シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

佐川前国税庁長官の喚問で見えたこと

先日、佐川宣寿前国税庁長官(以下、佐川氏と略)が国会に証人喚問で召致され、人をくったような発言「刑事訴追のおそれがあるので…」を連発して、日本中をイライラさせたのは記憶に新しいところです。
まあ、エクストリーム政権擁護の方々は、「官邸や政権幹部からの指示はなかった」との そこだけ立て板に水 証言で浮かれている様ですが、この証言がむしろヤバい事態を意味する、ことは考えが至っていない。


佐川氏、改ざん経緯の証言拒否 「刑事訴追のおそれ」
https://www.asahi.com/articles/ASL3W2QMPL3WUTFK001.html


与党「森友」収束急ぐ 「官僚の責任」論を展開
https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00m/010/143000c


もし、佐川氏の証言どおりなら、“理財局職員らは特に理由も無く上層部の決裁まで受けた決裁文書を、局長にすら伺いを立てずに勝手な判断で改ざんし、放置していた”ということになります。
これはつまり、理財局や財務省に関わらず、公文書、というものの信頼性を完全に失墜させたことになります。もう、各省庁の出してくる文書類やデータはまったく信用する事が出来ない。
動機がある、と推察されるなら、そのような動機の生じないものはある程度信頼が置けるかもしれません。しかし、佐川氏は動機については触れずに、改ざんは局内で行われた、と明言したわけです。だとするならば、他の公文書類に関しても同じ事です。
だって、改ざんするのに理由が必要無いのですから。それも、朝日のすっぱ抜きが無ければ放置されていたのです。


別のケースで考えてみましょう。ちょっと前には、日本の鉄鋼・アルミ材メーカーの品質検査データ改ざんが話題となりました。
ここにおいて重要問題とされたのは、誰の指示でという以上に動機と構造が問題でありました。上層部からの過剰な要求が、現場において面従腹背な態度を生み、結果、裏マニュアルとして品質検査の手抜き、データ改ざんを生んだ。担当社員らが勝手にやった、上層部は承知していなかった、というのは通用しません。当然ながら上層部は相応の責任を取る必要がありますし、そうでなければ信頼を取り戻すことは出来ないでしょう。


神戸製鋼 「信頼回復へ不退転」山口次期社長 不正を謝罪
https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/020/087000c


それを部下が勝手にやったことだ。自分は承知していない。などとやればどうなることか。普通は炎上必至でしょう。
それをやらかしたのが安倍政権であり、佐川氏、なのです。


政府機関全般における信頼性を損なうことは見えていないようで、

「佐川氏の勝ち」

などと脳天気なことをいう御仁も現れる始末です。


自民幹部「佐川氏の勝ち、昭恵氏呼ぶ必要ない」
https://www.asahi.com/articles/ASL3W5HPHL3WUTFK01W.html


クソウヨは「いつまでこんなことを続けているのか、もっと重要な問題があるのに」

みたいなことをほざいてますが、この問題が騒がれたのは一年以上前のことです。
地道に問題を掘り下げて明らかにした方々によって、ようやく国会の場に出ても、木で鼻をくくったような答弁をし続けたのが安倍政権および与党の面々です。一年以上たってようやく朝日新聞によって「公文書改ざん」が明らかにされたために、ようやく問題が問えるようになったのです。それだって、最初は「証拠を出せ」とガセ扱いする始末。


ほぼ週刊 まこと通信
https://blogs.yahoo.co.jp/toyonaka_kimura


森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える
https://www.asahi.com/articles/ASL317533L31UTIL060.html


あのスクープが無ければ、役所内での決済後の公文書改ざん、という犯罪行為が日の目を見なかった可能性は高い。
そのことに対する問題意識も反省も無いわけです。
安倍首相はしきりに自らの責任について語りたがりますが、その言葉と裏腹に、どう責任を取るのか、については口を噤んでいます。なんというヘタレか。


首相、文書改ざん陳謝 自民党大会
https://www.asahi.com/articles/DA3S13420551.html


さて、本当に「官邸や政権幹部からの指示はなく、理財局職員らが特に理由も無く勝手にやったこと」なのか。まあ、そんなわけはありませんよね。
職員らには動機がありませんし、そういう話であるなら、政権幹部らが積極的にネグり続ける必要がありません*1。職員らの責任を問うてオシマイの話だったはずです。つまり、去年のうちに済んだのです。それどころか、政権幹部らは朝日新聞のスクープが無ければ、問題の存在さえ認めなかったわけですから、職員らが勝手にやった、というのは無理があります。
「指示は無かった」という筋書きに固執した場合でも、それならば問題を他者から一年以上に渡り何度となく指摘されても認めず、確固たる証拠を突き付けられるまで解決に着手しなかった、という「無能さ」から、政権には総退陣してもらうほかありません。他にこんな「無能」な方々に責任を取って貰う方法あります?


もう一つ政権関与が疑われる理由があります。それは、他にも同じ構造の問題がゴロゴロしているから。
加計学園問題しかり、裁量労働制の時間外労働に関する不適正データ問題、山口某によるレイプ事件もみ消し、NEDO補助金不正利用問題、陸上自衛隊日報隠ぺい・改ざん問題、古いところならNHKディレクターらへの圧力、etc。
直接ではなく、婉曲的に仄めかすように圧力を掛け、自らの関与が見えないように小細工する。こんな厭らしい手口が相次いでいるわけで、その利害関係の中心にあるのが安倍氏や側近の存在なのです。であれば、各文科省やら厚労省やら警察庁やら経産省やら陸上自衛隊やらNHKやらの個別の問題、とされるより、それを繋ぐ筋書きの方が合理性がある。


政権擁護のアクロバティック芸を見るのも“もう飽き”ました。いい加減、問題解決が進むことを願います。
では。

*1:籠池氏が問題、というクソウヨもいますが、であれば、問題が指摘されてから散々放置されたことに理由が付かない