シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

自滅する地方 世界遺産篇

この間、三保へ走りに行ってきました*1静岡市の久能海岸ぞいに太平洋岸自転車道が通っているので、それを東走したのですが、三保半島に入るとこんな風景に出くわしました。


なんと、松原を切り裂く形で道路建設が進んでおります。
本当に静岡市はどうかしているんじゃないのでしょうか?だって、ここ、世界遺産三保の松原」から500mくらいしか離れていないんです。もっと自然景観維持に努めても良いでしょうに。しかも、この道路をどこへ通すつもりなのか。答えはここ。




さらに驚くことに(本当は驚いているわけではなく、呆れているのだが)、三保の松原脇を区画整理して住宅地として分譲しているのでありました。そこへ繋がる幹線道路、として先ほどの道路が建設されているわけです。おそらくは、国道150号線に接続させ、「スムーズな自動車の交通」を進める事が目的なのでしょう。頭を抱えてしまうような状況です。

まず、三保の松原(≒羽衣の松)がなぜ富士山と併せて世界遺産へ選ばれたかといえば、(文化遺産としての)富士山と繋がりがある、と認められたからです。つまり、ポイントとしての富士山ではなく、ゾーンとして広がりを持つ存在だ、ということな訳ですが、だとすれば、三保の松原自体も同じことで、松だけを守れば良いわけではなく、ゾーンととして捉えること、三保半島全体の景観維持が必要なはずです。区画整理事業も道路建設も、明らかに景観を損ないます。

次いで、三保半島自体が、震災発生時に津波に襲われる可能性が極めて高い、事業を正当化する側はこんなことを

書いていますが、真に受ける人はほとんどいないでしょう。そもそも、静岡市は人口流出が激しい地域で、すでに人口が70万人を切っています。人口が70万人以上だ、といって政令指定都市になったわけですが、その前提さえ崩れた状態なのです。わざわざ地域内で人口を分散させ、人口密度を下げる意味があるのでしょうか。そして、中心市街地活性化も中山間地活性化も打ち出しながら、その一方で海の近くを分譲する。やっていることが矛盾だらけで意味不明です。三保半島にもかつては造船業など産業があったためにそれなりに人が住んでいたのですが、現在は流出が続いています。写真は松原近くの「売り地」です。おそらく買い手は付かないでしょう。

静岡県静岡市三保の松原に関して、こんな景観保護のための施策を打ち出しました。

<富士山の日>三保松原でマツ苗植樹 静岡
http://www.at-s.com/news/detail/1174170606.html

しかし、松枯れの原因はおそらくは人間活動に起因するものです。道路を造って自動車を入れ、区画整理をして住宅を造る。どうみても松原の維持に最も負の影響を与えることになるでしょう。
三保半島は産業も人口も漸減しています。むしろ、半島を昔の姿、松林や畑地に戻し、三保の松原としての魅力を増す方がメリットも大きいと思うのですけどね。
どうして地方自治体が自滅したいのか判りません。本当に真剣に考えているのでしょうか?
では。

*1:こう書いてますが、だいぶ前のことになります