トロピック・サンダー　史上最低の作戦

ダグ・スピードマンは有名アクションスター。そろそろイメチェンのために本格的演技やコメディーに進出を図るが今ひとつパッとしない。アカデミー賞５回の“なりきり”名優ラザラスや、下品さだけがウリのポートノイらと、ベトナム戦争の回顧録を原作とした映画「トロピック・サンダー」に出演するが、クセのありすぎる面々に振り回され映画製作は難航、プロデューサーに叱責された新人監督は驚くべき手段にうって出る。俳優達をジャングルに置き去りにしてジャングル内に配置したカメラで真に迫った演出をしようというのだ…。

あちこちで語られているが、ビックリするほど豪華な俳優陣。主役はもちろんだが、カメオ出演はビックリする。特にプロデューサー役の○○・○○ー○なんて、事前に何も知らなかった自分は、エンドクレジットで驚いて声を上げてしまった。客が全然いなかったからいいけど。
もともと映画は「地獄の黙示録」とその舞台裏を描いた「ハート・オブ・ダークネス」のパスティーシュ。役柄に悩む主人公に、なりきりすぎの役者バカ、ヤクにイカれるバカに、グダグダな監督。冒頭の架空のアクション映画やコメディー、どれを取っても“本気の”おフザケ。「プラトーン」や「ランボー」、「プライベート・ライアン」を盛り込みつつ、最後までだれずに進行するのが素晴らしい。ベン・スティラーって豪華なカメオ出演でも判るとおり、人望のある人らしい。真面目とフザケを巧く併せている。なのに、なぜ日本ではあんまり受けないのか。「ナイト・ミュージアム」も大ヒットとは云えなかったし、今作も客は自分を入れて５人ほど。ジャック・ブラックは今ひとつ威力が無かったけど、それでも充分に楽しかったと思うんだが。
異能を持つバカは受けるが、本当のバカを演じてしまったら、受けないよ、とか、映画好きなら膝を打つシーンが至る処に盛り込まれているんだが、逆にそれが良くないのかも。
それにしても、○○・○○ー○も、ダウニー・Jr.もニック・ノルティーも生き生きしていた。
スティラーには期待したいね。