シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

「裁量労働制」の背景にあるもの

ちょっと、知人よりこんな話があるんだけど、と廻ってきたのですが、内容に戦慄したので紹介しようと思います。
社長さん向けの「労働時間と残業代トラブル予防」と銘打たれたセミナーのチラシです。

タイトルからすでにイヤなものを感じますが、内容を読むとジワジワときます。
1の「労働時間の管理方法で予防する」は、まあいいのですが、2の「未払残業代を予防する」から、少し違和感が湧きます。
“未払残業代の請求を「商売にする人」が増加”そうなんですか?私の知る限り、未払い残業に対してようやく声を上げることが出来る人が出てきた、という話だと思っていたのですが。しかも、大半は未だ泣き寝入り状態で、声を上げる事が出来るようになったのも、人手不足を背景にした相対的立場の上昇によるものが大きいと思ってました。「商売にする人」って根拠あるんですかね?
しかも“未払残業代を請求する労働者のタイプとは?”ですって!!
これ、思いっきり偏見入ってますよね。請求する人を排除する気まんまんです。
“タイムカードなどの証拠書類の流出を防ぐ”これ、タイムカードがあってもサビ残を防げない、という批判を裏付けるような話ですよ。
キチンとした労務管理では無く、証拠隠滅のすすめ、ということです。

もちろん、労務管理で、キチンと労働時間を管理し、未払残業を減らす/防ぐ教えを説く、というセミナーであるのかもしれません。
ですが、下の方にさりげなく「一般社員の方はお断りさせていただいています」
ですからね。
真っ当な労務管理ならば一般社員に聞かれてマズイということは無いでしょう。
そうではないことを示唆しているように思えます。
参加費は一人10,000円。
こうしたセミナーに需要がある、と主催者が考えること自体が、日本の企業経営者のメンタリティが真っ当な労働環境改善ではなく、いかに労働権利を封じ込めるか、に置かれていることの傍証となっています。
裁量労働制についての意義を説く方々がいらっしゃいますが、為すべきは裁量労働制の是非ではなく、企業経営者に労働者権利と労働環境を守ることの意義を訴えることではないかと思います。それが達成されて初めて、裁量労働制というものの是非に踏み込めるのではないでしょうか。
では。