シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

伝説の香港・九龍城に住んでいた日本人 って

国マニア、の吉田一郎さんじゃないの。


伝説の無法地帯、香港・九龍城にただ「物件が安い」という理由で住んでいた日本人 #激レアさんを連れてきた
https://togetter.com/li/1183801


国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)

国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)

アルスラーン戦記 完結おめでとう!

先日、アルスラーン戦記が完結する、という噂が流れまして、“そんな日が来るものかよ。そんな甘い噂に振り回されるとは、まだまだだな。”などと思っておりましたら、本当に、光文社のサイトにてアナウンスされているではありませんか。


田中芳樹 アルスラーン戦記最終巻発売記念ページ
https://www.kobunsha.com/special/arslan/


うーむ、世の中に何かが起こる前兆なのか、それとも何か起こったのか、などとヒドイことを考えたのですが、同サイトに「「#アルスラーン名場面」をつぶやいて、サイン入り全巻セットをゲット!」というような事が載せられておりました。私はツイッターをやりませんので、ここでアルスラーン戦記の思い出について語るといたしましょう。


他の人々の大半は、「銀河英雄伝説」から「アルスラーン戦記」や「創竜伝」へ進んだのではないか、と予想するのですが、私の場合、ちょっと違った邂逅をするのです。

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

そもそも、私がアルスラーン戦記(以下、アルスラと略す)を知ったのは、アルスラが創刊されたばかりのことです。
作者、田中芳樹氏と赤木毅氏の対談*1で、角川文庫の書き下ろしキャンペーンが契機、というコメントがありますが、まさに、そのキャンペーンで発刊された数多くの作品に書店で出会ったのでした。

書物の森でつまずいて… (講談社文庫)

書物の森でつまずいて… (講談社文庫)

当時、本を買う小遣いが乏しかった私は、同じく本好きの友人と、本をシェアしておりました。つまり、互いに「俺はこの本買うから、お前はあれな。」と打ち合わせて、買った後に貸し合うのです。こうやって何人かで買えば、乏しい小遣いでも読む本の世界が拡がるわけです。で、その時、角川文庫新刊が平積みになった一つに「王都炎上」がありました。

王都炎上―アルスラーン戦記〈1〉 (光文社文庫)

王都炎上―アルスラーン戦記〈1〉 (光文社文庫)

しかし、実はアルスラは私の興味を引きませんでした。なぜなら、当時私は田中芳樹のことが好きではなかったからです。徳間ノベルスから出ていた「銀河英雄伝説」は本好きの私の興味を引きはしましたが、そのタイトルと、表紙裏のあらすじから想像される話がどうにも気に食わなかった。


「銀河」で「英雄」、スペースオペラだって?


その頃、私はアンチヒーローもの、を好んで読んでおりました。最近はアンチヒーローという言い方をあまり耳にしませんが、要は“正義の味方”“英雄”ではない主人公、であり*2、代表的なのが、平井和正の「ウルフガイシリーズ」、主人公の犬神明*3というところでしょうか?正義のためではなく、己の誇りと生存を掛けて戦うタフガイ。この犬神明はのちのヒーロー像に大きな影響を与えたらしく、その造形が似た主人公はあちこちの作品で用いられています。

 閑話休題
というわけで、「英雄」という言葉があまり好きではないうえに、「銀河」を舞台にしたスペースオペラ、というのも気に入らなかった。E.E.スミスの「レンズマン」シリーズ*4じゃないんだから。私の中では、スペースオペラ、などというのは子供の読むモノ、というイメージであったのです。

銀河パトロール隊 レンズマン・シリーズ

銀河パトロール隊 レンズマン・シリーズ

その頃好んで読んでいたのが、J.P.ホーガンの「星を継ぐもの」等の、いわゆるハードSFだったから、銀河を二分して戦う銀河帝国自由惑星同盟、なんて設定自体、もうお腹一杯、誰が読むかよ、という感じだったのです。今考えると、食わず嫌い、ということでしょう。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ちょっと長い説明ではありますが、よって「王都炎上」は今一つ私の興味を引かなかった。ただ、表紙のイラストには魅かれました。今、光文社ノベルス版では、丹野忍氏のイラストですが、角川文庫版では、天野喜孝氏だったのです。というわけで、“作者は気に入らないが、表紙は気になる”本としていました。


で、一方で友人は、この「王都炎上」ともう一つ、火浦功氏の「大熱血」に興味を魅かれたようでした。というわけで、友人と私で買う本を決める段にあたり、候補はこの二つとなりました。どちらがどれを買うのか?大熱血の挿画はゆうきまさみ氏、当時「究極超人あーる」で見知っていたこともあり*5、私としては「大熱血」の方がマシだな、と思ったのです。結局、どちらを買うか(所蔵をどちらにするか)について、ジャンケンで決めた結果、私が「王都炎上」となりました。ちょっと、ガッカリしたのですが、それが後の運命を決めようとは知る由も無かったのです。

自分のものとなった「王都炎上」。さっそく読み始めると(読み終わったら、友人に貸す予定になっていますから)、いきなり惹きつけられました。登場人物がどうにも魅力的だった。
主人公のアルスラーンは大国パルスの王太子でありながら、気取った様子の無い少年。父王や母后からやんわりと疎んじられている。なんて描写で主人公に感情移入します。で、トドメが、アルスラーンが隠遁したナルサスを軍師に迎え入れる時の言葉。ナルサスもあっけに取られたのですが、読んでいるこちらもあっけに取られ、そしてアルスラーンの度量に感心したのです。当然、この部分を描き切った作者にも敬意を表し、「これは、銀英伝をバカにしない方が良いかもしれない」などと思ったのでした。
結局、日本でもヨーロッパでもない中世ペルシアをモデルにする、というセンス、王侯らしからぬ振舞いの王太子を主人公にして、王者の責務というものを問う態度、といい、私の好みでありました。読み終わる頃には、一人の田中芳樹ファンとなっていたのです。ただし、「銀英伝」に手を付けるのは、しばらく先のことになります。


読み終わった後、友人と交換した「大熱血」。これも非常に面白かった。しかし、大きな欠点が火浦功氏にはありました。続巻が全然出なかったのです。
現在では信じられないことでしょうが、アルスラの続き、「王子二人」は半年ほどで発刊されました。シリーズものを待ち侘びる身としては、キチンと続き出るかどうかは大きい。
というわけで、泣く泣く「未来放浪ガルディーン」は諦めることとしたのです。アルスラではシリーズものの続きがちゃんと読める、という幸せを噛みしめて。まあ、皆様ご承知ではありましょうが、それはまもなく裏切られることとなるのですが、その頃には今更足抜け出来ないほどに、ずッポリ嵌まっていたのであります。


今に至るまでに、角川文庫から光文社ノベルスへ舞台を移し、コミカライズは二度、一度は映画化され、TVアニメ化もされるという中、望まれるのは完結。当時14歳だったアルスラーンも良い歳のオッサンになっていても不思議ではないわけでして、彼の戦いを見守るのもこれで終わりか、と思うと感慨深いものがあります。

アルスラーン戦記読本 (角川文庫)

アルスラーン戦記読本 (角川文庫)

アルスラーン戦記 DVDコレクション

アルスラーン戦記 DVDコレクション

田中先生、おめでとうございます。そして、ありがとう。


これから、「創竜伝」も、「薬師寺涼子」もどうなるのか、また、ライフワークである中国時代もの、後漢光武帝や明の鄭和三大奇書の翻案などもお待ちしております。では。

創竜伝(1) 超能力四兄弟 (講談社ノベルス)

創竜伝(1) 超能力四兄弟 (講談社ノベルス)

魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社ノベルス)

魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿 (講談社ノベルス)

長江落日賦 (ノン・ポシェット)

長江落日賦 (ノン・ポシェット)

纐纈城綺譚 (ソノラマ文庫NEXT)

纐纈城綺譚 (ソノラマ文庫NEXT)

*1:講談社文庫「書物の森でつまづいて」

*2:とはいってもピカレスクロマンをアンチヒーローとは云わないのかな?

*3:「アダルトウルフガイシリーズ」では神明

*4:レンズマン」シリーズは、これぞ正義の味方、というべきキニスンを主人公にしたスペースオペラ

*5:機動警察パトレイバー」はこのあと

タイトルが中身を表す

興味深いこととなりました。


慰安婦像問題で面会拒否 米側「交渉の余地ない」

米サンフランシスコ市が慰安婦問題を象徴する少女像の設置を受け入れたことに反発し、同市との姉妹都市提携の解消を表明した大阪市の吉村洋文市長は24日、この問題に関しサンフランシスコ市長側から「交渉、議論の余地はない」として、要請していた面会を断られたことを明らかにした。
 吉村氏は同市のリー市長に直接会って、受け入れないよう求める意向だった。23日に面会を拒否するメールが届いたという。
 吉村氏は大阪市内で記者団に「リー市長とサンフランシスコ市議会は(受け入れに)積極的だった」と重ねて非難。今後、幹部会議で提携解消を正式決定し、12月中に同市に通告する意向だ。

https://this.kiji.is/306606204837348449


まあ、サンフランシスコ市側の反応は、こちらの予想を外れるものではなかったわけですが*1、そのあたりの経緯をうまく分析した記事がワシントンポストに載りました。

ワシントン・ポスト紙「日本はなぜ植民地時代の慰安婦像設置とのたたかいに負けるのか?」

「皮肉なことに日本政府が怒れば怒るほど慰安婦像は拡散する。彼らが像に固執すればする程世界の平和活動家を刺激するのだ」

維新のバカ市長、ちゃんと読めよ、これw。

https://twitter.com/SeroriHitomi/status/933688340917784576


Why Japan is losing its battle against statues of colonial-era ‘comfort women’
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2017/09/21/why-japan-is-losing-its-battle-against-statues-of-colonial-era-comfort-women/


凄いのは、その分析を強く裏付けるように、コメント欄にクソウヨが大挙して押しかけていることです。
これ、どうみてもアメリカ側の読者はドン引きすることでしょう。
私としては、「いいぞ。もっとやれ。」というところですが、これほどの認識のギャップには目眩を感じます。
ホント、「反日」と呼ばれても構わない気がしてきますね。これが「日本」というものなら。
では。

*1:歴史修正主義者で人種差別者と“交渉”“議論”してはいけない。それ自体が歴史修正主義と人種差別を助長することになる

有人宇宙飛行はまったくのムダ

この間から騒がれているのが、宇宙飛行士の野口さん、だそうですが、なぜ相変わらず有人宇宙開発をありがたがるのかさっぱり判りません。


宇宙飛行士の野口聡一さん 子どもたちに宇宙語る
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171117/k10011226291000.html


JAXAがやたら力を入れている「きぼう」なんて、わざわざ宇宙まで人が出かけて行って得た科学的成果などゼロ*1なのですから。生活保護などに対してクレームを付けていた皆様ならば、ぜひ、有人宇宙飛行にも見直しを迫るべきだと思うのですが、何故だか有人宇宙開発には甘いんですよね。宇宙にはロマンがあるだかなんちゃらですか?
さて、以前、アメリカの科学者達は有人宇宙開発に厳しい目を向けていることを紹介しました。

わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか―ニセ科学の本性を暴く

わたしたちはなぜ「科学」にだまされるのか―ニセ科学の本性を暴く

ニセ科学批判の本ですが、同時にビッグサイエンスに対する批判も含まれています。)

もともとISS国際宇宙ステーション)は、ロケット研究開発者を流出させずに囲い込むための手段でしかない事が語られています。現在、アメリカがISSについて冷淡なのも当然で、完成してしまえば囲い込みの効果は無いわけですから、新たな囲い込みの手段が必要になります。それが、火星へ宇宙飛行士を送り込むこと。ロシアも目的に関しては似たようなものでしょう。ソユーズなんて完全に割りきった運用してますもんね。
日本ではどういうわけかこういう事情が語られませんから、“日本人宇宙飛行士”などというくだらないものが喧伝されたりするわけです。


では、他国で価値無しと判断されている有人宇宙開発について、どんな目的が謳われているでしょうか。

他の惑星に移り住むための技術開発

良く言われるのが、他の惑星 ほぼ火星一択ですが に移住するための技術を開発するため、です。しかし、火星に人類が移り住む、というのは果たしてどうなのか?
火星に生物がいる場合といない場合で状況は変わります。
まず、火星に生物がいる場合はそれで終了です。火星への移住は不可能かつ行うべきではない。
火星は火星の生物のものですから、惑星環境改造(テラフォーミング)は環境破壊になります。探査機の到達も最低限で隔離環境を維持したまま観察という程度に留めることになるでしょう。

ちなみに、火星にかつて生物がいた、という証拠が見つかるなら、その場合、火星には現在でも生物は存在するでしょう。なぜなら、火星環境は地球の大部分の生物種が生存可能*2です。過去から環境適応の時間を充分に得てきた火星固有種が生き延びる事は充分に考えられます。ただし、現在生き延びているとしても、その様相は人類の想像を絶したものかもしれません。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

環境倫理を無視して火星を惑星改造して無理やり住み着いたとしても、その場合は火星生物による疫病などが起こりえます*3。ですから、火星生物が存在する場合は、火星への移住は不可能です。


火星に生物がいない場合でも、環境倫理的には惑星改造など許されるものではありませんが、それでも無理やり行うことにしましょうか?しかし、遥かに人類に親和的な地球環境でさえ損なおうという人々が、火星の環境をコントロール出来ますか?そんな簡単なもののはずがありません。
二酸化炭素を増やすだの、表面を黒化させるだの、フッ化炭素化合物によって温暖化を促すだの、それ、果たして丁度良いところで止められるの?という代物です。いったん動き出した環境変動は人間の手に負えない、という事が判っていないのかもしれませんね。
それに、もともと火星に移住しないといけない理由が理解できません。
人類が増えすぎるから、環境が破壊されるから、火星に住もう。これは、自分たちの責任を放り出していますよね。人類が増えすぎるなら、定常人口になるような社会設計を行い、環境破壊は食い止める。それこそが取るべき手段であって、火星に移り住むのは無責任極まりない。そんな人々が火星を再び汚染しつくさないとどうして云えますかね。

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

そして、火星探査自体には人間はまったく必要ありません。いまやロボットによる探査は人間自身が行くよりも安く早く確実な代物です。人間が介在する余地は無いのです。さらにセンシングによる情報をVRによって再現すれば、人間だって異星環境を“体感”することが出来ます。安全かつ安価に。それではダメですか?

宇宙においては画期的な技術開発が進められる可能性がある

宇宙技術といえば、NASA! NASAが開発、というキャッチコピーがステロタイプ的に喧伝されるわけですが、別にNASAが直接技術開発をしたりはしないです。それ以上に、宇宙における技術開発自体に価値が無いのです*4
私の手元にある、未来予想に関する本には、宇宙で開発されるものとして、比重の違う材質による合金、とか、高純度・低欠陥の半導体、高精度な電気泳動分析、などがあったりします。
実は、このへんは未だに取り上げられたりする「未来の技術」でして、実に30年以上も「未来の技術」であったりします。つまり、役立たず、ということです。
比重の違う材質同士の合金など粉末焼結法で可能ですし、実際には比重差が合金組成に効くことはありません。また、宇宙だからといって高純度・低欠陥の半導体にはなりえず、むしろ重力による対流は熱均一性に関わるので、無重力下では半導体は不均一になりやすかったりします。高精度な電気泳動も、現在では構造の改良が著しいため、無重力下でないと出来ない電気泳動分析というのはありません。
また、工業的にどんな高価なプロセスを利用したとしても、宇宙との往復に掛かるコストよりは遥かに安いので、宇宙で何か工業生産を行なうことは考えられないのです。これは、後述する宇宙資源にも関わります。
そして、このどれもが例え有意義なものであったとしても、有人環境下で行う必要のないプロセスです。現在進行中のIoT、インダストリー4.0と呼ばれるものは、工業生産における人間の存在をほぼ不要にします。宇宙で工業生産が可能な状況になった場合に、そのプロセスに人間が関与する必要があるかどうかは明らかだと思うのですが。

宇宙には地球で希少な資源がある

よく小惑星や月には白金族のような重金属やHe3、水が含まれているので資源として有望、みたいな話があったりします。しかし、これは資源についてまるで判っていない人か、セールストークとしてやっているかのいずれかです。
というのも、資源であるかは採算ベースに乗るかどうか、という問題だからです。海洋には金やウランなどが含まれていますが、だからといって「海は金(ウラン)がいっぱい」などという人は(詐欺師以外は)いません。取り出すコストを勘案しなければ資源とは呼べないのです。そして地球外天体に存在するどんな希少な元素であろうとも、その到達・採取法を考えれば地球で得る方が遥かに安価なのです。


結局、有人宇宙開発にはその莫大なコストを掛ける意義がありません。もちろん、「人類が宇宙に出ること自体に意義があるのだ」という意見もありましょうが、であれば、散々科学的意義や産業貢献について嘘をつくのを止めるべきでしょう。正直に、「科学的価値も無いし、産業への波及も無いが、それでも人を宇宙に送り出すのにお金を出して貰えますか?」と訊くのがスジだと思います。「凄いニッポン!」に飛びつきたい人々がこぞって出資してくれるでしょうから、安心して正直に認めちゃってください。
では。

*1:成果として謳われているものも、宇宙での実験が必要ないものと、無人で充分なものしかない

*2:地球の生物種のほとんどは微生物であり、種類といい数といい他の追随をゆるさない。紫外線さえ避けられれば、地球の大多数の微生物種は火星程度の環境下に適応出来る事が知られている

*3:このへんは、地球−火星、ともに「外来種」が問題となるでしょう

*4:JAXANASDAの委託開発成果のスピンオフみたいなものに係わった事がありますが、引き合いはあまり無いようでした

トランプとモリカケ問題

先日、トランプ米大統領が来日しました。メディアの扱いが凄かったですね。いかに、安倍首相がトランプ氏をもてなすのか、に話題が集中しておりました。そこで頻りに取り上げられたのが、(二人の)親密さです。


トランプ大統領はなぜ格別に安倍首相を信頼するのか 安倍首相はトランプ政権にとって「模範的」な存在?

ドナルド・トランプ大統領の初の訪日が近づくにつれて、同大統領と安倍晋三首相との密接な関係が改めて日米両国で注視されるようになった。

 両首脳が個人の次元でも政策の次元でも、通常の日米両国首脳の友好や親交の域を越えて異例なほど親密であることは周知の事実である。米国の大手メディアの間で「トランプ大統領と安倍首相は相棒だ」という論評まで出てきたことは、この連載コラムでも紹介した(「米国でも注目、トランプ・安倍の親密すぎる相棒関係」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51099)。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51480


ちょっと驚きますね。海外ニュースでのトランプ氏の扱いは“どうしようもない”存在なのに、日本に来るとなると、そんな評価は吹っ飛んで歓迎一色でした。そのギャップにめまいがします。さらに疑問なのが、これほど、首脳同士の(個人的)“親密さ”をアピールすることに何か意味があるか?ということです。


本来、政治的指導者は私情を挟むことを躊躇します。政治的判断に私事を持ち込まず、社会的公正さから判断するように心掛けるのが一般的です。従って、いかに個人的親密度を増そうとも、(本来であれば)国同士の交渉の場において“友情に免じて”手心を加える、などということは期待できないはずです。
“あの”トランプだから、という意見もありますでしょうが、当人としてもホワイトハウスにて私情にほだされない人事、というのをアピールするくらいですから、“シンゾー”との“友情”により手心を加える(≒弱腰に出る)人物とは見られたくはないでしょう。


政治家同士、それも国家指導者間において求められるのは、信頼度、であって個人的友情などではありません。


でも、日本における反応、それも安倍・トランプ間の友情、とやらに好意的なものが多いことを考えると、日本社会自体が、個人的親密さは利益であり特別扱いを期待できるものだ、と考えているのかもしれませんね。
例えば、水戸黄門*1にせよ、釣りバカ日誌にせよ、島耕作シリーズにせよ、個人的親密さが表向きの公正さを破る道具、いわば「チート」になっていることを“お約束”としているわけですから。

水戸黄門DVD-BOX 第一部

水戸黄門DVD-BOX 第一部

釣りバカ日誌 大漁箱 (DVD-BOXシリーズ全22作品・28枚組)

釣りバカ日誌 大漁箱 (DVD-BOXシリーズ全22作品・28枚組)

トランプ氏におもねる態度は、それによってトランプ(というかアメリカ)に特別扱いされたい、という願望の露呈でしかないわけです。あまりにみっともない態度であり、そんなもの期待する方が間違っているのですが、なぜ、こんな振舞いに出るのか?


安倍首相、イヴァンカ基金へ57億円拠出 おもてなし効果いかに!?

安倍晋三首相(63)は3日、トランプ米大統領(71)の長女イヴァンカ大統領補佐官(36)を異例の厚遇でもてなした。5日にトランプ氏が初来日するのを前に、強固な日米関係の構築を図る上で“ファースト・ドーター”をキーマンと位置づけていることが浮き彫りになった。

 首相はこの日、海外の女性指導者らを東京に招いて女性政策を議論する国際シンポジウム(女性版ダボス会議)の関連行事に出席。イヴァンカ氏が設立に関わった女性起業家を支援する基金へ5000万ドル(約57億円)拠出すると表明した。関連行事には来日中のイヴァンカ氏も出席。首相は「イヴァンカ氏が主導した基金を強く支持する」と持ち上げた。その後、東京・大手町にある日本食材を使った高級フレンチ「星のや東京ダイニング」でイヴァンカ氏を自ら出迎え、夕食をともにした。

https://www.sponichi.co.jp/society/news/2017/11/04/kiji/20171103s00042000618000c.html


それは、安倍自身が、そうやって他者の歓待とおもねりを受け、それによる特別扱いを当然のこと、と捉えているからでしょう。

最近だと森友・加計学園問題、および山口某の強姦疑惑が挙げられます。


加計学園獣医学部、認可の見通し 文科省審議会答申へ:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASKC26GYKKC2UTIL061.html


加計学園獣医学部の来年4月開学 認可される見通しに | NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171102/k10011208861000.html


安倍御用記者・山口敬之レイプ疑惑がまさかの不起訴相当に! 官邸による逮捕もみ消しをうやむやで済ませるのか|LITERA/リテラ
http://lite-ra.com/2017/09/post-3470.html


現職首相(とその家族)に対する個人的歓待や親密さが、許認可や犯罪捜査に対して手心を加える契機となったのでは?と疑われているのですが、トランプ氏に対する態度を考えれば、同じ構図、ただし、もてなしで親密さをアピールするのが籠池氏や加計氏、山口氏から安倍に、安倍をトランプに換えたものといえるでしょうね。


つまり、事実上、トランプ氏に対する態度は、安倍氏の疑惑の傍証になっているのです。


歓待というものは、儀礼的な分を越える必要はありません。専制君主国家の指導者ならともかく、民主的指導者に対して幾ら歓待しても、その指導者は“特別扱い”などしてくれません*2。その指導者が責を負うのは、指導者を選出した有権者に対して、であり、それに不利益を与えるような真似は出来ないのです。


それよりも、社会的信頼を勝ち得る方が、よほど有意義ではないかと思いますが、安倍政権には期待できないですよね。
では。

*1:今度、武田鉄矢氏が御隠居だそうですが

*2:まあ、パラダイス文書等のタックスヘイブン問題を見るなら、必ずしもそうではありませんが、少なくとも「公式な」歓待を基に態度を変える事はありません

「陸王」の開発を応援するよ

半沢直樹下町ロケットに続く池井戸潤原作ドラマの第三弾、「陸王」が始まりましたね。


日曜劇場「陸王
http://www.tbs.co.jp/rikuou_tbs/


TEAM NACSの音尾君が出る、というので見ました*1


音尾琢真
http://www.office-cue.com/profile_media/profile.php?t=6


ドラマは面白いし、泣き所も押さえているのですが、新製品開発の筋道がヘタ過ぎ。ドラマだから良いですが、実際の中小企業や起業しようという人は、あれではしんどい。参考にしない方が良いので、ちょっと「陸王」開発、にアドバイスする事に致します。


まず、支援してくれるところに行きましょう。現在だと、あちこちに起業や製品開発の支援してくれるところがありますが、技術、資金、宣伝広報、販路、を網羅してサポートしてくれるところを考えるなら、まずは都道府県・市町村の機関に行ってみるのが一番です。
例えば、ドラマを例に取れば、行田市にも、埼玉県にも支援部署があります。


行田市/企業支援
http://www.city.gyoda.lg.jp/shigoto/shien/index.html


埼玉県−産業
http://www.pref.saitama.lg.jp/shigoto/sangyo/index.html


この他、中小企業団体中央会(通称、中央会)にも支援メニューがあります。


埼玉県中小企業団体中央会
http://www.saikumi.or.jp/index.html


高度な技術が必要なら、産業技術総合研究所(通称、産総研)も窓口を設けてますし、コーディネータ派遣も行っています。


産総研:連携と技術相談
http://www.aist.go.jp/aist_j/collab/index.html


大学も現在、支援してくれます。このへんは、後述します。
こうした支援機関に相談するに当たって、または話した上で、自分達が開発したいもののビジョンとコンセプトとマーケットを明確化します。まず、どういうものを開発したいのか。そして、それの特徴は何なのか。どういう市場に売り込みたいのか。どの程度の販売規模にしたいのか。こうしたことは、人に説明する際に明確化していかないと伝わりません。支援を求めることは、自分の中でアイディアを具体化する一歩になるのです。
自分達のアイディアを伝えれば、支援担当者は、その実現には何が必要か見つける手伝いをしてくれます。さらに、開発に必要な資金の算段や、製品販売の宣伝広報についても協力してくれます。
ですから、まずはアイディアを持って、支援機関にGo! です。


次に、実際に開発が上手くいったとしましょう。新製品を売るにあたって、宣伝が必要です。その際に、どう売るか?で開発品の強みを“具体的”に見つけて示さなくてはなりません。
ここで大事なのが、“具体的”ということで、つまり、数値的な裏付けなどのアピールが必要だ、ということです。これは、金融機関への融資のお願いの際にも必要です。
ドラマでは、こはぜ屋の社長がコンペで思いの強さをアピールして聴衆を湧かしていましたが、実際にはあれではダメダメです。何の具体的な話も無かったからです。
例えば、ドラマで出てくるマラソン足袋なら、脚への負担が少ない、で済ますのではなく、着地時の踵への負担が○○Nから××Nへ△△%減少した、と述べるようにしましょう。そして、その裏付けを示すことです。
そして、もっと問題だったのが、なぜ、コンペでライバルのプレゼンを聞かなかったのでしょうか?許可を貰えない場合もありますが、その場合でも誰か潜り込んで聞くべきでした。ライバルの強みと弱みを捉え、彼我の状況を把握すること。それが大事です。


技術開発、選定、設計、試作、検証には、(支援機関に紹介してもらったりして)研究機関を利用するのが適当です。ドラマを例にとり、埼玉県内なら、埼玉大学にはオープンイノベーションセンターがありますし、行田市なら群馬大学も近いので、群馬大の企業連携を利用しても良い。この他、埼玉県なら埼玉県産業技術総合センターがあります。首都圏なら産総研でも協力してくれます。


埼玉大学 オープンイノベーションセンター
http://www.saitama-u.ac.jp/coic/


群馬大学 地域・企業のみなさまへ
http://www.gunma-u.ac.jp/general


埼玉県産業技術総合センター
http://www.saitec.pref.saitama.lg.jp/


さきほどの新製品による衝撃の変化なら、富士フイルムのプレスケール*2や圧力センサで衝撃の掛かり具合を測定することが出来ます。

実際に技術開発が進み、製品を製作しようとすれば資金が必要になります。
ドラマでは銀行が融資に冷淡でしたね。地方の中小企業にとっては、銀行よりも信用金庫や信用組合の方が親切で、丁寧に融資案件を進めてくれます。支援機関とも連携している場合が多いです。
埼玉県内には幾つも信用金庫も組合もありますから、銀行が冷淡なら、融資先を複数にするのも手です。


埼玉県の信用金庫一覧 (NAVITIME
https://www.navitime.co.jp/category/0501001007/11/


この他、公的資金や融資制度も活用しましょう。例えば、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」など。このほか、新製品開発などでは金融機関でも条件の良い融資を行なってくれるケースもあります。こうしたものも、支援機関等で紹介してくれます。
割と有名どころでも、補助事業を使っているケースは結構あります。
例えば、山形のスパイバー(蜘蛛の糸合成)やユーグレナミドリムシ)など。


山形県合成クモ糸繊維関連産業集積会議開催状況
http://www.pref.yamagata.jp/ou/shokokanko/110002/kagaku-gijutsu/bio-cluster/spider_silk_cluster_kaigi_jyokyo.html


ユーグレナ経産省補助金を受けミドリムシ生産
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0604A_W3A900C1000000/


ただし、補助金に振り回されないように注意が必要です。補助金を取る事が目的化した企業も結構あります。こういう補助金商売にならないようにしましょう。あくまでも、新規事業のリスクを減らすのが目的ですからね。
宣伝広報でも、支援機関は有利です。大概、支援機関は新聞社やテレビ局等にツテを持っていますから、製品製造して販売に踏み切る際に助けになります。日経とか、日刊工業とか、地方テレビ局とか、時々ニュースに入れてきますよね。アレです。
アレでも結構、バカに出来ない反応があります。知られてナンボの世界です。利用できるものは何でも使いましょう。
ネットの利用でも、こうしたメディア露出は大きく効果がありますよ。


あと、最近ちょこちょこメディアに取り上げられたりしますが、静岡県には「f-Biz」があります。起業やサービス・製品開発等に対して包括的なアドバイスとサポートをしてくれます。
全国で、f-Bizを参考にした○-Bizが立ち上がっておりますので、近くに○-Bizがあれば、相談されてみるのもいいでしょう。本家f-Bizには、県外からも相談者があるそうですから、静岡県外の方もご利用ください。


富士市産業支援センター
http://f-biz.jp/


他に、ネットでものづくり系の起業、新規事業を支援するサービスがあります。

we make
www.wemake.jp/lab


他にも、地域的にちょっと絞られていますけど、


TSUBASA TAMA試作ネットワーク
http://tsubasa7.com/tama/


など。
資金調達でベンチャーキャピタルクラウドファンディングを利用するのは、一般的になってきていますし、上手く中身が固まれば、それもありですね。
こんな感じで、頼れるところは結構あるよ、という話でした。
新しい価値を作り出そう、という皆さん頑張ってください。たとえ失敗したとしても恥ではありません。挑戦しない限り失敗すらできない。失敗は挑戦の証です。でも、成功の確率を上げるなら、もっと他人を頼ってみましょう。上記の支援機関の情報が役立てば幸いです。成功を祈ります。
では。

*1:実は、前回の「下町ロケット」もヤスケンが出るというので見ました。音尾君もヤスケンに続いてブレイクすると良いですが

*2:プレスケールは市販しているが、データの読み取り、解析には技術が必要なので、研究機関と協力した方が良い