さて、今回は結論を先にいってしまいます。みなさんは、賞をもらうことが名誉だと思ってはいませんか。それは間違いではありませんが、真実は別のところにあります。賞は、あげるほうがもっと名誉なことなのです。賞は、もらう側のためでなく、あげる側のためにあるのです。
(反社会学講座 第21回 賞マスト・ゴー・オン 〜ツッパることは勲章か〜)
http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson21.html
というわけで、村上春樹がエルサレム賞を受けるなら、それは充分に(イスラエル擁護の)政治性を帯びるわけです。であれば、「作品を書く事」とか「作品で語ればいい」などというのはナイーブに過ぎますよね。mojimojiさんの仰るとおりです。
文学賞がそもそも政治的という一般論とは別に、ここまでズブズブに「直接的に政治的」な賞も珍しい。村上春樹が受賞したというのは、そういう賞だ、ということ。……わかりにくいかもしれんから、もう少しハッキリ言っておこう。作家が「直接的に政治的」であるべきと言わないとしても、こんなもの受け取ったら、それ自体、「直接的に政治的」でしかありえないよ、ということ。
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20090128/p1
もちろん、エルサレム賞をありがたく頂きながら、イスラエルのパレスチナ占領政策を痛烈に批判する小説を書いてみせる、という手もあるでしょう。
ありがたく受け取っておきながら、何か起これば叩き返す、というのもアリかもしれません。
ビートルズの爵位授与みたい。
が、それよりは「間近に起きていた/起きている虐殺」に対する「見解」を示すよう求められるのは、その効果も含めて当然な気がします。
ただ、自分は村上春樹嫌いなんですよ。
だから、嬉々として賞を受け取って、イスラエルの(パレスチナ人虐殺への支持が8割もある)人々に心からの感謝を述べて欲しいですね。
そうそう、大塚英志は「「彼女たち」の連合赤軍」の中で、村上春樹の小説に登場する主人公の特徴を「主体のなさ」と「受容的な態度」として評論しています。その輪郭は外部からの働きかけによって「顕わになる」。
今回の受賞は村上春樹の“透明な”輪郭を明らかにするでしょう。楽しみです。
「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)
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