シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

自滅する地方 静岡編 その3

静岡県では現在第二東名の建設が進められています。総事業費は10兆円以上。付随する事業も含めたら、どれほど巨大なのか。静岡市でもIC建設とアクセス道路の建設が進んでいます。




ここは静岡市の北側、麻機地域です。この地域一帯は湿地帯で、かつては蓮根の産地でもあったのですが、七夕豪雨以降、遊水池整備が進められて同時に宅地開発も行われました。それでも、まだ多くの田園風景が広がっています。


そこを貫くように第二東名のアクセス道路建設が進んでいます。第二東名自体、どう考えてもコストアップを最優先に考えたような道路としか思えないのですが、それはいずれ詳述しましょう。
静岡市がなぜ浜松のように中心市街が失われなかったのか?それは、郊外開発がなかなかに進まなかったからです。道路を造る事も揉めがちでしたし、区域開発も進みませんでした。


面白いことに、その揉めた典型例、静清バイパスですが、揉め具合が少なく先に開通した平和町付近は現在渋滞の中心地です。逆に大揉めした挙げ句、高架化した麻機地域は渋滞の発生源にはなっていません。ともかく、道路交通が比較的不便であったことが、人口の郊外流出を食い止め、公共交通の(もちろん赤字だが)維持に繋がったといえるのです。
しかしながら、その状況も愚直に進められてきた道路整備と郊外開発によって変わりつつあります。

静清バイパスは再三高架化と拡幅が進められ、自動車交通が便利になってきています。

第二東名に繋がる道は拡幅され

すでに造られた幅広の道は典型的なロードサイドと化しています。
それは、さらに離れた地域にまで及んでいます。

写真は県道362号線。通称「藁科街道」。市の中心を貫く主要道です。市内では拡幅が進み、衰退が進んでいますが、周辺は下町と云って良い地域です。これは、藁科街道の安倍川右岸側が狭いために郊外流出が僅かだったためでしょう。しかし、その状況も変化しつつあります。


現在、安西橋を拡げています。この先の街道も拡げつつあります。

今は緩やかなカーブを描いている道を広い片側二車線道路にしようと用地収用を進めているところなのです。

このように。
この先には羽鳥の商店街、極めてささやかなものですが、があります。地域の人々の生活の場として。

しかし、道路拡幅が進めば商店街は消滅するでしょう。この先にはカインズホームがありますし、第二東名を見込んでの開発も進んでいます。道路拡幅が進めばロードサイドショップやビッグボックスリテールも進出するかも知れません。現在では大規模商業店舗進出は再び規制されるようになりましたが、行政当局が問題を正確に捉えていない様子を考えると、楽観は出来ません。


さて、再び静岡駅南地域です。

以前述べた“拡幅され、延伸される”丸子−池田線です。市街地の道も“順調に”拡げています。

拡げている道はこんな状況。そして

そこには「ショッピングセンター」が造られるんですね。

すでに拡げられた道は、こんな姿です。

横にはかつての姿が若干残っています。ここには畑があったんですね。


そして、このように金太郎アメのようなロードサイドへと変貌していくでしょう。本当に、みんなこんな街が好きなんですか?

次回は周縁の郊外開発によって潰されていく中心地について見ていきましょう。