シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

蘇生法

給食のパン詰まらせ6年生男児死亡 千葉・船橋の小学校
http://www.asahi.com/national/update/1021/TKY200810210171.html

千葉県船橋市立峰台小学校(末永啓二校長)で、6年生の男児が給食のパンをのどに詰まらせ死亡していたことが21日わかった。窒息死とみられる。

 同校によると、男児は17日午後0時45分ごろ、給食に出た直径10センチ余りの丸いパンを一口ちぎって食べ、残りを二つに割ってほおばり、のどに詰まらせた。気づいた担任が注意し、男児は友だちに促されてスープを飲み、廊下の手洗い場ではいた。いったん教室に戻り担任らが背中をさすったり、たたいたりしたが苦しいと訴え、再び廊下に出て横になった。男児の意識が薄らぎ、救急車で病院に運ばれたが同日夕に亡くなった。

 末永校長は「軟らかいパンでこんな結果になるとは予想できず、驚いている。友だちとも仲良くする優しい子で残念だ」と話している。

 同校は20日朝臨時の全校集会を開き、児童に事故を伝えたが、泣いている児童もいたという。「児童のショックが大きい」として校内にスクールカウンセラーを待機させている。


なんか、嬉々としてブックマーク、特にYahoo!のニュースの方に、している連中がいるけど、それこそ「子供をダシにするな」。


極めて残念な事件なのだが、特に現場で蘇生法を行えなかったことが残念。
自分はボランティアの関係で、救急救命講習を頻繁に受けている。慌てた状態でも体が自然に対応出来るようにするため、機会さえあれば受けているのだが、教職員で受けていた人間はいなかったんだろうか。
個人的に、救急救命でもっとも使う可能性の高いのが
・心肺蘇生法
・異物を吐かせる
・止血法
・有毒生物の被害の対処
だと思う。

心肺蘇生は最近は心臓マッサージだけでいい、とか、AED普及とかでだいぶ軽減されてきている。
頻繁に起きるのが、異物による窒息。

いったん教室に戻り担任らが背中をさすったり、たたいたりしたが苦しいと訴え、再び廊下に出て横になった。(前出記事)

とあるけど、スープを飲んで水分を吸ってしまったパンはその程度では吐かせることが出来ない。
以下に簡単な説明がある。


異物の吐かせ方
http://www2.wbs.ne.jp/~kajiyama/kyuumei/ibu.htm

2,背部叩打法   通常はこの方法をとる。

傷病者を自分の方に向け側臥位とする。

片手の手掌基部で両肩甲骨の間を力強く4回連続して叩く。女性が叩く場合、思い切り叩いても力が足りない位。手加減無しで行う事。


が、この肩甲骨の間、というのを正確に強く叩くのは極めて難しい。ちょっと叩いても「ゴホッ」と噎せるように叩くにはコツが必要。
乳幼児でなければ、背部叩打法で吐き出させられない時は、直ちに「ハイムリック法」を行った方がいい。

3、ハイムリック法   小児には使用しない

 後ろにまわり片方の手で握りこぶしを作る。

 傷病者のみぞおちに当て、もう一方の手で手関節部を握り、素早く上方に向かって圧迫する様に(脇を引き絞る様に)押し上げる。


イムリック法は、内臓を痛める可能性がある、と云われるし、躊躇う人も多いけど、かなり有効な手段だ。
で、よく誤解されるが、みぞおち上部を突き上げるのがメインではない、横隔膜に衝撃を与えて強制的に肺を縮めるのが目的ではあるが、下にある“脇を引き絞る”も重要。いわば、腹式呼吸と胸式呼吸による呼気を同時に瞬間的に行うのが目的なので、コブシを突き上げるのばかり意識すると、内臓を痛めることになる。
誰かに試しに、肋骨を両側から両手で挟み、絞るようにして持ち上げるのをやってみるといい、「ハウッ!」となる。これを腕全体を使って行い(後ろにも引き絞るのもコツ)、同時に横隔膜を持ち上げるのがハイムリック法。
やり方としては、座らせた状態で後ろに立ち(腰を痛めたくなかったら膝立ち)、後ろから手を廻して、みぞおちのところで手を組む。
その状態で縦に揺さぶるような感じで持ち上げるようにする。脇を締めておかないと、みぞおちのコブシの部分に力が掛かりすぎる。


ティーブンキングの「クリスティーン」では、背中を叩くのは無意味として、ハイムリック法で蘇生させるシーンがある。ファストフードの店員は必ず蘇生法として習うのだ、とあった。餅や蒟蒻ゼリーなどを吊し上げるのもいいけど、蘇生法を身に付けておけば済むケースも結構あるはずである。
みんな、救急救命講習は受けておこうね。


救急救命講習は、近くの消防署、または、赤十字病院で受ける事が出来る。講習を受けると修了証を貰えるよ。

マンガでわかる一次救急・救命処置―医療・介護スタッフ必修

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