シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

日本の原子力政策の終焉

さて、このところ原子力についてのエントリーを書いてきて気付いた事があった。
そこで、「時代遅れの原子力」を一旦、後回しにしてそちらに触れる事にする。


先日の中越沖地震柏崎刈羽原発は全基が停止状態にある。おかげで首都圏では電力事情が逼迫し、さんざん「Switch!」とかいって「オール電化住宅」を宣伝してきた東京電力が「節電しましょう」とか言い出した。いや、実際のところ、オール電化を導入する家は、知人でもご近所でも結構見掛けるのだが、電力供給がヤバくなったらどうするんだろう?パーマカルチャーに限らないが、リスクヘッジのためにエネルギー獲得手段は複数確保、と考えれば、オール電化は最悪の選択と言える。ちょっとワクワク。人が悪いなぁ。オレ。


で、その点について考えてみると、これは事実上、日本の原子力政策の終わりの始まり、であることに気付く。
この夏、電力供給危機を迎え、様々な手法を用いて落ちるのを防ごうとしているわけだが、この状況は今年で終わり、というわけではない。
何せ、柏崎刈羽原発活断層の上にあった事が指摘され、「想定外」の揺れに晒され、現在でもどこがイカれているのか判断尽きかねる状況だ。今後、検査が行われるだろうが、次なる問題は「修理して再稼働させるか」という問題である。

柏崎刈羽原発「閉鎖すべし」 学者らが声明

地震学や材料工学の研究者らで組織する研究者グループが21日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発は「運転再開を前提とせず、閉鎖を視野に事後処理をするべきだ」とする声明を発表した。経済産業省にも声明文を送るとしている。

http://www.asahi.com/national/update/0821/TKY200708210388.html


まあ、ある意味当然とも云える反応で、もともと「想定外」の状況に見舞われた以上、修理・補修したところで、問題が無いというのは無理があるだろう。場所も活断層上なわけだし。


云ってみれば、
「自動車事故が起きて、それが衝突安全基準よりデカイ規模の事故だった。なんとか乗員は無事だったが、車は破損。で、直して乗りますか?同じ事故の可能性あるけど」
という状況だ。大概の人は、廃車を選ぶだろう。


で、新規に建設するにせよ、「また、柏崎刈羽を選ぶの?」という問題も出てくる。
地震活動域にあろうとも大丈夫な原発にします!」と保証すれば、
「んじゃ、東京近郊に造って」と云われるのがオチである。

「揺れない」原子炉開発へ 官民で25年実用化目指す
経済産業省は、免震技術に基づく「揺れない」次世代原子炉の開発に着手する。来年度から8年間で官民折半により600億円の研究開発費を投じ、2025年の実用化を目指す。原発の官民開発は約20年ぶり。国内では2030年ごろには既存原発が相次いで更新期を迎えるため、同省は早期に免震技術導入にめどをつけ、代替炉建設を円滑に進めたい考えだ。

http://www.asahi.com/business/update/0818/TKY200708180261.html


しかも、25年、って何年先だ。
つまり、この数年は原子力に頼って首都圏に電力供給を行う事は出来ないのだ。
従って、即効性があり、費用のなるべく掛からない対応策が必要になる。


で、だ。
もし、この数年に渡り真夏の電力ピークを乗り切れる対応策、が存在し、対応できたなら、
「もう、(柏崎刈羽、またはそれを代替する)原発いらないじゃん。」
という事になるわけだ。
現実として、電力ピークを乗り切れるような対応策は存在する。
それも、原発新設や、原子力研究に向ける費用を振り向けてやれば、対応可能な額だ。
だとしたら、「非常措置」などではなく、それに本格的に振り向けてしまう方がマシと思わないかい?


いきなり原発全廃などしなくてもいい。だが、その方向を打ち出し、目標を定め、実行していく事は充分に可能だ。何かというと出てくる「日本の特殊性」にしがみつく必要など無い。

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