンバインドサイクル発電設備第2軸の試運転開始
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0820150812caag.html

東京電力川崎火力発電所川崎市川崎区、液化天然ガス式)2号系列で設置工事を進めていた最新鋭コンバインドサイクル発電設備2機のうち、第2軸の試運転を始めた。燃焼機器の調整や法令に基づく検査を経て、2016年1月からの営業運転を目指す。本格稼働時の発電出力は、71万キロワットに達する。
 第2軸は並行して設置工事を進めている第3軸(発電出力71万キロワット)の発電設備と並んでガスの燃料温度が1600度Cに達し、熱効率は約61%と世界最高水準になる。


ちなみに、id:mori-yoshiro氏。“リプレース”の意味を間違えてないかい?君のコメントの文脈に合うのは“レストア”じゃないかな?


http://b.hatena.ne.jp/nicottowatch/20150907#bookmark-265107079

かといって先行ってるドイツがこのまま順調かどうかは分かんないし、現実的な路線としては原子力の割合を減らしつつ、化石燃料を使って、再生可能エネルギーを浸透させてくしかないんじゃ?ビジネスでは終わったかも


あなたも知りたくないことは読まない人、ですか。現在、再生可能エネルギー導入量最大なのは中国ですし、現在急速に増やしているのがアメリカ それもアップルやグーグルを含め民間投資で だ、と説明してあげましたが。しかも、BPや投資家が有望だ、とレポートを上げていることまで説明してあげたわけですが、ガン無視ですな。
まあ、斜陽国家にふさわしい態度とも言えますね。この文を構造そのままにいじってみましょうか?

かといって先行ってるアップルがこのまま順調かどうかは分かんないし、現実的な路線としてはガラケーの割合を減らしつつ、格安SIMを使って、スマホを浸透させてくしかないんじゃ?ビジネスでは終わったかも


負け犬っぷりが鮮明になりますね。


http://b.hatena.ne.jp/vndn/20150907#bookmark-265107079

『こんな暑い夏にもかかわらず、電力需要の方は伸びていないそうです。』今年の夏って例年よりやや涼しいんじゃなかったっけ /


あなた、ニッポソにでも住んでいるんですか?


【2015年猛暑の日本列島】今年の夏が猛暑になった理由とは?
http://bit.ly/1Ndqt64


http://b.hatena.ne.jp/the_sun_also_rises/20150907#bookmark-265107079

自由競争により再生可能エネルギーが他を上回るなら誰も反対しない。僕らは人為的な相場の無駄を指摘しているだけ。今は人為的に供給率を上げている。その状況と人為的な操作が切れた状況を混同して議論しても無意味


そんな知ったかぶりなセリフは原子力に云ってやってください。


原発継続へ、核燃サイクルに国が関与を」電事連会長
http://www.asahi.com/articles/ASH6565CRH65ULFA022.html

大手電力10社でつくる電気事業連合会八木誠会長(関西電力社長)が朝日新聞のインタビューに応じた。電力自由化後も原発を続けられるよう、民間が担う「核燃料サイクル事業」の費用を国が一部負担したり、費用負担の新たな制度をつくったりして、国の関与を強めるよう求めた。

八木氏は、2030年度の原発の割合を20〜22%とした政府の電源構成(エネルギーミックス)案を「原子力の確保すべき一定の規模が明示されたことに意義がある」と評価したうえで、原子力発電を続けられる環境を国が整えるよう要望した。

 具体的には、使用済み核燃料を処理して再び燃料として使う核燃料サイクル事業を挙げ、「国と役割分担するという考え方もある」と語った。電力自由化で競争が進めば、発電のコストを電気料金に上乗せできる「総括原価方式」がなくなるうえに、福島第一原発事故の影響で原発の安全規制が強化されると、原発運営のコストが膨大になる懸念があるという。


核燃料再処理で認可法人新設へ 経産省案、国が事業監督
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H40_R30C15A8EE8000/

経済産業省は31日の総合資源エネルギー調査会の専門委員会で、使用済み核燃料の再処理事業の主体となる新たな認可法人をつくる案を示した。今は原発を持つ電力会社が出資する日本原燃青森県六ケ所村)が担うが、認可法人を通じて国が事業を監督できるようにする。来年春の電力小売りの全面自由化後も、事業を安定的に継続できる体制を整える。

 原燃は株式会社として残し、認可法人から再処理事業を受託する方式に改める。認可法人の事業計画や人事は国が認可し、経営が悪化した場合なども事業撤退に歯止めをかけられるようにする。経産省は早ければ、来年の通常国会で関連法制を整備する方針だ。

 資金調達の流れも見直す。今は電力会社が再処理事業に必要な資金を積み立てているが、電力会社が発電時に拠出金を認可法人に支払う方式に変え、確実に資金を確保できるようにする。

 来年春の電力小売りの全面自由化後は、競争激化で電力会社の収益が低下し、再処理事業から手を引くとの懸念もある。経産省認可法人を立ち上げることで国の関与を強め、電力自由化後も事業を維持する考えだ。


ああ、それから私は「自由市場」というもの自体を批判しているので、その文脈で来ても相手にはしないです。宇沢弘文先生の提唱された「社会的共通資本」概念でも目を通してから来てください。


http://b.hatena.ne.jp/deep_one/20150907#bookmark-265107079

再生可能エネルギーは不安定だから〜みたいな人は、この事実をどう受け止めるのか。』…単に安定させるためのバックアップとして火力発電所も増やしてるだけだが。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44833/蓄電技術待ち。


あのね、川口マーン恵美などそもそもエネルギーの専門家でもないし、評価に値しないから。


ドイツも騙された慰安婦報道の虚偽
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41563

8月20日付の古森義久氏の「朝日新聞慰安婦虚報は日本にどれだけの実害を与えたのか」は、涙が出るほど素晴らしい、まさに玉稿だった。

だから、大学で日本学と東アジア問題を専攻した長女は、「ママ、それはあまり外では言わない方がいいわよ」と忠告してくれた。確かに、ドイツで右翼と思われるほど厄介なことはない。

 この際ついでに言わせてもらえば、彼女が大学の講義で使っていた教材は、信条的には朝日新聞のそれに合致するものであった。学究の場は、ドイツも日本も左寄りなのである。実の娘を納得させることさえ、私はできなかった。


それから、ドイツに限らないけどヨーロッパの電力市場は細かく細分化されて、自分で電力会社も含めた電力プランを選ぶ事が出来る。そこでは再生可能エネルギーが人気で、原発は不人気。さらに全廃が決まっているために、原発を抱えたような電力大手は、エーオン社のように原発や火力発電を切り離して主力を再生可能エネルギーに据えるか、ひたすら燃料費を下げてアピールするかしかなくなり、その分が石炭火力になった。再生可能エネルギーの補完ではなく、採算に苦しむ電力会社の悪あがきなんです。早晩成り立たなくなるので、「過渡的」と評したのです。
本当なら炭素税を掛けて火力は石炭ではなく天然ガス利用へシフトさせるべきなのだが、産業界寄りでもともとは原発志向だったCDUが適切な対策をとっていない、ということ。


欧州のエネルギーシフト (岩波新書)

欧州のエネルギーシフト (岩波新書)


原発停止に沸くドイツ−原発停止分を自然エネルギーが補完
http://jref.or.jp/column_g/column_20150716_02.php


ドイツの脱原子力政策決定から4年・ 国民的合意は揺るがない (第1回)
http://www.huffingtonpost.jp/toru-kumagai/nuclear-power-abolition-in-germany_b_6822166.html


http://b.hatena.ne.jp/naya2chan/20150907#bookmark-265107079

直流送電が一般的になれば不安定さの問題も少なくなるけど、ベース電力はどうしようもない。画期的な蓄電方法ができれば、再エネも主流になろうがそれはまだまだ先のこと。50年程度のスパンで見ないと。


直流送電に関しては、昔エントリーを書いた覚えがありますね。でも、ベースロード、という概念自体が間違いなので。


ベースロード電源が邪魔者になる日
http://jref.or.jp/column_g/column_20150618.php

日本の2030年のエネルギーミックスを巡る議論を追っていると、ベースロード(基本需要、最低需要)という単語が目につく。原子力や一部の火力、水力発電がベースロードを賄う電源として一定の評価を得ている一方で、太陽光や風力といった自然エネルギーは天気任せなため、そのような役割を全うできないという論調が多いように思える。これは、私が身を置いているドイツでは、めっきり聞かなくなった話だ。それもそのはず、自然エネルギーが中心となる電力システムでは、ベースロード電源は不要で、むしろ弊害となる。


http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340

こうした自然エネルギー導入を進めようとすると、あくまで「不安定だ!」と叫んでくれる連中が現れます。いわく、「原子力は安定なベース電源」みたいな事をしたり顔で言う輩ですね。でも、それ、まるで判ってませんから。

原子力が安定的というのはミスリードな言葉です。というのは、最も必要とされる電源とは、「負荷(需要)変動に追従できる電源」ですから。その点で最も優れているのは水力です。次がLNG火力。それに比べると原子力は出力調整が難しくリスクを伴うため、優れた電源とは言い難い。だから、「ベース電源」という言い方で誤魔化しています。というのも、火力だって本当は出力変化させるのは効率が落ちるからです。ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)は、旧式の石炭・石油ボイラーに対して出力を制御しやすい利点がありますが、最も効率的な発電ができる回転域というのがあります。負荷変動に伴って出力変化させれば効率は落ちるわけです。特に、原子力が出力調整出来ないツケは火力発電が一番被っているので、原子力が無い方が火力発電の効率向上には効果的なんですね。


http://b.hatena.ne.jp/NOV1975/20150907#bookmark-265107079

安定的な需要と安定的な供給をベースをどこに敷くかは難しいよ。家庭用って考えたらなんとなくなんとかなりそうだけど。


需要変化と供給変化のマッチングに関しては、以下を参考にどうぞ。
それから、この程度のことを“難しい”とか云っちゃうから負け犬なんですよ。


電力市場2.0とインダストリ4.0(村上敦さんのfacebook
https://www.facebook.com/murakamiatsushi/posts/10200817129585850


http://b.hatena.ne.jp/pgary/20150907#bookmark-265107079

個人的には、トヨタ燃料電池車(MIRAI)が広まる → 水素関係の技術躍進とインフラ整備 → 水素で蓄電 ってならないかなと妄想してる。


現在のペースで導入される分には、当分、水素も蓄電も必要ありません。
「水素」に関しては、思いっきり政策ミスになると思います。この点はまたエントリーを書きます。


“世界一高価なクルマ”に乗ってきたよ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20080821/1219309985


http://b.hatena.ne.jp/reachout/20150907#bookmark-265107079

原発「も」持っておくのが良いと思いますけどね。多岐に渡る発電方法を持っておくことで安定性が担保されると思います。

http://b.hatena.ne.jp/ROYGB/20150907#bookmark-265107079

ドイツも将来の原発廃止は決めたけど今現在は原発を動かしてる。原子力と太陽光や風力は別にどちらかを選ばなければいけないものではなく、どちらも使っていってかまわないような。


3.11ってご存知?


http://b.hatena.ne.jp/khwarizmi/20150907#bookmark-265107079

なんで,再生エネルギー先進国のドイツで電気料金高騰の産業競争力への影響がないかって?電気代が効くような産業は特別扱いで再生エネルギー賦課金を免除されてるからだよ


そりゃ、川口マーン恵美に言ってやってくれ。電気代が上がって産業界が困ってる、と云っているのは彼の人なんだから。


http://b.hatena.ne.jp/nofrills/20150908#bookmark-265107079

とても役立つ、主に欧州の電力事情のまとめ。ただ、英国については、スコットランドのSNPはむしろ「例外」というのを強調しないと(UKの原子力ロビーのアレさは……)。あと、インドとイランを見ておかないと。


確かに。英保守党の原子力傾倒ぶりは酷いですからね。私、かつてキャメロン首相を「イギリスの安倍晋三」と呼んだ事があります。ただ、英労働党のコービン候補には期待しているんですよ。主張がニコラ・スタージョンと共通しますし。昔、NHKで放送されたイギリスのドラマ「狙われた政権」の主人公にそっくりなので。頑張ってほしいですね。


狙われた政権・英国ダウリング街の謀略(1988)
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=17299


インドは原発以上に再生可能エネルギーの導入が進んでますし、原発には各地で反対も強いですから導入はなかなか進まないでしょう。このへんはベトナムなど東南アジア各国もそうだと思いますが、強圧的な開発独裁国家なら原子力を選択するでしょう。
実際、東欧でも原発導入を進めているのは右派政権ですし。ちょっと気の毒なのがアルメニアですね。確かに彼の国で再生可能エネルギー頼みは厳しい。かといって、旧ソ連型の原発、ってのもつらいところです。


Google原発開発から撤退したのか?
http://d.hatena.ne.jp/s_kotake/20150908/p5


あ、これは私も読みました。


「スクープ! グーグルが原発開発に着手した」
http://president.jp/articles/-/14756


でも、ハッキリとこう書いているんですよね。


http://www.google.com/intl/ja_ALL/green/energy/

再生可能エネルギー

Google では、100% 再生可能エネルギーで社内に電力を供給することに取り組んでいます。環境にやさしいだけでなく、再生可能エネルギーをビジネス チャンスと見なし、その開発の推進に継続的に出資しています。再生可能エネルギーによる電力をウェブで使用することで、誰にとってもより良い未来が作られると考えています。

http://www.datacenterknowledge.com/archives/2012/03/26/google-our-pue-is-lower-and-its-scrupulous/


おそらくですけど、Googleが「原子力技術」に目を付けたのは本当でしょう。でも、それは原発ではなく冷却技術だと思います。過去エントリーでIBM原子力向けに開発した液体金属による冷却技術を集光型太陽光発電に応用する、という記事を取り上げたことがあります。
原子力での最大のネックは冷却技術ですから、それ関連技術は結構進んでいるんです。Google社が目を付けたのは、サーバーに応用できる液浸冷却技術ではないかと予想します。液浸冷却型のスパコンが省エネというのは日本でも例がありますからね。


IBM、ソーラーファーム技術の飛躍的な前進を発表
http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/05/1603.html

このような高密度化が可能になったのは、小さい太陽電池を冷却する方式に秘訣があります。2000 sun相当のエネルギーをこのような小さな表面積に凝集したとき、研究者が最初に実験で経験したことはステンレスが溶けるほど十分な熱が生成されるということでした。しかしながら、コンピューター・チップの冷却のために研究開発していた方式を借用することで、この研究チームは、太陽電池を摂氏1600度以上という高温からわずか摂氏85度に下がるように冷却することに成功しました。


理研、2PFLOPS級の液浸冷却スーパーコンピュータ「Shoubu」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150625_708725.html


さて、最後に「デカップリング」について説明しましょう。
再生可能エネルギー導入は高くつく、みたいな意見が出ますが、実際には問題にならない。なぜかと言えば、以下のような事が起きたからです。


グリーン成長戦略「デカップリングとは何か?

これまでの社会では、経済成長に比例してエネルギー消費も増えるとされてきました。企業活動が活発になり、生活が豊かで便利になれば、電力やガスをたくさん使うのはもっともなように思われます。
カップリングとは、これに対して一定の経済成長や便利さを維持しつつも、エネルギー消費を減らしていく、即ち両者を「切り離す」という考え方です。 例えば、資源の再利用・循環利用を行う、エネルギー多消費の産業構造を改める、これまでにない手法で省エネすることにより、デカップリングは可能です。
ドイツでは、過去20年の間、日本以上に高い経済成長を続けつつ、一次エネルギー消費や温室効果ガスを減らしています(下図)。 再生可能エネルギーの導入やコジェネによる地域熱供給体制の構築、住宅の断熱化などにより、関連雇用を大幅に増やしつつ、エネルギー効率を高めてきました。
日本は世界で最も省エネが進んでいると言われてきましたが、エネルギー消費が増え続けてきたことも事実です。しかし、日本でもここ数年デカップリングの傾向が出始めているという指摘もあります。
カップリングの実現は、社会の仕組みを変え、経済成長のあり方を改めることに繋がり、グリーンエネルギー革命の一断面といえるでしょう。」

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/greenenergy/green_growth_strategy/decoupling/index.html


ポイントになるのは、再生可能エネルギーの導入を進めるのと同等以上に省エネルギーを進めることにあります。産業関係では、自称中立で現実的で科学的判断の出来る人は知らないでしょうが、現在の主たる製品・サービス開発は省エネルギー化がセールスポイントなのです。こうした事は海外では当然のように進められているので


未来へのエミッション・フリー。
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/insights/corporation/bmwi/sustainability.html


アップル、中国の委託工場にも再生可能エネルギー計画
http://jp.wsj.com/articles/SB11967417060534283459204580633781284522828


というように製造産業での先進的事例が登場しているわけです。
従来、消費エネルギー削減では遅れがちだったオフィス関係も、断熱・LED照明・空調・ネットワークデバイスの省エネ化などにより、ZEBまで登場しています。


大成建設、ZEB実証棟で年間エネ収支ゼロを達成−都市部での達成は国内初
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0920150701caaz.html


こうして見ると判りますね。再生可能エネルギーが“高い”としても、消費エネルギーを削減すればコスト自体は抑えられる。長期的に収支にあえば、新規設備導入、という形で投資先にもなるわけです。金余りで有効な投資先の少ない今、“グリーン投資”は有望な投資先と考えられます。ですから、再生可能エネルギー市場が賑わいますし、省エネ関連産業での新製品発表が相次ぐわけです。(ついでに経済にも好影響)


一般家庭でも、ドイツでは省エネ基準が徹底しており、そのための改修や新築には低金利の融資や補助制度があります。他国でも住宅の省エネ化は進んでおり、この点では日本は中国にひけを取っています。


ファイナンシャルプランナーも知らない"住宅ファイナンシャルプラン必須6項目"
http://www.homes.co.jp/cont/press/opinion/opinion_00128/


ドイツのパッシブ基準とスイスのミネルギー基準にみる世界基準
http://www.homes.co.jp/cont/press/opinion/opinion_00125/


暑さの7割寒さの6割は窓が原因なのに、日本の窓は中国の最低基準以下
http://www.homes.co.jp/cont/press/opinion/opinion_00089/


日本の住宅、なぜ寒い 窓など断熱性能低く
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO81592170W5A100C1TJP001/


住宅省エネ基準の国際比較と更なる省エネ化に向けて
http://www.nri.com/~/media/PDF/jp/opinion/teiki/region/2015/ck20150102.pdf


欧州各国の省エネルギー政策(JETRO
http://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07000351/eurotrand_aug_R2.pdf


成長市場の省エネ改修に舵を切れ(前編)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/column/20150528/701610/080600001/


キチンとした省エネ対策を進めれば、電気代が高い、なんて事にはならないわけです。


かつて、自動車産業でも同じ事が起こりました。アメリカでは自動車による大気汚染が問題になった際、カリフォルニア州を中心に燃費・排ガス規制を掛ける動きが広まりましたが、ビッグ3と呼ばれる自動車メーカーは強く反対しました。
「規制を掛ければそれに対応するための支出で自動車が売れなくなり、経済がへこむ」と。
ですが、マスキー法が制定されると、見事に規制をクリアした日本の自動車メーカーがシェアを伸ばしました。何か規制を掛けてコストが上がったら経済が低下する、というのは、必ずしもそうとは言えないのです。
とりわけ、再生可能エネルギーに関しては、FITの保証期間が終わると極めて安価に電力が得られるようになります。燃料費はゼロ*7でメンテ費用だけになりますから、急速に電気料金が下がることになります。原子力が投資回収期間が40年なのに対して、当初のFITの対象は20年ですからね。実際には20年よりだいぶ早く回収できますし*8、設置インセンティブには充分だと思います。


以上のような話は、それこそ日本語の文献を捜すだけでも出てくる初歩的な話に過ぎません。
この程度の事さえも調べずに、「現実的」に判断して躊躇してしまうから負け犬になるんですよ。
では。

*1:フランスでさえも、再生可能エネルギーの比率は日本より高い

*2:緯度、経度とも北海道から九州まで日照、気象状態は異なるため、ならし効果は大きい

*3:もちろん、大幅な周波変化や電圧低下が起これば制御範囲を超えますが、現在の導入量程度ではそこまで全然到達していない

*4:実際にそうだと思ってますけど

*5:裏返すと、熱電供給併用で無い限りバイオマスは収支が合わない可能性が高い。現在進められている計画の多くが熱利用を考慮していないので破綻が相次ぐでしょう

*6:関電もGTCCを導入しているが、原発比率が高く追いついていない

*7:バイオマスはタダではありません

*8:うちでもPVパネルを設置しているが、実績から予想すると7〜8年で元が取れる