ナショナルトレジャー リンカーン暗殺者の日記(ネタばれあり)
歴史学者にしてトレジャーハンター(宝探し)のベン・ゲイツの活躍を描くシリーズ第二弾。
リンカーン大統領暗殺の犯人ジョン・ブースの日記の失われていた箇所から見つかった名前で、先祖がリンカーン大統領暗殺に関わっていた可能性が出てきたベン・ゲイツ。先祖の疑いを晴らすため、失われた日記の手掛かりを頼りに南北戦争に秘められた謎に立ち向かう。
南北戦争は日本人にとってはあまり馴染みの薄い話ではあるが、アメリカ人にとっては歴史上の一大転換点だった。そもそも日本では「南北戦争」と呼び表すが、アメリカでは“The civil war”(内戦)と呼び、国をまっぷたつに割った大戦争だった。その戦争を乗り切り、アメリカの統一を維持したということでリンカーンは高い評価を受け、アメリカ歴代大統領中一番の人気を誇っている。たぶんに伝説化された面があることはあるが。
だから、リンカーン暗殺犯の疑い、というのはアメリカ人ならなんとしても晴らしたい汚名、なんだろうけど、見ている日本人にはそのへんが理解できない。だから、大統領誘拐まで踏み切ってしまうベン・ゲイツの熱意にやや呆然となってしまう。あの大統領、善良すぎて、現実の大統領と全然被ってこないキャラだし。
しかも、どういう展開で進むのか不可解な暗号、というか謎掛け、といい、その謎掛けレベルに付き合うかのような“お宝”への手掛かり。なんか、頭の体操、というか、nintendo DSの「レイトン教授シリーズ」っぽい雰囲気。それを補うかのような豪華な隠し場所。パリの自由の女神とか、ロンドンのバッキンガム宮殿。アメリカのラシュモア山やホワイトハウス、議会図書館とか「どんだけ〜」と云いそうな盛り込みよう。空回り寸前で引っ掛かっているのは、たぶん、登場人物の魅力だろう。とりわけ、ジョン・ボイドは最高。ゲイツ家の男たちは、代々こんなノリだったんだろうな。と感じさせ、ベンとアビゲイルの別居の理由まで透けて見えるようなダメオヤジっぷり。
衒学趣味と茶目っ気のあるハッタリがそこそこ効いて、退屈という感じではなかった。たぶん、続編がまた作られるような気がする。
それにしても、アメリカの建国史については何とも云いようが無いが、「先住民の隠されたユートピア」というエルドラド伝説を再登場させるってのはどうなんだろうね。
自分はハガードの「ソロモン王の洞窟」などがキライなのだが、それはアフリカ現地人に対する蔑視が露骨に出ているからだ。もちろん、当時は気にならなかったのだろうけど、現在にまでその視点を持ち込んで喜ぶ事も無かろう、というのが実感。「インディ・ジョーンズ」シリーズは、そのへんを巧みに回避するよう努めていたように思う。二作目はもろに引っ掛かっていたが。ノリとしては、「ハムナプトラ」シリーズの方が近い感じ。
だいたい、オルメカ文明が栄えた年代、地域ともに全然被ってこないはずだし、エルドラドが登場できれば何でも良かったって事?
あと、敵役がショボ過ぎ。もっとでっかい組織でないとねぇ。今ひとつ、ピリッとこない。
最後に。アメリカ人って、フェラーリさえもATで乗るのね。ダサッ!
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