シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

拝啓 村上春樹様

米大使館移転抗議デモ、パレスチナの流血と悲しみ

【5月15日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)にあるシファ病院(Shifa Hospital)では14日、家族や友人らを必死に捜す人々の姿があった。中には、その対象が遺体となって運ばれてきたことを知りながら確認作業を進める人や、安否に関する情報がなく、病室を見て回った後に遺体安置所へと向かう人々の姿もあった。
 病院では、ストレッチャーに横たわるきょうだいの遺体を前にして、「なぜ私を残して逝ってしまったんだ」と若い男性が叫んでいた。彼の悲痛な叫びは、遺体を移動するよう命令する職員の声でかき消された。「彼を早く冷蔵室に入れろ。次が到着している」

http://www.afpbb.com/articles/-/3174683


今こそ“卵”の側に立つ時です。今、立たないなら、それは“壁”の側に立つことを意味します。


私は、イスラエルの殺戮に断固抗議いたします。


駐日イスラエル大使館
http://embassies.gov.il/tokyo



過去エントリー


村上春樹氏に謝罪、そして不安
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090217/1234873084


賞の名誉は?
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090129/1233239344

原子力の本質

この期に及んでも原子力損切りしない安倍政権ですが、まあ、出鱈目をごり押しして、すっこみが付かなくなるのが恒例ですから、そんなもんなのでしょう。


原発20〜22%を明記 「取り組み強化」 エネ計画改定案
https://www.asahi.com/articles/DA3S13491491.html


さて、取り上げるのは、こんな状況でどうコメントするのかな?と興味を持って覗いてみた日本原子力産業協会のツイッターアカウントです。


日本原子力産業協会
https://twitter.com/jaif_tokyo


こんなアホな内容のツイートをリツイートしてました。

もへもへ@gerogeroR 5月11日 その他
蓮舫氏「安倍内閣はセクハラに耐えろと言っている」 http://a.msn.com/01/ja-jp/AAx5RrE?ocid=st

二度と少子化対策とかいうなよ。
子宝に恵まれますようにとかすらいえなくなるな。

そもそも結婚式の場でいったんであって「結婚できない人もいるとか子供できない人もいる」とかその夫婦とは関係ないやろ。

https://twitter.com/gerogeroR/status/994833757516558336

どうやら、日本原子力産業協会の中の人はこういうツイートに同調する、ということのようです(上記ツイートの何がおかしいか判らないようなら、セクハラについて真面目に学んだ方が良いと思います)。
で、思い出したのが、その昔、震災直後にあったツイートです。

ソーラーなんて女子供のエネルギー。男は黙って原子力
4:04 - 2011年3月25日

https://twitter.com/kazu_fujisawa/status/51237901870182400

ソーラー、というか再生可能エネルギーが世界的に拡大し、投資も爆発的に拡大している現在、


世界の新設発電、3分の2は再エネ IEA、世界の再エネ見通し発表

国際エネルギー機関(IEA)は4日、世界の再生可能エネルギーの見通しを発表した。2016年に世界で増えた発電量の3分の2を、太陽光発電や風力などの再生可能エネルギーが占めた。中国や米国、インドを中心に今後5年間で再エネ発電能力は43%増えるとみられる。世界の関連メーカーが増産などの対応を急ぐなか、日本企業の存在感は薄れている。
 報告書「Renewables2017」を発表した。16年の再エネの新設量は1億6500万キロワット。けん引役は太陽光発電の7400万キロワットで15年比50%増だった。電源別の新設量で、太陽光は石炭火力などを上回り初めて首位となった。
 再生エネは今後も成長する。22年までの増加量は10億キロワット。これは「現在の世界の石炭火力発電の能力の半分に相当する量」(IEAのファティ・ビロル事務局長)。
 背景には、中国やインド、米国における新設量の拡大と、再エネの発電コスト低下がある。
 新設した太陽光発電の半分を中国が占めた。環境対策として政府主導で進めるなど、「再生エネで疑いなく世界を主導している」(IEA)。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21867490U7A001C1X93000/


苦笑するほかない。これほど先の明らかだった優良投資の予測を外す、というマヌケな金融屋(こんなんで本当に金融屋が務まるのか?)のツイートですが、彼の人が性犯罪を唆すような本を出したのは記憶に新しいところです。


大学生を性暴力に走らせ得る「恋愛工学」に危機感を持つべきだ
https://www.excite.co.jp/News/smadan/E1482310187071/


原子力というものに肩入れする人のメンタリティというのは、“女子供”を侮るようなものかもしれません。
安倍政権、というか、自民党原子力に執着するのも納得です。
では。

セクハラ福田の話は周回遅れ

こんばんは。福田”手しばっていい?*1”元財務省事務次官テレビ朝日記者に対するセクハラ事件ですが、相変わらずエクストリーム政権擁護の方々が凄すぎでドン引きです。
ソ連中によると、告発した記者はハニトラ*2なうえに、セクハラを受けていたのになぜ記者は役を降りなかったのかと指弾され、テレ朝は部下のセクハラをもみ消そうとしたクソ、だそうです。それぞれが、「ヤカンの穴」*3のように矛盾する話ですが、とにかく政権擁護が出来ればいいので、こういう話が普通にできるのでしょう。“普通の日本人”スゲー。
そのアクロバットな言葉の中からは、なぜか福田氏の責任を問うものは薄れていきます。
しかし、このアクロバティックな政権擁護の言葉が、むしろテレ朝上層部の最低の言い訳「個人の特定や二次被害の懸念を理由に「難しい」」にある程度の説得力を持たせているのが皮肉です。


もともと、「#MeToo」の運動は、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ告発を受けて、大勢の被害者が二次被害を恐れて口を噤まざるを得なかったのを、“MeToo”私も(被害者)と声を上げることで告発者の行動を支持しよう、というものです。相談を受けたテレ朝が為すべきは、告発した女性記者を隠すことではなく、その勇気ある行動をサポートすることでした。隠そうとしたテレ朝は非難されて当然ですが、もともとの元凶は言うまでもありませんが、福田氏です。
ですから、彼の人の批判無しにテレ朝を非難することはできないはずです。遅まきながらもテレ朝は告発者を支える姿勢を示しました。一方、福田氏は未だに愚にもつかぬ言い訳を行い*4、麻生氏はそれを問題視しないばかりか、被害者軽視発言を行う始末。
「#MeToo」運動が全世界に拡がる中*5財務省財務省官僚元トップの態度がどう取られるか考えないのでしょうか?


さて、告発者をハニトラ扱いするエクストリーム政権擁護の方々ですが、それほどセクハラが嫌なら担当を降りなかったのか、という意見が散見されます。
もう、これは論外ですよね。なぜ、セクハラによって被害を受ける側が辞めなくてはならないのか。これは、女性は夜道を歩くな、の話と同じなのです。8年も前の話にすら追い付いていないのです。


男は夜道で刺されても当然
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091202/1259763746


男は性犯罪を防ぐために外出制限されて当然
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091203/1259844768


男をルドヴィコ療法に掛けるのは当然
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091205/1260004523


「男はケモノ」が「女性の自衛」と結びついていること自体が差別
http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20091203/p1


女性記者を取材に付けたらセクハラを受けるのであれば、女性を記者から外すのではなく、セクハラを行う者を除くこと。それが原則ですよね。女性記者が来たら取材を受けなくなる?そんなクソはそもそも役職に就けるべきではありません。
難しいことではありませんよ。単に、相手に敬意を払え、対等の人として見ろ、職務に忠実にあたれ、というだけのことです。


個人的には、おそらく福田氏の被害者はあちこちにいると思いますので*6、その方々が告発者を孤立させないように「MeToo」と応えてくれることを願います。そして、我々がその方々を支援しましょう。
では。

追記:しかし、この一連の動きを見ますと、日本が慰安婦問題を直視出来ない理由が判りますね。女性に対する人権侵害というものに鈍感すぎるのです。慰安婦問題はMe Too 運動の先駆けとも云えるものなのですけどね。

Black Box

Black Box

*1:財務省トップ」福田淳一事務次官のセクハラ音源公開!(デイリー新潮)より https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04131400/?all=1&page=2

*2:ニートラップの略

*3:貸したヤカンに穴が開いて返ってきた、と指摘すると、「ヤカンを借りていない」「最初からヤカンに穴が開いていた」「ヤカンは無傷で返した」と相互に矛盾する言い訳をする小咄 cf:http://toled.hatenablog.com/entry/20070726/1185459828

*4:すでに録音が自分の声であることは認めていますが、全体でみればセクハラに当たらない、と言い訳しています。もちろん、一部だろうと全体だろうとセクハラに該当します。もしかしたら、セクハラではなく性犯罪という自白なのかもしれませんが

*5:Me_Too_Movement については https://en.wikipedia.org/wiki/Me_Too_movement

*6:セクハラ醜聞が暴いた「不健全な取材」の実態 https://toyokeizai.net/articles/-/217460

佐川前国税庁長官の喚問で見えたこと

先日、佐川宣寿前国税庁長官(以下、佐川氏と略)が国会に証人喚問で召致され、人をくったような発言「刑事訴追のおそれがあるので…」を連発して、日本中をイライラさせたのは記憶に新しいところです。
まあ、エクストリーム政権擁護の方々は、「官邸や政権幹部からの指示はなかった」との そこだけ立て板に水 証言で浮かれている様ですが、この証言がむしろヤバい事態を意味する、ことは考えが至っていない。


佐川氏、改ざん経緯の証言拒否 「刑事訴追のおそれ」
https://www.asahi.com/articles/ASL3W2QMPL3WUTFK001.html


与党「森友」収束急ぐ 「官僚の責任」論を展開
https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00m/010/143000c


もし、佐川氏の証言どおりなら、“理財局職員らは特に理由も無く上層部の決裁まで受けた決裁文書を、局長にすら伺いを立てずに勝手な判断で改ざんし、放置していた”ということになります。
これはつまり、理財局や財務省に関わらず、公文書、というものの信頼性を完全に失墜させたことになります。もう、各省庁の出してくる文書類やデータはまったく信用する事が出来ない。
動機がある、と推察されるなら、そのような動機の生じないものはある程度信頼が置けるかもしれません。しかし、佐川氏は動機については触れずに、改ざんは局内で行われた、と明言したわけです。だとするならば、他の公文書類に関しても同じ事です。
だって、改ざんするのに理由が必要無いのですから。それも、朝日のすっぱ抜きが無ければ放置されていたのです。


別のケースで考えてみましょう。ちょっと前には、日本の鉄鋼・アルミ材メーカーの品質検査データ改ざんが話題となりました。
ここにおいて重要問題とされたのは、誰の指示でという以上に動機と構造が問題でありました。上層部からの過剰な要求が、現場において面従腹背な態度を生み、結果、裏マニュアルとして品質検査の手抜き、データ改ざんを生んだ。担当社員らが勝手にやった、上層部は承知していなかった、というのは通用しません。当然ながら上層部は相応の責任を取る必要がありますし、そうでなければ信頼を取り戻すことは出来ないでしょう。


神戸製鋼 「信頼回復へ不退転」山口次期社長 不正を謝罪
https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/020/087000c


それを部下が勝手にやったことだ。自分は承知していない。などとやればどうなることか。普通は炎上必至でしょう。
それをやらかしたのが安倍政権であり、佐川氏、なのです。


政府機関全般における信頼性を損なうことは見えていないようで、

「佐川氏の勝ち」

などと脳天気なことをいう御仁も現れる始末です。


自民幹部「佐川氏の勝ち、昭恵氏呼ぶ必要ない」
https://www.asahi.com/articles/ASL3W5HPHL3WUTFK01W.html


クソウヨは「いつまでこんなことを続けているのか、もっと重要な問題があるのに」

みたいなことをほざいてますが、この問題が騒がれたのは一年以上前のことです。
地道に問題を掘り下げて明らかにした方々によって、ようやく国会の場に出ても、木で鼻をくくったような答弁をし続けたのが安倍政権および与党の面々です。一年以上たってようやく朝日新聞によって「公文書改ざん」が明らかにされたために、ようやく問題が問えるようになったのです。それだって、最初は「証拠を出せ」とガセ扱いする始末。


ほぼ週刊 まこと通信
https://blogs.yahoo.co.jp/toyonaka_kimura


森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える
https://www.asahi.com/articles/ASL317533L31UTIL060.html


あのスクープが無ければ、役所内での決済後の公文書改ざん、という犯罪行為が日の目を見なかった可能性は高い。
そのことに対する問題意識も反省も無いわけです。
安倍首相はしきりに自らの責任について語りたがりますが、その言葉と裏腹に、どう責任を取るのか、については口を噤んでいます。なんというヘタレか。


首相、文書改ざん陳謝 自民党大会
https://www.asahi.com/articles/DA3S13420551.html


さて、本当に「官邸や政権幹部からの指示はなく、理財局職員らが特に理由も無く勝手にやったこと」なのか。まあ、そんなわけはありませんよね。
職員らには動機がありませんし、そういう話であるなら、政権幹部らが積極的にネグり続ける必要がありません*1。職員らの責任を問うてオシマイの話だったはずです。つまり、去年のうちに済んだのです。それどころか、政権幹部らは朝日新聞のスクープが無ければ、問題の存在さえ認めなかったわけですから、職員らが勝手にやった、というのは無理があります。
「指示は無かった」という筋書きに固執した場合でも、それならば問題を他者から一年以上に渡り何度となく指摘されても認めず、確固たる証拠を突き付けられるまで解決に着手しなかった、という「無能さ」から、政権には総退陣してもらうほかありません。他にこんな「無能」な方々に責任を取って貰う方法あります?


もう一つ政権関与が疑われる理由があります。それは、他にも同じ構造の問題がゴロゴロしているから。
加計学園問題しかり、裁量労働制の時間外労働に関する不適正データ問題、山口某によるレイプ事件もみ消し、NEDO補助金不正利用問題、陸上自衛隊日報隠ぺい・改ざん問題、古いところならNHKディレクターらへの圧力、etc。
直接ではなく、婉曲的に仄めかすように圧力を掛け、自らの関与が見えないように小細工する。こんな厭らしい手口が相次いでいるわけで、その利害関係の中心にあるのが安倍氏や側近の存在なのです。であれば、各文科省やら厚労省やら警察庁やら経産省やら陸上自衛隊やらNHKやらの個別の問題、とされるより、それを繋ぐ筋書きの方が合理性がある。


政権擁護のアクロバティック芸を見るのも“もう飽き”ました。いい加減、問題解決が進むことを願います。
では。

*1:籠池氏が問題、というクソウヨもいますが、であれば、問題が指摘されてから散々放置されたことに理由が付かない

銀河巾幗英雄伝説

田中芳樹と銀英伝 アルスラーン戦記 創竜伝

前回エントリーでさんざん「田中芳樹愛」を語らせて頂きましたが、やはり触れないわけにはいかないでしょう。銀河英雄伝説
銀河英雄伝説」ですが、刊行が1982年、ということもあり、色々とツールやガジェットなどで「古いなあ」と思わずにはいられないことがあります。
とりわけ、住居や社会インフラの発展しなさ加減はスゴイ*1
田中氏はエッセイで「未来の宇宙を舞台に歴史モノを再構築する」ことを目指した旨述べており*2、その面から云って、ガジェット類が古く感じられることは些細な問題でしかないわけですね。
例えば、現在の技術進展から考えて、超光速航行を可能とするような未来社会で人工知能が実用レベルではないことはあり得ません。戦術・戦略用の人工知能はラインハルトもヤンも超えるでしょう。ですが、それでは好敵手同士の戦いは無くなってしまうわけです。ですから、この世界には有効な人工知能は存在しない、そういう舞台を用いたわけです。実際、内容自体は未だに古びたところがありません。


しかし、社会制度や人の意識などは現在のものをキャラクターに活かした方が、もっと面白くなるかもな、と思うところもあります。
例えば、主人公の幾人かの性別を変えるとか。ラインハルトとキルヒアイスは、女性キャラの方がグッと話に膨らみが生まれるのではないでしょうか*3
ラインハル子・フォン・ミューゼル(仮)とジークフリー子・キルヒアイス(仮)ということにして進めますと


姉の宮廷での権勢を背景に士官学校に特例として入り、若輩で美貌の女性ということで二重に侮られつつも実力で軍内部の階級を駆け上がるラインハル子(仮)。そのラインハル子(仮)に憧れて従い、共に覇道を目指そうとするキルヒアイス。皇帝の寵愛を背景に強かに宮廷を牛耳り、権力を手に入れようとするアンネローゼ。さらに、ラインハルトをライバル視しているヒルデガルド。
とか云う方がキャラも立つような気もします*4
さらに、ラインハルトに従う提督たちも、その実力を認めつつ心密かに魅かれる、とか。それってベルばらか。


同盟側は、その国是から云っても、もっと女性登用が進んでいても不思議ではないのですが、ヤンを女性にすると、微妙にキャラが立ちにくいので、男性のままの方が面白いか?かわりに、ローゼンリッターを“女性がメインの白兵戦闘団”にするとか(まさに、ヤン・レディジェネラルズ(楊家将演義)!)、シトレ元帥やビュコック提督、レベロやホアンあたりは女性キャラの方が断然面白いと思う。


いや、自分で二次創作すればいい、という意見もありますでしょうが、私が書いてみると、キャラが勝手に動き出し、イゼルローン要塞攻略後の大遠征をヤンが阻止してしまうのです。
どうやって、大遠征を止めるのか?それは、

*1:とはいえ、刊行当時にこうした技術発展を考慮しているのは素晴らしいです

*2:講談社文庫「書物の森でつまずいて…」中、アイザック・アシモフの「銀河帝国興亡史シリーズ」評にて

*3:当然、「薬師寺涼子シリーズ」が念頭にあります

*4:道原かつみ版「銀河英雄伝説」では、フェザーンルビンスキーがルビンスカヤになっていますね

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天涯無限 書評

先だって「アルスラーン戦記(アルスラと略す)」についての思い出を語りましたが、最終巻「天涯無限」を読みましたので、少し感想を。
いや、結構な「皆殺しの田中」状態。ちょっと趣は「タイタニア」と似た感じですね。「タイタニア」は著者が「途中で行き詰った」と漏らしているので、斬って捨てたかな、と思っていたのですが、アルスラも結構な死屍累々です。マヴァール年代記にも被るかもしれません。個人的には、アルスラのモチーフとなっている「王書」中の最大の英雄のあの人が登場して感動です。


以下、ネタバレ注意

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「裁量労働制」の背景にあるもの

ちょっと、知人よりこんな話があるんだけど、と廻ってきたのですが、内容に戦慄したので紹介しようと思います。
社長さん向けの「労働時間と残業代トラブル予防」と銘打たれたセミナーのチラシです。

タイトルからすでにイヤなものを感じますが、内容を読むとジワジワときます。
1の「労働時間の管理方法で予防する」は、まあいいのですが、2の「未払残業代を予防する」から、少し違和感が湧きます。
“未払残業代の請求を「商売にする人」が増加”そうなんですか?私の知る限り、未払い残業に対してようやく声を上げることが出来る人が出てきた、という話だと思っていたのですが。しかも、大半は未だ泣き寝入り状態で、声を上げる事が出来るようになったのも、人手不足を背景にした相対的立場の上昇によるものが大きいと思ってました。「商売にする人」って根拠あるんですかね?
しかも“未払残業代を請求する労働者のタイプとは?”ですって!!
これ、思いっきり偏見入ってますよね。請求する人を排除する気まんまんです。
“タイムカードなどの証拠書類の流出を防ぐ”これ、タイムカードがあってもサビ残を防げない、という批判を裏付けるような話ですよ。
キチンとした労務管理では無く、証拠隠滅のすすめ、ということです。

もちろん、労務管理で、キチンと労働時間を管理し、未払残業を減らす/防ぐ教えを説く、というセミナーであるのかもしれません。
ですが、下の方にさりげなく「一般社員の方はお断りさせていただいています」
ですからね。
真っ当な労務管理ならば一般社員に聞かれてマズイということは無いでしょう。
そうではないことを示唆しているように思えます。
参加費は一人10,000円。
こうしたセミナーに需要がある、と主催者が考えること自体が、日本の企業経営者のメンタリティが真っ当な労働環境改善ではなく、いかに労働権利を封じ込めるか、に置かれていることの傍証となっています。
裁量労働制についての意義を説く方々がいらっしゃいますが、為すべきは裁量労働制の是非ではなく、企業経営者に労働者権利と労働環境を守ることの意義を訴えることではないかと思います。それが達成されて初めて、裁量労働制というものの是非に踏み込めるのではないでしょうか。
では。