自殺したアイドル如月ミキ。彼女の一周忌を偲ぶために集まったのは、互いに顔も知らないBBSで知り合ったファン5人。生前の“キサラギ”の思い出を話し合うはずが、思わぬ方向に事態は進んでいく・・・。
劇場で驚いたのが、観客の数。平日の夕方にもかかわらずロビーはほぼ満員状態。ほとんどが女性で、なかには女子高生まで混じっている。こんなシブい映画が人気とは、と思ったが、お目当てはどうやら小栗旬だったようで。小栗旬といえば、現在公開中の「クローズゼロ」で「てっぺん殺ったるぜ!」「学校シメたる!」「ケンカ上等ォ!」とかヤンキーオーラ全開なわけだが、本作ではイマイチパッとしないアイドルのファンで、若干オタク。「クローズゼロ」と全然かぶってこない。小栗旬、なかなか演技の幅があるなぁ、と感心。彼は「情熱大陸」(未見)によれば、「来るオファーは拒まず受ける」だそうで、チャレンジし続ける貪欲な俳優らしい。
さて、「キサラギ」は登場人物が実質5人。場面も偲ぶ会会場の一ヶ所だけ。ワンシチュエーションドラマの傑作といえば、「12人の怒れる男」「デストラップ」「死と処女」「レザボア・ドッグス」なんかが思いつく。日本でも「12人の優しい日本人」「笑の大学」あたりか。どの作品も、登場人物の虚々実々の駆け引きと、皮が徐々に剥がれ落ちるかのように明らかにされる謎、という要素が盛り込まれているのが特徴。人数も場面も限られているせいか演技力が問われるし、脚本も演出もテンポ良くないと進んでいかない。で、自然と記憶に残る作品は傑作揃いなんだが、本作も面白い。
劇中では如月ミキは実像として現れてこない。回想が何回かあるが、紙芝居的扱いにすることで実像を出さないようにしている。ところが、話が進むにつれて会話のなかに現れる如月ミキが、生き生きと像を結び始め、彼女がどんな女の子だったのか輪郭が浮き彫りになっていくのだ。
5人の会話といい、絶えず入れ替わる立場、明らかになっていく事実、なかなかの演技派による演技が劇を大いに盛り上げていく。見終わった後にほんわかとした気分にさせる作品だった。
追記:ユースケ・サンタマリアが“あの人”を演じております。オマージュと呼ぶべきか。
他にワンシチュエーションドラマ、ご存じだったらお教えください。
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