シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

樅の木はよかった

連休となれば自転車走り放題、いつも走っているが、という訳でポタリングに出掛ける。とりあえず確たる目標もなく、静岡の藁科川上流を目指す。
藁科川は安倍川ほど大きくないが、緩やかに蛇行して川の両岸の景色は変化に富んでいる。川の水は素晴らしくキレイで、偏光サングラスをしているために川底まで見通せるのだが、魚がそこここに泳いでいるのを見掛けた。安倍川の上流へ向かうよりは川幅も狭く道の傾斜も緩い。
一応の目的地として湯の島温泉を目指すが距離を計算すると、着くのが午後へだいぶずれ込みそうだった。夕方から飲み会があった事もあって、「一時まで走って引き返そう」と考えていた。


途中の休憩所で「静岡みかん70」というのを飲む。たぶん、静岡JAあたりの販売なんだろうけど、あまり売れそうもない商品だ。でも、味はみかんバッチリという感じだった。なぜ、100%にしないのか。


本川根へ向かう道と分かれると、車も減ってくる。車の音もしない渓谷に一人で自転車を漕いでいる感覚は、景色を独り占めしているようだ。聞こえてくるのは川と鳥の声だけ。ぼんやりしていたら、後ろから来たロードバイクに挨拶されてビックリ。さすがにロードはほとんど音がしない。自分との速度差はざっと10km/h。30km/hは出ている勘定。上り坂で速いもんだ。ロードならもう少し飛ばせるが、それでも上り坂で30km/hは出せない。


最近、自転車で走行する人が増えてきたのをヒシヒシ感じる。ロードが増えただけではなく、カジュアルな格好で走るオジサンを見掛ける。結構、良い事だな、と思う。でも、なんとなしに追い抜かれていくような寂しさもある。


湯の島温泉まで残り8kmくらいになって、いい加減引き返すかどうするか考えていた頃、「樅の木」が見えた。樅の木は天然温泉が売りの宿泊施設。表の看板に「手打ちそばあります」とあったので、食事をする事にした。メニュー自体はありきたりの品が並んでいたが、手打ちそば、とあったので、「天盛り」を選ぶ。店の人には「それがオススメなんですよ。」といわれた。
奥の厨房からは天ぷらを揚げる音がしているので、どうやら揚げたてが食べられそうだ、と期待した。
期待は裏切られず、天ぷらもそばも実に美味かった。特に天ぷらは、山菜の天ぷらで、ワラビ、フキノトウ、タラの芽、ヨモギ、山ウド、コシアブラ、etc、と盛りだくさん。さくさくとした衣が、春の味をしっかりと包んでいる。腰のあるソバと良く合って最高だ。さらに素晴らしかったのが、薬味についてきたワサビ。もちろん、チューブ入りなどではない、本ワサビでそのまま舐めてみて僅かな甘みが感じられる。砂糖が若干加えてあるのだ。辛みを引き立てるのに砂糖がいいというが、確かにピッタリ。ワサビだけチビチビ舐めてもおいしい。
これで日本酒があったら、天ぷらで一杯やりながらそばを頂く、という「ソ連ソバ好き連)的」楽しみが可能だったのだが、自転車では致し方ない。


食事を終えて表へ出ると、飼い犬が寝そべっている。親子のような二匹がどちらもおとなしくて、デブだった。さらに外には山羊が繋がれて草を噛んでいる。どうやら除草に山羊を利用しているらしい。良い考えだ。
そのまま川を下って帰る。「樅の木」は良かった。今度は温泉にも入りたいし泊まってみたい。


帰りにイチゴの無人販売で、どでかいイチゴが売られているのを見て買ってしまう。これも美味かった。


追記:写真は樅の木の天盛りそば