シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

怪物の予感

前空幕長投稿の懸賞、空自78人も論文 総数の3分の1
http://www.asahi.com/national/update/1106/TKY200811060091.html

航空自衛隊の田母神(たもがみ)俊雄・前幕僚長(60)=3日付で定年退職=が日本の侵略などを正当化する論文を発表して更迭された問題で、防衛省は6日、航空自衛官78人が田母神氏と同じ懸賞論文に投稿していたことを明らかにした。応募総数は235人で、その約3分の1を航空自衛官が占めていたことになる。

 民主党外務防衛部門会議で報告した。防衛省の説明によると、ホテルチェーンなどを展開するアパグループ主催の「真の近現代史観」懸賞論文の募集が始まった5月、航空幕僚監部教育課が応募を全国の隊員に呼びかけた。その結果、最優秀賞に選ばれた田母神氏を除き航空自衛官78人が上司に届け出たうえで投稿。いずれも入賞はしなかった。

 同省の5日現在の調査では、陸海の各自衛隊と内部部局(背広組)からの応募はないという。78人のうち、62人が田母神氏が以前トップを務めた小松基地(石川県小松市)の所属。アパグループ代表の元谷外志雄氏は「小松基地金沢友の会」の会長だった。78人の階級別の内訳は将官級0人、佐官級10人、尉官64人、曹クラス4人。


[5996]統合幕僚学校・高級幹部課程講義案(思考錯誤掲示板)
http://t-t-japan.com/bbs2/c-board.cgi?cmd=ntr;tree=5996;id=sikousakugo#atop


もう、Apemanさんも取り上げられてますが、田母神氏の一件はくだらないパロディで笑い飛ばせるようなものでは無かったようです。
航空幕僚幹部教育課とか、統合幕僚学校というのが実際どの程度関与していたのか内実は判りませんが、このような教育が「真の歴史」として広められていたとすれば笑って済ます事は出来ません。


私がちょっと想像したのは、ナチス伸長期のドイツです。ヒトラーナチスのような反ユダヤ・反共産主義思想は一般的とは云えないものでしたが、その主張に溜飲を下げるものが多かった事も確かでした。そして、その信奉者も各界にそれなりに浸透していました。しかし、一番の問題は、そうした過激な妄言を見逃してしまう、どころか利用しようとした連中がいた事です。
ミュンヘン一揆の後ヒトラーは投獄されますが、彼は右翼に同情的な司法や反共の手駒として利用価値を認める政財界により政界の階段を駆け上がります。その後の“活躍”はご存じの通り。


ヒトラー自身やナチスは、ラブクラフトが書いているように、ムッソリーニファシスト党の劣悪なコピーに過ぎなかったのかもしれません。しかし、その主張が滑稽で醜悪なものであると知り内心はバカにしていたにもかかわらず見逃していた者達によって、コピーはオリジナルをも凌ぐ怪物に成長を遂げます。

自分は保守だ、自分は自民党支持者だ、という人ほど、この問題は深刻に考え、批判を怠るべきでは無いと思いますよ。