映画「Nanking」に噛み付く人々
アメリカで南京事件を基にしたドキュメンタリー映画が作られる事になる、との報道以来、ネトウヨ共の動きがきびすやかましい。
第37回
南京事件が米国で映画化、基はあの問題本
旧日本軍による南京事件の映画が、今度は本当に米国で作られた――。旧日本軍による南京での殺戮を題材としたハリウッド映画について、「クリント・イーストウッド監督」というその報が虚構であったことはこの連載コラムで以前に書いた。だが今度は同じ南京事件を扱った映画が本当に米国側で作られたというのである。
(国家安全保障を考える 古森義久 SAFETY JAPAN より引用)
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/i/37/
映画プロデューサーはAOLの副会長テッド・レオンシス氏だそうだ。で、こんな尾ヒレもついている。
映画は表現の自由の発露であり、どんな題材でそれが制作されても、そのこと自体が悪いと断ずることは難しい。だが今回の映画はドキュメンタリーとされ、しかもあの悪名高い書『レイプ・オブ・南京』を土台にしたという点が気になるところである。
この話題に沸きやすいネトウヨ共が、テッド氏のブログに押しかけた。困ったものだ。
なにせ、よく散見される「南京の人口は20万なのに、30万も殺せるはずはない」とか、「写真は偽物と証明されている」「中共の仕業だ」とかカジュアルな否定論が*1、バッチリとAOL副会長のブログコメント欄に載ってしまっているのである。
さらに、クソ蠅のごとくたかるネトウヨ共を無視して、レオンシス氏がサンダンス映画祭で招待された事をブログに載せたところ、「(南京事件は)事実じゃなくて、フィクションだと事務局に知らせた」とか、トホホなコメントまで出ている。なんか、あまりにもレイシズムの香り漂いすぎて、かなわない。
他にも、「チベット大虐殺や東トルキスタン大虐殺を撮るチャンスがある」だとか、どこかで聞いたようなコメントが並んでいる。
Nanking Film Accepted at Sundance(Ted's Take)
http://ted.aol.com/index.php?id=532
でもねぇ。「Nanking」の公式サイトには、ラーベや在南京外国人の行動を基にしている、とある。「レイプ・オブ・南京」を基にしている、というのは、ウヨ共の勝手な妄想に過ぎない。
Nanking the film
http://nankingthefilm.com/home.htm
しかも、レオンシス氏は12/6の日記で、日本を訪れて、当時南京にいた日本軍兵士にインタビューした、とある。つまり、映画製作においての事実確認はキチンと行われている。日本における論争や通説についても当然調べているだろう。そういう人物に、カジュアルな否定論をぶつけてしまったら、リヴィジョニストが沸いて出たイメージを与えてしまうだろうに。
また、そのうちにまとめるつもりだが、南京事件否定論の主要部は、ある一人の人物の手によるものなのだ。というか、造り上げたのではなく、ホロコースト否定論のパクリなのである。だから、カジュアルな南京事件否定論は、ブログを見ている英語圏(やヨーロッパ圏)の人々に、日本人(の一部)は「ネオナチと同じ」と取られかねない。
The Making of Nanking the Film
http://ted.aol.com/index.php?id=547
現在のところ、寄せられるコメントは数こそそこそこあるが、少数のトンデモさんが執拗に書いているだけの状況だ。あまり問題にはならないかもしれない。
ただ、サンダンス映画祭で高評価を得たりすると、嫌がらせが増すかも。
追記:写真は、しまなみ街道を走っている時に見つけた標識。来年の干支にご注意。
*1:投稿文は英文