シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

ドナルド・トランプは○○の弟子

ドナルドトランプの行状を憂いて見せるマスメディア

先日の事ではありますが、休みにスーパー銭湯のサウナに入りますと、テレビで「たかじん」が掛かっており、出演陣がトランプ米大統領の行状を嘆く、という阿鼻叫喚の惨状が映し出されておりました。サウナのテレビというのは、基本、ゴルフと相撲と野球、静岡ではサッカーが加わりますが、“ジイさんの好きな番組”が掛かるわけですけど、「たかじん」は堂々と“ジイさんの好きな番組”と成り得ているわけですね。実際、ジイさんばかりがテレビの前に集まっておりました*1
ちなみに、「たかじん」ってナレーションがルフィー(orクリリンコナン*2なんですね。ヘイト番組でルフィーの声を聞くのは違和感があります。いかに仕事は問わず、とは云っても、考え直してもらえないものかなぁ、と思うところであります。


さて、「たかじん」に限りませんが、日本のこうしたニュースショーの類では、トランプの行状が愚行として捉えられているのですが、しかし、どうみても“お前がいうな”物件でしかないですよね。
ちょっと前の事ですがニュース女子問題が持ち上がりました。製作会社のコメントが


ニュース女子番組見解について
https://dhctv.jp/information/2017-01-20-283265/

(前略)これら言論活動を言論の場ではなく一方的に「デマ」「ヘイト」と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧であると考えます。


なんですけど、これって見事に“オルタナ・ファクト(もう一つの事実)”です。他にも辻元議員の森友学園侵入問題、3600億円の補助金不正なんてのもあります。


https://twitter.com/nakayamanariaki/status/846881445658292224

籠池夫人とのメールで昭恵夫人の寄付はなかったことが分かったが、同じメールで辻元清美議員の疑惑が浮上して民進党は火消しに大童だ。マスコミに報道しないよう頼むに至っては何をかいわんや。辻元議員といえば東北大震災の義捐金3600億円の使途の責任者だった筈だが、報告はなされていたかな?


どうやっても無理スジの話を森友学園問題へのカウンターのつもりで当ててくるところは、ロシアとの関係を暴露されて、前オバマ政権による盗聴問題にすり替えたのとそっくりです。


「盗聴」「釈放」… トランプ氏、無根拠にオバマ氏批判
http://www.asahi.com/articles/ASK382F4NK38UHBI00C.html

トランプ米大統領が根拠なく、オバマ前大統領を批判する発言を繰り返し、波紋を広げている。トランプ陣営とロシア側が選挙前に接触していたことが発覚した問題で、オバマ氏が盗聴器を仕掛けるよう命じたと主張したのに続き、今度は米国が釈放した収容者について事実誤認。いずれもツイッターで言い放ち、修正・訂正もしていない。


大統領就任式での観覧者人数について述べた“オルタナ・ファクト”なんて、沖縄の人々や抗議者に向けたヘイト行為に比べたら可愛いものです。ポスト−トゥルース(真実以後)なんて言葉まで登場していますが、とうに日本では全国版日刊紙がポスト−トゥルース、という大惨事*3
問題は、まるで自分達が見えていない主流メディアの方にあります。トランプを引き合いに、世界の(非寛容への)変化を嘆いて見せますが、日本こそがポスト−トゥルース(真実以後)、“オルタナ・ファクト”の先進地なのです。
米大統領選で話題となったフェイク・ニュース*4。日本の2ちゃんねるまとめサイトの方がはるかに古く、広範囲に拡がっています。


また、トランプ大統領ツイッターで直接発言。メディアを敵視していますが、これは、橋下徹氏や維新の会らの態度(もしくは、石原慎太郎氏)に共通していますよね。トランプ氏自身に問題があることは早くから判っていたのに、その“過激な”発言が視聴率を押し上げるから、と露出を増やし、結果的に大統領の座まで押し上げた。この構図は、まんま橋下氏に当て嵌まります。未だに、「橋下×羽鳥の番組」のような番組を持たせたりしているわけですから、共犯といっても不思議ではありません。以前、この番組のプロデューサーが、会社上層部の指示で番組企画を立ち上げた事をコラムに書いていました。目的が何であれ、橋下をメディアに出すこと自体に問題あると考えないのなら、アメリカメディアより遥かに性質が悪いのです。
少なくとも、アメリカのメディアはトランプ氏に対して抵抗の態度を示し、ファクトチェックを行なっています。日本では、デマゴーグに迎合し、拡散に協力し、しかし、他国の状況を嘆いて見せる。こんな倒錯した状況を日夜見せられるのは、何かの不条理劇のようです。


こうした日本におけるポスト−トゥルースの行きついた先が安倍政権なのでして、まさに安倍政権こそはトランプの師、ドナルド・トランプは安倍の弟子なのです。
そもそも、トランプの選挙中からのフレーズ、「アメリカ・ファースト」。安倍の「ニッポンを取り戻す」とまんま一緒です。多様な人々の住むアメリカの価値観は一緒ではない。それを「アメリカ第一」とやる態度。それは、アナクロで偏狭な“ニッポン”を取り戻そうとする安倍らとピッタリ重なります。
現在、トランプ氏が唱える経済政策 トランポノミクスは、財政出動と減税の組合せですが、併せて(財政支出によるドル高を避けるため)金融緩和策が維持される事になるでしょう。これらは、相変わらずの富裕層優遇策、に他ならないわけですけど、それって、まさにアベノミクス、ですよね。日本強靭化策なる公共土木事業への財政出動(その一方で教育・福祉・介護・医療等には冷たい)、企業法人税等の減税(これらは、企業が減税によって稼ぎが増やせば、勤労者にも恩恵がある、としたトリクルダウンに他ならない)。
どうみても、トランプは安倍政権の手口を学んだとしか思えません。まあ、日本は各国の極右からお手本とされていますから、当然の事でしかないのですが。


他にも各国との外交が、親和的かそうでないかで分断するやり方、反日親日、という言葉にそれが現れていますが、それらもトランプは応用していますよね。まあ、特に交渉成果も無いのに気前よくカネだけはばら蒔いてくる安倍と比べると、トランプの方がマシというかケチい感じはしますが。


そしてマイノリティに差別的態度を取る、という点でも共通してます。
また、テレビの話ですが、報道特集アメリカ先住民がトランプらが進める石油パイプライン建設に対して反対運動を行なっている件に関して取材を行なっていました。


報道特集 先住民が問うトランプ政権 (2017/2/4 放送)
http://www.tbs.co.jp/houtoku/onair/20170204_1_1.html#


(反対するからと)白人生活圏を避けるように、パイプラインは先住民の聖地と居住地に通されようとしています。そして、それに対する異議申し立ては当然のように無視される。それでも、オバマ政権の時は建設凍結となりましたが、トランプ政権となり、本格的に着工され、保安官らや州軍によって反対運動は強い弾圧を受けています。
これって、「沖縄」と相似だな、と思ったのですが、気骨のある番組、報道特集だけあって、沖縄との類似性についても触れていました。報道特集スタッフ、good job!


それだけではなく、番組で登場する先住民代表らは沖縄で抵抗運動を行なう人々に語りかけます。我々は沖縄の人々が受ける理不尽さを知っている、あなた方は孤立していない、と。
パイプライン建設に対する抵抗運動は、トランプ支持層のような連中から中傷されています。その姿も、沖縄の基地反対運動が日本のオルタナ・ライト、ようはクソウヨから中傷されるのと瓜二つです。


難民問題も同じです。
トランプ大統領の難民入国管理については各所から批判を浴びていますが、日本政府はほとんどノーコメントを通しています。さすが人権後進国だけのことはあります。
批判的なコメントのしようがありませんよね。日本は難民をほとんど受け入れていませんから。
それどころか、入国管理事務所で申請者を収容施設送りにして、そこでの非人道的な取扱いもネグっています。そこでは死者も出ていますし、本国送還の危険性もあります。


弁護士ドットコム(サイト内を「入管」で検索した結果)
https://www.bengo4.com/topics/search/?query=%E5%85%A5%E7%AE%A1&=


しかし、メディアもそれをほとんど放置。司法すらそれに加担します。アメリカでは司法がトランプの大統領令を執行停止に追い込みました。日本では司法とは政権に迎合する存在でしかありませんから*5アメリカの方が遥かにマシなのです。


主流メディアがアメリカやヨーロッパのナショナリズムを引き合いに出して、日本もそうならないように、なんてピントずれも良いところです。日本は極右化、という点では世界のお手本、スゴイ日本、なのです。
日本では「スゴイ日本」捜しが必死に行われております。書店で「スゴイ日本」本を読んでいるジイさん(ビックリするほどジイさんが読んでいる)を見かけますが、おそらくはアメリカでも(イギリスでも)そうした流行が起こるでしょう。「凄いアメリカ」「偉大なる大英帝国」。ポスト−トゥルースの一種ですね。


何度も言いますが、他人の振り見て我が振り直せ、ここに尽きます。
では。

4/12 追記:ikuhei 氏の御指摘で修正いたしました。

*1:私は不愉快なので、早々にサウナを諦めて浴槽に移動した

*2:田中真弓

*3:もちろん、産経新聞のことです

*4:トランプ支持者向けの偽ニュースが東欧の若者の小銭稼ぎとして流されるのが問題となった

*5:沖縄や朝鮮学校問題を見れば明らかです