シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

パイド・パイパーに注意

いい加減、こういうデタラメに引っ掛かるのも大概にしておけよ。はてブで同意だの賞賛のコメントを付けている連中、せめて阿部謹也氏の著作ぐらい目を通しておけっての。


人類史上何度も起きた、クソ労働環境の劇的な改善の原因
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20090928/p1


中世ヨーロッパにおいて労働や賦役、税についての交渉や抗争なんてのはありふれた話で、その積み重ねに関する研究は山ほどある。東方植民に関して言えば、封建領主の他に、教会権力や遍歴民、隊商なども関わっているし、どういう単純化なんだよ。バカじゃないの?


その阿部謹也氏の著作の中で有名な「ハーメルンの笛吹き男」。ハーメルンで起きた実際の事件が基となって出来た伝説について考察しているのだが、その中に「東方植民」と「少年十字軍」に纏わるエピソードではないか、という仮説が取り上げられている。
「新天地を目指す」という笛吹き男に誘い出されて消息を絶った、って事だね。全滅したか、それとも売り飛ばされたか。
まぁ、フロムダに引っ掛かるのって、それと同じ事だよ。パイド・パイパーには注意した方がいいぜ。

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)

ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)

西洋中世の男と女―聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫)

西洋中世の男と女―聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫)

ヨーロッパを見る視角 (岩波現代文庫)

ヨーロッパを見る視角 (岩波現代文庫)

中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描 (ちくま学芸文庫)

中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描 (ちくま学芸文庫)

中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫)

中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅 (ちくま学芸文庫)

物語 ドイツの歴史―ドイツ的とはなにか (中公新書)

物語 ドイツの歴史―ドイツ的とはなにか (中公新書)

対談中世の再発見 (平凡社ライブラリー)

対談中世の再発見 (平凡社ライブラリー)

中世の秋〈1〉 (中公クラシックス)

中世の秋〈1〉 (中公クラシックス)

薔薇の名前〈上〉

薔薇の名前〈上〉

9/29 追記
コメントにお答えして追記とします。


モモさん

中世ヨーロッパの事はよくわからないのですが、この人による、「労働規制を強化したり金持ちへの高額な課税をしたりしても、連中は結局抜け道を探して切り抜けようとするだけであり、社会的弱者にとってはいい事はない」という主張(ちゃんと要約できてるかわかりませんが)もインチキでしょうか?

この主張なら、規制を思いっきり掛けたって平気だろ?としか読めないんですけどね。
だって、この部分を犯罪に置き換えたって通用するわけですから。その場合、規制を止めろ、にはならないはずですよね。よほど強欲さに果ての無い連中でもない限り、合理的な振る舞いとは「規制の抜け穴を探すより、満足いくレベルまで稼ごう」になると思いますよ。「犯罪」によって利益を上げようという者が決して多数派では無いように。


まぁ、規制を撤廃しよう、というなら、私も「犯罪規制」を撤廃しよう、と主張しますけどね。


規制緩和を進めろ!
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090306/1236350561