まずは、こんな記事から。
法人税率「欧州並みに」本間氏、引き下げ方針示す
政府税制調査会の次期会長に7日に就任する本間正明・阪大教授は6日、朝日新聞のインタビューに応じ、法人所得課税の実効税率について、「中長期の課題として、ヨーロッパ並みを目指すのは一つの考えだ」と述べ、欧州並みの30%台半ば程度まで下げるべきだとの考えを示した。
(略)
実効税率は日本が39.54%(標準税率)で、米国の40.75%(ロサンゼルス)と同水準。欧州ではフランスが33.33%(パリ)、イタリアが37.25%(ミラノ)と30%台半ば前後が多い。
朝日新聞 11/7 朝刊
なるほど、この好景気とやらで企業が収益を出している中で、こういう話をしている。
だが、この論議にはちょっと欠けている点がある。故意にかどうかは知らないが。
(前略)
パートの賃金格差は諸外国に比べて突出している。社会保険も、パート本人が加入できなくても「扶養者」である夫の「第3号」になれば無保険にならず問題ないという発想だ。
かくてパートの待遇格差は放置されてきた。そして男性のパート労働が増えた時、生活していけない人が増えてしまった。保険のセーフティーネットから漏れる人も増えてしまった。
大沢教授は「社会保険も含めた労働法制の見直しが必要」と話す。社会保険は雇用主も半分負担しなければならず、経営側がパート労働者の加入を嫌うからだ。
以前、フランスで若者の雇用を巡る法案問題があったが*1、そこでフランスを含めて、ヨーロッパ諸国ではフルタイム(正規雇用)かパートタイム(非正規雇用)かに依らず、社会保険加入が義務づけられている事が報道されていた。
つまり、フランスにしろイタリアにしろ、法人税こそ日本より低率だが、社会保険を含めパートタイム(アルバイト)だから人件費を極端に下げたり出来ないわけだ。もちろん、偽装請負などもってのほか。
もともと、日本企業は従業員に対する還元比率が極端に低い事で知られるが、都合のいいところだけ取り出して、「法人税を下げろ」とは図々しい限りである。「法人税をヨーロッパ並みに」、というなら「非正規雇用者の待遇を正規雇用者と同等に」すべきである。
この手の議論では、国際競争力うんぬんの話がかならず登場するが、従業員待遇を競争相手(他国)より下げなければ競争力が保てない、というなら、まずそんな無能な経営陣の賃金をカットするか、クビにする方がいい。
政府(日本国政府)の態度にも問題がある。このへんについては、次に語る事にする。
追記:写真はココロコ。不気味です。