シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

軍事力はやっぱり無駄だった、の巻

ども。レアアースの投機で一儲け。シートンです。
尖閣列島の日中の諍い、面白いですねぇ。かつての領土争いではフォークランド諸島とか、カシミール地方の帰属だとか、古くはズデーデン地方、ダンチヒ回廊などいろいろ連想いたします。こんな風に収拾が付かなくなるのかしら。と興味深いところですね。


さて、今回の一件で明らかになったのは、大戦略脳の方々の主張とは異なって、軍事力というものがまったく無意味だ、と明らかになった事でしょう。なにせ、レアアースやら貿易やら日本人の身柄を押さえられることで、にっちもさっちも行かなくなることが示されたのですから。


売国反日ミンス党の弱腰で稚拙な外交がこの結果を生んだのだ、と煮えてらっしゃる方々がいらっしゃいますし、マスメディアも、そして共産党までも焚き付けてますが、


【中国人船長釈放】「尖閣諸島の領有権は明確」志位共産党委員長
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100925/plc1009251502020-n1.htm

共産党志位和夫委員長は25日午後、沖縄・尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に体当たりした中国船の船長を那覇地検が処分保留で釈放したことについて、「日本の領海で、外国漁船の不法な操業を海上保安庁が取り締まるのは当然だ。逮捕の被疑事実、釈放に至る経過について、国民に納得のいく説明を強く求めたい」と述べた。

 その上で志位氏は「このような事件を繰り返さないためには、政府が、尖閣諸島の領有権に、歴史的にも国際法的にも明確な根拠があることを、中国政府や国際社会に明らかにする積極的な活動を行うことが必要だ」と改めて強調した。

 東京・千駄ケ谷の党本部で開催中の第2回中央委員会総会での幹部会報告で述べた。


そんなこと全然関係ありません。だって、この船長釈放を含めた“弱腰”は財界サイドの要請なんですから。


中国人船長釈放:経済界は評価の声「日中関係打開を」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100925k0000m020109000c.html

中国漁船の船長釈放が決まったことについて、日中関係悪化によるビジネスへの悪影響を懸念していた日本の経済界では、「弱腰との批判はあろうが、現実的に解決しないといけない」(東京証券取引所の斉藤惇社長)などと釈放決定を評価する声が聞かれた。

 日本の自動車メーカーにとって中国は昨年、世界一の規模に成長した重要市場。大手自動車幹部は「中国事業の比重が急速に高まっているため、日中関係は良好であるに越したことはない」と、船長釈放が冷え込む日中関係の打開につながることに期待感を示した。

 ある経済団体幹部は「中国が国内旅行業者に訪日ツアーの自粛を求め、日本の観光産業にも影響が及んだ。釈放を決めたのは良かったが、改めて中国のビジネス面でのリスクの大きさを実感した」と指摘した。【宮崎泰宏、井出晋平】


不況のどん底の日本がどうにか食いつないでいられるのは、極端にいえば中国との貿易のおかげ、です。


2007年の日中貿易 ‐貿易総額で中国が米国を抜いて第1位に、相互依存がさらに進展‐(JETRO
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20080228144-news


2010年上半期の日中貿易 ‐金融危機による落ち込みを回復し、半期ベースで過去最高を更新‐
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20100817320-newsJETRO


2007年には貿易総額はアメリカ以上になり、2010年には過去最高を記録。つまり、日本の外需頼みである経済は中国に押さえられている状況にあるわけです。
ハイテク分野も中国のレアアースに握られる始末。


中国、レアアース対日輸出停止 尖閣問題で外交圧力か
http://www.asahi.com/international/update/0923/TKY201009230257.html


中国が軍事力を行使するまでもありませんし、日本が防衛力を如何に強化しようと関係ありません。貿易を人質にされれば、白旗上げるしか無いのです。
それとも、あくまでも「法に則り粛々と毅然とした態度で臨む」とか薄っぺらい事を言います?軍事力を賭けの対象にしますか?
でも、それって80〜70年前と同じですから。
自分の軍事力を恃みとするあまり、損得も何もなく突っかけた挙げ句の失敗を再現したいなら、それもありですかね。


尖閣諸島の問題とは、プラグマティズムに捉えるなら「どっちが利益(損益)になるか」の問題です。国内の有数の漁場である有明海も瀬戸内海もあちこちの干潟も大事にしないくせに、「漁場を守れ」と騒ぐのもこっけいですし、石油資源なんたら、というのも、石油採掘手段を保有していない*1事を考慮に入れていません。
日本企業の多くが中国への進出を目論んでいて (しきりに「減税しないと出ていくぞ」と脅してくれますよね) 国内の労働者でも「研修生」という名の低賃金労働者を使っている状況を失う事を良としないのは(財界サイドとしては)当然のことでしょう。
それをあえて、年間輸出入総額2000億ドル以上の貿易相手と事を構えるのか、を考えてみれば良いと思いますよ。果たして損得に見合うものなのか。


日頃、企業の意を汲み取るのが大好きな「エア経営者」の方々が何て騒いでいるのか面白いですね。
エア経営者なら、「尖閣諸島問題で中国を挑発するな」と説いて廻らないと。


私ですか?私はもともと自由貿易にも、国際分業論にも反対で、内需中心に考えるべき、と思ってますから、日本政府には「法に則り粛々と毅然とした態度で臨む」事を主張しますよ。
で、再燃するチャイナリスクによって日本企業が「出ていくぞ」を言えなくなる事を期待しますし、レアアースが禁輸(または制限)を受けることでリサイクルや代替手段が伸長する事を希望しています。
日本政府にはガンガン中国政府との軋轢を増やして欲しいものですね。皆さん、それをご希望なんでしょ?

*1:尖閣諸島付近で石油採掘しようと思ったら、メキシコ湾で事故にあった油田と同程度の採掘技術が必要だろう