シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

脱原子力はチャンスだよ その4(4/5)

このエントリーは


原子力はチャンスだよ その1
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110904/1315116898


原子力はチャンスだよ その2
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110905/1315226340


原子力はチャンスだよ その3
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20110910/1315639169

の続きです。


さらに、もう少し「自然エネルギー」の産業論について述べていきましょう。


現在、日本の産業中核である自動車産業が国外へ移転していますね。ひどいのが日産で、どんどんと傘下企業の移転を後押しして技術・資本流出を進める一方、タイ製の自動車を日本で売りさばく始末。


ゴーン氏 タイでマーチ生産指示、ドライな決断は日本人は無理
http://www.news-postseven.com/archives/20110806_27627.html


その一方で、高額報酬を正当化するのだからふざけた話です。


株主総会ライブ 一覧】日産自動車 関心の的はゴーン社長の報酬とEV
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110629/bsa1106292145004-n1.htm

日産自動車の定時株主総会が29日、神奈川県横浜市パシフィコ横浜で行われた。総会の中でカルロス・ゴーン社長は、2011年3月期の役員報酬が、約9億8200万円だったことを明らかにした。


愛国的な日本人だったら、韓流がどうたらいっていないで、こうした“反日外国人”に抗議する方がいいんじゃないですかね。そして、売国的(文字通り)自動車はスレッジハンマーでぶっ壊すとか、ブルドーザーで潰すとかしないと。


ま、それはともかく、日本の自動車産業は、日本を食いつぶす形で国外へ飛び出ているわけです。これを国内へ留めなくてはいけない、そのために賃金を下げろ、労働条件を下げろ、的な意見が出たりしますが、


トヨタ伊地知専務「日本の技術力を守るために労働規制の緩和を」
http://response.jp/article/2011/08/03/160391.html


個人的には自動車産業にそこまでして残って貰わなくても構わないと思ってます。というのも、産業というのは必要に応じて違うものにシフトしていくものだからです。
私の住む静岡県の西部地域といえば、自動車産業の発祥地の一つです。ホンダ、スズキ、ヤマハ…、なぜ静岡県西部で自動車産業が興ったのか。それは、他の発祥地と合わせてみてみれば判ります。もともと繊維産業が盛んな地域で自動車産業は始まったのです。
戦前の日本の産業の主軸といえば、繊維産業でした。その繊維産業の紡績機や織機には高速度で高精度な往復運動・回転運動の部品が必要です。そのノウハウが自動車製造へ応用されたのです。本田宗一郎らがいかに野心的ビジョンを持っていようとも、そのビジョンを支え、裏付けとなる機械製造技術が無ければ、実物は生産できません。浜松には多くの繊維産業を支える町工場がありました。その町工場の技術を母体として自動車産業は進展したのです。


自動車産業ばかりではありません。繊維素材関連産業も繊維だけでなく化学工業や化粧品などへも活路を求めました。産業は決して一所に留まったりはしません。常に変化し、新たな活路を求める。であれば、成熟してしまった国内市場を持つ自動車産業だって同じ事の筈です。彼らも新たな活路を求めるし、為すべき事は恫喝(○○しないと国外へ逃げる)に付き合う事ではなく、新たなビジョンを提供することです。
繊維産業を支えた技術が自動車産業を巣立ちさせたように、自動車産業を支えた技術は自然エネルギー技術に必需です。私は自動車部品の単価を聞いた時、その値段に驚いたことがあります。一般に外注した時の値段と3桁は開きがある。「数が出るから、何とかやっていける」そう、関係者は云います。その状況がいいとは云いませんが、しかし、明確なビジョンが定まり、数値目標を打ち立てれば、自然エネルギーもコストダウンが進む事は間違いない。現在の関連産業で製造される部品は特注品にも近い扱いだからです。


今まで電力産業に独占されてきた市場。そこが開放されて新規参入が相次げば、与えるインパクトは情報産業どころの騒ぎではありません。大きなチャンスがそこにはあるのです。

本田宗一郎夢を力に―私の履歴書 (日経ビジネス人文庫)

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「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ

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