先日、飯田線の小和田(こわだ)駅に行ってきました。小和田駅は静岡・愛知・長野の三県県境に位置する秘境。もともとの集落がダム湖に沈み、数少ない集落と、とりわけ一軒だけの郵便配達を支えるために残った駅です。佐久間から飯田線に乗り、水窪を越えて間もなく。長いトンネルを抜け、渓谷をちょっと進んだところに駅はありました。
こんなところ降りるヤツはほとんどいないだろう、と思っていたのですが、結構な人数が降ります。ざっと7,8人。降りるといつからあるのか、と思うほど趣のある駅舎に入ります。この駅、皇太子御成婚時に散々宣伝していた名残があります。駅の脇にはトイレと桜の木。桜は満開。斜面にへばりつくような駅舎を出て、下へ降りると四阿が。「愛のベンチ」なる妙な物がありまして、ラブラブを演出しているようです。現在の御一家を思い浮かべるとせつない気分になります。その下には幾らかの家跡。そして、製茶工場らしい廃墟。沢を渡って先には神社?と呼べなくもない建物。戻ってみるとオート三輪の残骸が転がっている。先へずっと進めば唯一の家屋がありますが、そんなところまで行く元気はありません。
渓谷には他に人影すらなく、夜になれば星空が独り占め出来るでしょう。
駅舎に戻って列車を待ちますが、2時間近く待たなくてはなりません。昼寝をしてみたり、「思い出ノート」を覗いたり。そう、こっぱずかしい「思い出ノート」があるのですよ。ここには。
歴代のノートを読んでみると、最初は牛山隆信氏の「秘境駅へ行こう!」を読んで、と云う人が多く、次いで御成婚時に取り上げられて来た人が多かったようです。さらに「鉄子の旅」。ノートにでっかく、1ページ分達筆な字を残した跡。図々しいヤツだな、と思ったら、その後ろに関口知宏の名が。どうやらデカデカ残したのは当人だったらしい。なかなかに多才なヤツだな、と感心。
自分も書いてきました。確認したい方は是非、小和田駅へ。
今度はキャンプをしに来るとしましょう。星空独り占めだね。
追記:佐久間駅近くにある和菓子屋の桜餅は実に美味かった。
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