シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

続々 自滅した日本

さて、私はだいぶ参っていたせいか、裁判の手続きと死刑の是非をごっちゃに扱っておりました。そのぶん、論旨が判りづらかった事は反省しております。連休に入る前に再び回答を。


まず、田中洌さんにお礼を。力強いお言葉ありがとうございます。


ZAPPAさん。

> 冤罪か否かは、少なくともこの場では問題にしていません。

だとしたら『それでも〜』を引き合いに出したのはいただけませんね。文脈上ノイズが多すぎて誤読を招いてる。

私が書籍の方を紹介したのは、周防監督は捜査や裁判のあり方こそ問題視し、インタビューでもその旨を語っていたからです。紹介したものに目も通さず、“文脈上ノイズが多すぎて誤読”というなら、それは私の関与するところではありません。

「〜と取るかどうかは、○○の問題でしょう」←ドラえもんドンジャラにいうオールマイティどら焼き牌では?

私はドンジャラをやりませんので。ただ、散見される「弁護の必要性は認めるが、やり方が稚拙」という言葉は麻雀でいう国士無双十三面待ちでは無いかと思います。

被害者感情の無視、算数書生論もはなはだしい。人それぞれでしょ。

勝手な被害者感情の代弁もどうかと思いますよ。

応報思想がオッケオッケーかどうかではなく、遺族なり被害者がそれを望むかわりの代理処罰なんだから、当事者感情をあなたが推測する権利はありません。

違います。代理処罰は刑の一面にすぎません。だから、逆に“望むがまま”の代理処罰の姿には違和感を覚えるのですよ。

周辺当たってみてください。書けないけど色々あります。やはりレア中のレアケース。


レアケースなどではありません。エントリーで説明したでしょ?死刑制度を廃止した国々ではどう被害者感情に配慮していると思ってるんですか。他の国の方が殺人件数も多いんです。日本は例外的に殺人件数の少ない国なんですよ。

これは、岡村勲さんの事ですね。氏は、奥様が殺されてから、被害者遺族の気持ち、立場が判ったと仰ってますね。被害者遺族の救済を求めるようになったのもそれからですが。

全国犯罪被害者の会

http://www.navs.jp/introduction/introduction.html

で、犯罪被害者の会が述べている、犯罪被害者救済に関する他国の状況で登場するフランス、ドイツ、イギリスは死刑を廃止した国なんですよ。犯罪被害者救済と死刑廃止は両立するんです。
光市母子殺害事件雑感 回答篇)

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20070925/1190712957


むしろ、被害者遺族の顕在化する怒りに便乗するような刑を実施する方が少数なのです。真に必要な遺族救済とは何なのか。その点を考えずに自動的に死刑!というのはおかしい、というのが私の考えです。


Duranさん。

綿井さんは、確実に自滅パターンですが・・・
「筆を折る」という宣言は、真摯に取材を行ってきた人が書く文章ではないと思うのですが。
これについては、綿井さんご自身でアクションを起こされることを期待しています。

うーん、筒井康隆氏も以前「断筆宣言」してますよね。物書きにとって、自分の書いた文章の与える影響というものに真摯に向き合えば、こういう言葉も出てくるのかもしれません。
ただ、私はバカどもの中傷は無視しても、綿井氏にはジャーナリスト活動を再開して欲しいですね。


hummer_and_anvilさん

結果としてこんな主張では情状酌量の余地無しと、徹底的にこき下ろされる高裁の判決が出たわけですから、弁護団の戦術はまったく無意味だったわけですけどね。
今枝さんの解任も含めて、弁護団がまともに機能してたようにはどうしても見えませんね。

最高裁が差し戻し、とは実質的に「死刑判決せよ」の意であることは理解できるでしょう。だとすれば、情状酌量のための反省だって通じたかは判りません。であれば、結果をもって弁護活動を非難するのが正当とは思えませんね。それに、私は被告人の主張は少なくとも彼の中では“事実”だったのだろう、と考えています。
それから、今枝氏に関するなら、彼のブログに弁護団の評価が載ってますけど、hummer_and_anvilさんの評価とは異なるようですね。


コメント欄しばらく再開延期のお知らせ
http://beauty.geocities.yahoo.co.jp/gl/imajin28490/view/20080424/1208964340


安田弁護士を誤解しないために
http://beauty.geocities.yahoo.co.jp/gl/imajin28490/view/20080423/1208959456


さて、ずっと引っ掛かってきた事。それは、あちこちで散見されるように本判決が事実上「永山基準」の見直しに繋がる、ということです。本村さん自身はインタビューでこう述べてます。

朝日記者:

死刑に対するハードルが下がることについてはどう思いますか?

本村さん:

 そもそも死刑に対するハードルという考え方がおかしい。日本の法律は一人でも殺めたら死刑に課すことができます。それ(永山基準)は法律ではない、勝手に司法の作った慣例です。今回の裁判所の判断で最も尊ぶべきことは、過去の判例に捕らわれず、個別の事案をきちっと審査して、それが死刑に値するかどうかということを的確に判断したことです。

 今までの裁判であれば、ご質問にあったように「18歳と30日、死者が二名、無期で決まり」それに併せて判決文を書いていくことは当たり前だったと思います。そこを今回乗り越えた事が、非常に重要でありますし、裁判員制度を前にですねこういった画期的な判決がでることは意義があることだと思いますし、もっと言えば過去の判例に囚われず、それぞれ個別の事案を審査して、その世情にあった判決を出すという風土が日本の司法に生まれることを、僕は切望します。
(富樫とエミネムを応援する日記 より引用)

http://d.hatena.ne.jp/kingworld/20080422


ですが、“個別の事案をきちっと審査して”となれば、基本的にハードルを下げる事になるのは当然の事です。被害者遺族にとっては、“この事件は死刑相当”“こちらは死刑には該当しない”なんて区別に元々納得できるはずもありません。各々の被害者遺族にとっては、被害者は誰も掛け替えのない「特別な誰か」であるのですから。だからこその折り合いが「永山基準」であったわけで、「今回は特別扱い」となれば、皆がその「特別扱い」を望む事になります。世情にあった判決、となれば、今後ハードルが下がり死刑連発となるのは必至ですよ。