シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

週末ポタリングガイド

このところ、ポタリングに関してのエントリーしなかったですね。というわけで、チョイと前になりますが出掛けてきましたよ。
本日のお出かけは、「とりあえず、西へ」というもの。なぜかと云えば、このところ東へ出掛ける事が多かったから。東へ向かい、由比で桜エビを食べ、戻ってくる。という、おきまりコースが増えつつあったので、たまには西へ行くかな、という単純な話。ま、なぜ西へなかなか行かないか、といえば、西へ向かうには牧ノ原台地を上がらなきゃならないからで、行きはともかく、夕方に坂を上がるほど面倒くさいことはない。で、最近とみに東へ向かうことが増えていた、というわけ。
怠惰な心にムチをくれ、一躍西へ走り出します。
ここ最近、車が減ったなぁ、とは感じていますが、しかし、休日の朝の減り方は尋常じゃありません。盆暮れ正月並みの減り方。ろくすっぽ走っていないんですわ。でも、その分飛ばす車が増えて、かえって危ない状態。いい気なモンだな。オイ。
1時間余りで大井川を越え、牧ノ原を登り始める。風が少なく、異様に蒸すせいか、ジャンジャン汗をかき始める。下着は吸湿乾燥の良いタイプだが、風がないので肌にビットリ。気分は良くない。崖の上から見える景色はすっかり霞んで富士はおろか、高草山さえ見えない。ようやく峠へ差し掛かるが、普段抜ける旧国1はやめて、菊川へ降りる道へ進む。特に理由は無し。途中、新しい喫茶店が建てられていた。

古くからの喫茶店、「アルム」と共に入ってみたい気はするけど、通りがかる時間は大概店が開いてない時間だ。

菊川への急坂を下り、菊川沿いに進むと菊川の街。アホらしいことに、菊川は現在駅前区画整理の真っ最中。 バカバカしい。誰が菊川の街の整った街を必要とするんだ?単に地域性を失った無個性な街が出来るだけだろ?しかも、駅前の店、郊外化によってつぶれまくってんじゃん。郊外化を進めながら、駅前再開発は無意味だといい加減気づかないモノかね。


菊川から掛川へと道を進むが、このへんは県道沿いなのであまり景色も楽しくない。掛川に入り、逆川沿いの遊歩道に出た頃から楽しくなる。実は、掛川の川沿いは散歩道が上手に整備されていて、意外に走るのが楽しい。歩くだけでなく、自転車も含め、市の中心、掛川城近くも含めて移動が容易になっている。しかし、掛川でも人口規模に見合わない郊外化が進められていて、せっかくの利点を損なっている。城近くの商店街を「江戸時代風」にしたりしてるけど、東西南北どちらにも郊外拡張して道路を広げれば、空洞化が避けられないのは当たり前なんだが。ま、掛川市の事情はともかく、緩やかにくねる逆川を下っていくと、天竜浜名湖線を潜り、エコパを左に見ながら、道は袋井へと続く。このまま進めば川は太田川に繋がり、遠州灘へ続くが、本日はここまで。太田川を下った話はまたいずれ。


逆川は袋井との市境で原野谷川と合流する。この原野谷川を遡る。
国1を潜って川の右岸を走ろうとしたら、いきなり道が無くなる。どうやら、失敗したらしい。
改めて、左岸へ渡ると堤防沿いを走り始める。道は理想的に細く。車の通行が無い。橋を何カ所か過ぎて振り返れば、そこは日本の美しき田園風景。稲はあくまでも青く、僅かな風に揺れ、田の様子はあたかも波立つ海原のよう。堤防沿いにはカンナが咲き、所々にはまだ紫陽花も見える。周囲に溢れる緑は決して単色ではない。フラクタルに形取られた自然のリズムは田園に結実する。
「地球に生まれて良かったー!!(山本高広風に)」

5km余りも遡れば、右手(東)から見えてくる天竜浜名湖鉄道の線路。堤防と線路は簡素な踏切で交差する。

土手からは間近に橋脚が見える。ここで列車が来るのを撮せれば最高だな、と考えてカメラを構え、蚊に刺されながら待っていたが、過疎のローカル線の宿命、列車は全然来なかった。痺れを斬らせて先へ進む。堤防の道が途切れると、古道を抜け、県道40号を横切る。このあたりから、車の数が増える。本日のお目当てが近くにあるからだ。
それは、「加茂花菖蒲園」。


加茂花菖蒲園公式サイト
http://www.kamoltd.co.jp/kakegawa/


あの、ポポちゃん、で有名になった「掛川花鳥園」「富士花鳥園」「神戸花鳥園」の元祖、である。
古くからの豪農の邸宅、庭園を菖蒲園として公開、最近だとドラマ「パズル」の舞台としてもロケされている。
川沿いに進むと菖蒲園の駐車場は満車状態。さすがにシーズンは過ぎたが、なかなかの人出。掛川花鳥園はそろそろ蓮が見頃かな。
川の上流をもうちっと見たいな、と登ってみる。余力を考えて、12時まで到達した所で引き返す。しかし、このへんの田の美しさと云ったら無い。無粋な第二東名がなけりゃ最高なんだが。
加茂花菖蒲園だけじゃなく、古い邸宅がそこここにある。大概は茅葺きの屋根をトタンで覆ってしまっているが、あれば表に出れば実に美しいだろう。
菖蒲園の近くまで戻ると、菖蒲園の入れ替え用育苗所が見える。その中も結構咲いていて美しい。水路にもキレイな水が流れる。自転車のメリットとは、景色をポイントで捉えないことだ。自動車の移動ではポイントにしか興味が無くなる。しかし、自転車では、走行中の風景も等身大で取り込むことが出来る。車の客が見逃す風景も見逃さずに済むのだ。誰も気づかない菖蒲園の外の姿、それは職員と自分だけのものだ。

菖蒲園も入ろうと思っていたが、あまりの混雑に止めてしまった。外からも覗けるところがあって、中はなかなかにキレイだ。しかし、人が多すぎだね。

少々遅めの食事をとるために掛川市内へ向かう。途中までは原野谷川ぞいに。途中から旧東海道に合流し、街道沿いに掛川市内へ。食事をしたのは、掛川の「キネマ食堂」さん。

「キネマ食堂」さんは、レトロな感じが人気だが、そのレトロぶりは本物で、創業は昭和初期だという人気のラーメン屋。暑い季節なので、冷たい麺を、と考え、「玉子冷麺」を頂く。

実にウマイ!味、ボリューム、とも文句無し。掛川来た人は、是非行くことをオススメする。駅からはちょっと距離あるけど。


食後のポタリングは後半へ

週末ポタリングガイド 後半戦


食事の後、再び掛川の街を抜ける。ここで二つの選択肢。一つは国1沿いに走って戻るルート。もう一つは菊川に再び出たら、菊川を下って旧国150号(県道239号)へ出て相良まで走り、旧駿遠線跡を走るというもの。時間的には国1の方が早い。ただ、菊川を下るルートへ廻る時間は充分にある。あとはお天気次第。天気は持ちそう、との情報を得て菊川を下ることにする。菊川市から川沿い、というか、県道沿いはまさに「ファスト風土」。パチンコ屋とDIYと大型家電店にファミレス。川沿い以外は全然楽しくない。川の堤防道だけは、そんな景色から離れているのだ。静岡では有数の開けた平野を望みながら駆け下る。飛ばす気は無かったが、あっという間に合流点の国安橋へ。進路を左に取り、東走する。県道沿いなんてのは、あまり楽しい道ではない。それでも、車の台数が少ないのが幸いして順調に距離を稼ぐ。こんなド田舎道なのに、まだ拡張しようとしているのか。本当に道路フェチなんだなぁ。道脇の店はどれも「貸店舗」とか「テナント募集」なんて書かれているのに。所々に新築の「レオパレス21」などの安アパートが建ってたりして、そこではポルトガル語の会話をしてる連中が結構いる。つまり、ブラジル人労働者だ。田舎に住み、車で工場に勤務する彼らの生活は大丈夫だろうか。彼らと日本人は、同じ国に住みながら、透明な壁で隔てられたような存在だ。彼らを地域コミュニティーの一員として認めるところはまだまだ少ない。御前崎市(旧浜岡町)の浜岡原子力発電所にも相当数働いているようだ。


相良の地頭方まで出ると、自転車道に整備された駿遠線跡を走る。ここからはペースが掴みやすい。車も信号も無いからだ。一度、相良の街手前で旧道に出る。そこに面白い屋敷がある。川に面した屋敷の石垣に船着き場があるのだ。見づらいけど写真の通り。

古い時代は艀を使って海運とやり取りしていたらしい。相良を抜け、榛原へ入ると、ここも区画整理かよ!こんなところ弄くったって人は増えやしないよ。街を広げれば広げるほど苦境になるって。道に面した店はバンバン潰れてるじゃん。この先、吉田町も大井川町区画整理と道の新設、拡幅の真っ最中。お前ら、それが完成する頃には走る車も住民もいなくなるぜ。
走りながら虚しい気分に襲われたポタリングであった。

総距離:118km