シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

共産主義に似たる資本主義?

連日騒ぎになっているリーマン・ブラザーズの破綻騒ぎ。周囲じゃ株をやっている人間がいないせいか反応が鈍いけど、それだけで済む問題じゃ無いよね。ま、自分が騒いでどうにもなる話では無いことも確かだが。

で、AIGへの公的資金投入なんてのが行われているわけだが、

米連邦準備制度理事会FRB)は16日、経営危機に直面する保険世界最大手の米AIGを救済するため、最大850億ドル(約9兆円)を緊急融資する、と発表した。同社株式を79.9%取得する権利も得て、実質的に公的管理下で再建を進める。(asahi.com より引用)

http://www.asahi.com/special/08017/TKY200809170058.html


ネオリベの方々って、これをどう評価しているのかな?極力市場の“見えざる手”に委ねるのが“市場主義”の骨子とするなら、ダメプレイヤーの敗北と退場もその手の内の“淘汰”って事になるはずだよね?
「でかすぎて潰せない」「市場の混乱を防ぐ」から構わない、とするなら、市場において恣意的な選別がなされるわけで、市場主義の謳い文句、有能なプレイヤーに参入の機会を与える、とか、健全な競争が為される、というのが反故になるような気がする。


ま、こういう形での政府介入を認める、というなら、再分配を増やす、という政策だって、「社会の混乱を防ぐ」役割があるわけだから、ポルポト扱いされるまでも無いと思うのだが、如何か。虫のいいところだけつまみ食いされて正当化されるのも癪だし。


しかし、世界的金融会社というのは凄いモンなんだね。

リーマンの負債総額は6130億ドル(約63兆8千億円)。直近の資産規模は6390億ドル(約66兆5千億円)で、02年の米通信大手ワールドコムを上回る過去最大の倒産になる。
(同上 より引用)

AIGは130以上の国・地域で事業を展開し、資産総額は約1兆ドル(約106兆円)。

http://www.asahi.com/special/08017/TKY200809170058.html


資産にしろ、負債にしろ、ちょっとパンピーの想像の外にある額だ。だって、日本の昨年分の税収より多いでないの。そんな巨額な金を少数の人たち、いわば金融エリートといってもいい、が運用している訳だよね?エンロンの時もそうだったし、その前のITバブル、はたまた日本のバブル崩壊の時もそうだったけど、自由主義だ、なんだと云いつつ、プレイヤーは“神の見えざる手”を模倣出来るほど多くないんじゃないの?
神の見えざる手、と呼べるのは、プレイヤー(市場取引者)が「その振る舞いが統計的取り扱いが可能な数」で、かつ「その自由な意志でもって売り買いをする事で需要-供給の(動的な)均衡点を作り出す」からだよね?ま、この“理想的な”場合でも、物理現象に擬えるなら情報などを介した繋がりは強く相互作用を生じるから、その挙動は非線形的、カオティックな振る舞いが予想される*1けど、それは置いておく。


多額の、それも大概の国家の税収よりも大きな資金を、少数の“金融エリート”が自由に動かすって、

共産主義国家と同じく、(無能な)政府が一国の経済を好きなように動かして効率の良い社会を作り上げられるなんてのは幻想に過ぎないわけだが、

いちごびびえすで評されていたのとあまり変わらないんじゃないかな?

(有能なつもりの)金融人が各国の経済を好きなように動かして効率の良い社会を作り上げられるなんてのは幻想に過ぎないわけだが、

と置き換えても通じるよね?
しかも、ポストバブル期もそうだったけど、今回、リーマン・ブラザーズAIGも、他のデカイ同業者が頂いてしまおうと虎視眈々と狙っているわけだろ?プレイヤーはさらに減ってくるわけで。共産党政権のノーメンクラツーラが特権を持って差配するのとそっくりではないかと思う。


市場主義の極限は、共産主義に似たり、なのかな?


参考記事:リーマンショック
http://www.asahi.com/special/08017/

*1:つまり、暴落のような現象が起きても不思議じゃない、ということ