シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

ゾンビランド

原発を止めるリスク」北海道大停電が教えてくれた再稼動の意義
https://ironna.jp/article/10685


まあ、この御時勢に原発擁護するような人材は払底しているだろうけど、いくら何でも人を選べよ。
このダボラ書いている「奈良林直」って、「ウラニーランド」だぜ?


奈良林直・北大(元東芝)作成のPDFがアブなすぎる! 「炉心デレラ城」&「ウラニーランド」:ざまあみやがれい!
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65797829.html


いい加減、この北海道の震災にかこつけて原発擁護を持ち出そうとするのは、無意味だと気付けばいいのに。

原子力ゾンビ狩り

たとえ原発が動いていても今回の道内全域停電が避けられない理由
https://anond.hatelabo.jp/20180906150754


増田なのに(偏見入ってますかね)なかなか良いエントリーだったのですが、原子力ゾンビ連中がウヨウヨ湧いていたので、ゾンビ狩り。

泊原発の発電能力があれば、停電は避けられた!

安田 陽
北海道のブラックアウト、原発があれば/再エネがもっとあればというSNSの意見は多いですがこれは時間かけて厳密にシミュレーション(数値解析)しないと解りません。災害直後の段階で個人的願望も交えて語るのはデマや流言に近い行為です。被災された方々にとって害悪でしかないので厳にお慎み下さい。
3:14 - 2018年9月6日

https://twitter.com/YohYasuda/status/1037645279921549312


まずは、これに尽きるのだが、なぜか

zaikabou http://denkiyoho.hepco.co.jp/area_forecast.html 地震発生時の使用電力が280万kWなので、泊がフル稼働していたら苫東厚真の発電量は少なくて、吸収出来ていた可能性もあるのかな、と素人考えで思った。わからないですけどね

http://b.hatena.ne.jp/zaikabou/20180906#bookmark-370559619


素人なら黙っとけ、クソが。

t-murachi タラレバ言ってても仕方ないんだけど、今回のケースに限って言えばその207万KWがあれば火力の稼働率が落とせた分全系崩壊が防げた可能性は高まってた。もちろんそれは、たまたま震源が泊付近では無かったからだけど。

http://b.hatena.ne.jp/t-murachi/20180907#bookmark-370559619

tetsuya_m 外部電源喪失がブラックアウトの所為なら泊稼働による余裕で避けられた可能性は高い、そして仮に避けられなかったとしても泊の200万kWがあれば復旧はずっと楽だったはず

http://b.hatena.ne.jp/tetsuya_m/20180907#bookmark-370559619

blueboy 地震の時刻は未明だったので、電力需要は昼間より大幅減の 280万kWだ。その分は火力発電所が止まっている。苫東厚真発電所の発電量は半分の 40万kWで済む。40万kWの喪失なら、全面停止は無しで済むかも。 http://j.mp/2Q8vpzF
2018/09/06

http://b.hatena.ne.jp/blueboy/20180906#bookmark-370559619

fukken さんすうができないのかな?泊が稼働していれば苫東の稼働率は大幅に下げられた。ピーク需要が280万kwで、2発電所で全部賄う単純計算で200万kwの泊があれば苫東は80万kw(50%出力)で済む。喪失時のダメージも当然低くなる
2018/09/06

http://b.hatena.ne.jp/fukken/20180906#bookmark-370559619


一応、言っとくと、原子力発電所では3基丸々フル稼働させることはまず無い。原発では定期点検があるため、その際原子炉を停止しなければならない。なので、その期間が被らないように調整する。まさか、原子力発電がどう行われているのかも考えず、最大出力を見て「こんだけあれば、何とかなった!(はずだ)」みたいなインパール作戦みたいな発想じゃなかろうな?
逆に、「苫東は80万kw(50%出力)で済む」なんて真似はしない。なぜなら、石炭火力の方が原子力より安価だから。(ほぼ無意味ではあるが、泊原発が稼働していた場合でも)石炭火力は出力調整が可能だから、原発よりも石炭火力の方を優先して使っていただろう。

電力供給は負荷変動に追従出来ないと無意味

前にもこのへん、ベースロード(現在、ベース電源と誤魔化しているが)批判で取り上げたところなのだが、どうも判っていない連中がいるようだ。

poko_pen 苫東厚真発電所が一気に三基停止するのは想定外だった。つまり、他で代替できる発電所が稼働していれば今回のブラックアウトは防げたという話

http://b.hatena.ne.jp/poko_pen/20180907#bookmark-370559619

hihi01 はい?外部電源喪失自体が全体の発電量が足りないブラックアウトから来てるわけだろ?前提条件と仮定が入り混じってる。

http://b.hatena.ne.jp/hihi01/20180907#bookmark-370559619

rebariy なぜかズラしてるけど、原発動いていれば負荷分散を行えるため、一気に供給バランスを崩すこともなくブラックアウトしなかった可能性はあるんだが。供給量ではなく分散できているかが重要では?

http://b.hatena.ne.jp/rebariy/20180906#bookmark-370559619

the_sun_also_rises 泊が稼働していればその発電量の分余剰が生じ火発を待機させられたと考えられる。苫東厚真が止まったらその火発を稼働させバランスを維持できた可能性がある。結局たらればで停電したかしないかの断言は無理。

http://b.hatena.ne.jp/the_sun_also_rises/20180906#bookmark-370559619


まあ、このブコメが適当なのだが、

PSV #フェランチ効果 http://bit.ly/2wJc1jM 対策とかあるので #保護装置 起動の連鎖は長距離 #交流送電 の宿命よね。#北海道 はでっかいどー!家庭用電源は #直流送電 で #スマートグリッド 化が良さげ。

http://b.hatena.ne.jp/PSV/20180907#bookmark-370559619

oka_mailer 仮に原発稼働してても電力需給は一致させる必要がある。供給側だけ余裕をもたせたりはできない。火力は需要に合わせて供給を調整する能力は(原発より)あるが、今回みたいな急激な変動には対処できない。結果は同じ。

http://b.hatena.ne.jp/oka_mailer/20180907#bookmark-370559619


泊原発が稼働してれば回避できた」とは言えない北海道電力の大規模停電の複雑さ『30人31脚』の喩えが秀逸
https://togetter.com/li/1264338


こういう例えもあったりするのだが、交流電流における周波数、の意味が分かりにくいと思うので、次のような例えで説明してみる。


今では物好き以外は乗らなくなったMT(マニュアル・トランスミッション)の自動車だが、初心者が変速時にやりがちなことに「車速が低いうちに、シフトを上げてしまう」というミスがある。
(内燃)エンジンは低回転ではトルクが低いために、低回転時は減速比の大きいギア(ロー)にしてトルクを回転数で補うのだが、低回転中に減速比の小さい(セカンドやサード)ギアに繋ぐとエンジンがノッキング(異常燃焼)を起こしてしまう。具体的には「カ、カ、カ、カッ」と音を立て始めるわけだ。
この状態が「オーバーロード(過負荷)」。
で、焦っていきなりクラッチを切ると、(アクセルを踏み込んだ状態なので)エンジンが噴け上がってしまう。
これが、「オーバーレブ(過回転)」。


つまり、こういう状態が発電所で起きた、ということ。
過負荷の場合、クラッチを切る(解列する)際には、過回転になって噴け上がる(タービン回転が急上昇する)ので、壊れないようにアクセルを戻さなくてはならない(原発ではこうしたことは不可能だ)。
今回起きたことはそういうこと。だから、予備電源があるかどうかはあまり関係が無かったと思われる。急速に供給と需要のバランスが狂えば、過負荷と過回転を避けるために、電源を系統から切り離し、停止させなくてはならない。
結局、こうしたアクシデントでは、負荷変動にいかに早く追従できるかどうか、または系統をそれに対応させるか(例えば、グリッド化するとか)が重要であって、電源容量の問題では無いのだ。

再エネの話

dot 再生エネルギーって地震とか天災に弱そうだけどそんなのに頼って大丈夫か。

http://b.hatena.ne.jp/dot/20180907#bookmark-370559619


地震とか天災とかに弱い、というデータは無いので、頼って大丈夫です。再エネは世界各国で進んでいるので、日本だけダメ、というのは無理があるでしょう。

megascus 仮に原発が動いていたとしても停電にはなっただろうという仮説はわかったけど、なんでその先がちょうど台風で全滅している太陽光発電なのかよくわからん・・・・・

http://b.hatena.ne.jp/megascus/20180906#bookmark-370559619


すいません。PVが台風で全滅、というのは、どこの話ですか?id:megascus氏、ちょっと聞いたことがないので資料を出して貰えますか?もしかして、デマを飛ばしたのですか?

metamix 道民のTL読んでて停電で活躍してるのは内燃機関だの電池だの薪だので、再エネなんて言葉は微塵も出てこないがな。まさに今困ってるのに未来の技術に希望を託してどうすんだよ、今何を使えばいいかの話をしろ

http://b.hatena.ne.jp/metamix/20180907#bookmark-370559619


系統に接続していれば、再エネだろうと何だろうと稼働は不可能になります(上記の説明通り)。ただ、我が家はPVパネルを付けていますが、自律モードがあります。おかげで(日中時に限りますが)停電時でも電気が使えます。冷蔵庫やテレビくらいなら同時に動かせますね。で、今何を使えばいいか、というなら、泊原発などまったく関係が無いのですが、貴方は何に噛みついているのですか?

tetora2 何度でも言うが、再エネ推進派の皆さんは地方都市の1つでもいいから再エネだけで1年賄ってくれんかね?停電はマジで人が死ぬので不確実な願望を織り込む政策なんて論外ですよ。

http://b.hatena.ne.jp/tetora2/20180907#bookmark-370559619


過渡期の再エネには噛みついて、出来てから50年以上になる原子力には「1年賄ってくれんかね?」って言わないんすかね。
ポルトガルでは可能なことは実証されました。id:tetora2氏はぜひ先陣を切って再エネ推進に力を入れてください。


再エネ100%を記録したポルトガルADRで需給調整に挑む (1/2)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1611/24/news037.html

yingze 風力と太陽光はベース電源にならんので、災害時は無力。というか今日現在止まってる。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180907/k10011614471000.html 赤井川の地熱発電は話が進んでるのかなぁ?

http://b.hatena.ne.jp/yingze/20180907#bookmark-370559619


いい加減、ベース電源、とかいう誤魔化しに引っかかるのは止めとけ。みっともないぞ。必要なのは、出力を調整できない電源ではなく、出力調整が可能な電源なので。お前が期待する電源のどれもが出力調整が難しいものばかりなのだが、何も知らないなら、黙っとけばいいんじゃないか?まあ、恥を晒したいなら好きにすればいいが。

バカ

yamatedolphin 極めてシンプルな仮定の議論で、そこまで意地になって原発を否定しなくてもいいと思うんだが、更に、そもそも原発の方に震源があったらもっとひどかった、とか無意味な蒸し返しをするアレな人まで出てくるんだよなあ

http://b.hatena.ne.jp/yamatedolphin/20180907#bookmark-370559619


仮定の話なら、「そもそも原発の方に震源があったらもっとひどかった」というのも充分に仮定から引き出せるので。いやなら、仮定の話など噛みこまなきゃ良いんじゃないですかね。

gmrapu 地震でぶっ壊れて危険という論調ならまだしもエネルギー源としてはあってよかったろ

http://b.hatena.ne.jp/gmrapu/20180907#bookmark-370559619


なぜ、3.11のことを無視できるのか判らん。本当に判らん。クソなのか?頭の中がクソで詰まっているのか?


では。


死霊狩り【ゾンビー・ハンター】〔全〕 (ハヤカワ文庫JA)

死霊狩り【ゾンビー・ハンター】〔全〕 (ハヤカワ文庫JA)

ずっと無職で引きこもり、なんて「安楽死」させれば?

ずっと無職の40代の息子 日曜日に怒鳴り声、震える母:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL8R4S75L8RUCFI00B.html


だって、「生産性が無い」し、「趣味でやってる」んでしょ?
こんな連中に使う「リソースは」どこから持ってくるの。他に「本当に困っている人たち」がいるわけでしょ。
「自己責任」だし、「その気になれば、どこでも働くところはある」でしょ。
でもまあ、無理に働かせていきなり辞められても「代わりに働く人たちが迷惑する」から「あらかじめ排除」されても仕方ないけどね。

続きを読む

原子力ゾンビ(死霊)の盆踊り

暑い日が続きますね。外と内との温度差が激しくて、すでに夏バテ状態です。
さて、頭が煮えてしまったのか、どうしょうもない記事が出ました。


ドイツの再エネ推進、担当大臣がまさかの「敗北宣言」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56733


「また、マーンか。」物件でしか無いのですが、相変わらず、再エネが世界的に拡大し、企業もSDGsを気にして再エネ導入に踏み切ってきている、原子力は青息吐息、というような記事には(故意にか)目を向けないが、「再エネの不都合な真実!」みたいな与太記事には飛びつく原子力ゾンビの皆さまが蠢いております。


参考 拙エントリー:原子力ゾンビ国家ニッポン
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20171227/1514380845


まあ、すでにumwerlin氏らが指摘されているので、その辺はどうでもいいのですが、

ここまで来ると呆れてものも言えない。怒りを通り越して感心すら覚える。本当に原典にあたって事実を確認する気が全然ないんだなぁと。
https://twitter.com/umwerlin/status/1023573904072343552


自称、科学的で、冷静で、客観的な判断が出来る方々(つまり原子力ゾンビ)が、以下の部分をどう考えているのか興味が湧きました。

4月27日付のこの欄で、ドイツで今年2月の末、時計が一斉に遅れた話を書いた。テレビや電子レンジなどに付いているデジタル時計だ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55478
それまで知らなかったのだが、電気器具に内蔵されている時計は、電気の周波数を利用して時を刻んでいるという。ところが、正確であるはずの周波数が落ちたため、これらの時計が軒並み、数日で6分も遅れた。それもヨーロッパ大陸のほぼ全域で。


デジタル機器の内部時計は水晶発振器を使っていますから、送電の周波数による影響は受けません。デジタル機器に付いている水晶振動器は内部電源(つまり電池=直流電源)だけで動かし続けなければなりませんから。


「水晶発振器」活用の手引き(1):
水晶振動子と発振回路の基本 (1/3)
http://ednjapan.com/edn/articles/1103/01/news118.html


昔は東日本(50Hz)と西日本(60Hz)で家電製品の動きに違いが出る、ということがありましたが*1、現在はそんな話は聞きません。大概、直流化するかインバータを利用するので、多少の周波ずれでは影響を受けないのです。
古い家電類や電気時計!なら影響を受けますが、“テレビや電子レンジなどについているデジタル時計”に関してはありません。
ブックマークを見ると、やはり突っ込んでいる方々も見受けられますが、普段、科学的で、冷静で、客観的な判断が出来ることを自負している原子力ゾンビは、こんな与太な記事にも救いを求めているようです。
マーンなど取り上げても意味が無いので、いい加減、裸踊りは止めてはいかがでしょうか。
では。

死霊の盆踊り デラックス版 [DVD]

死霊の盆踊り デラックス版 [DVD]

*1:富士川の東西で違うため、静岡県では東部と中西部でも家電に注意する必要があった。もちろん、現在はまったく関係がない

本当にあったもう少しコワい話

先週、仕事の愚痴を書いたら、エライ反響があったので驚いております。
少し、付け加える必要がありそうなので、新たにエントリーを立てました。


本当にあったコワい話
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20180720/1532093202

研究開発に関するスタンスは人による

先日取り上げたエピソードですが、その企業とは以前にも仕事を一緒にしております。その際は、企業側数人、そして潤沢な資金は無かったものの、設備の利用を融通してくれましたし、実験と検証作業でも共同で行うことが出来ました。ですので、ニッチな業界ではありましたが、業界最強の技術と評価を受けることが出来たわけです。
現在、その企業は当時より売り上げも利益も大幅に増えているはずですが、研究開発に対するスタンスは書いた通りです。実は、担当者が替わったのです。前任者は、共同研究の必要性とビジョンを持っておりましたから、経営陣に掛けあって、予算と設備の使用、開発人員の確保に努めてくれました。それが、社にとって必要だ、と認識していたからです。
その方が退社されて、後任に替わってから、ちょっと縁遠くなっていたのですが、しばらくぶりに出た話がアレ、だったわけです。つまり、人次第なのですね。
ちなみに、前任者の方は退職後、自分で事業を立ち上げ、私と一緒に仕事をしております。

トヨタの話

コメントを見て誤解されている方が多かったのですが、トヨタ本体は研究開発に多額の投資を行なっております。ただ、彼らには問題点が多々あります。仕事の愚痴だったので、思いっきり省きましたが、誤解を解くため、ちょっと説明いたします。

トヨタは研究開発に多額の投資をしていますが、彼らはその成果の導入に対して極めて慎重です。「石橋を叩いて渡らない」というか、「石橋をゾウを渡らせてから渡る」という感じです。トヨタに対して自社技術をアピールしたい企業は、かなり厳しい品質保証を突き付けられます。それら全部下請持ちなのです。
昨今でも、トヨタは下請けに対して価格引き下げを要求しています。人手不足による賃上げ、円安による原材料価格高騰があっても値下げを要求される。結果、トヨタ方式の「カイゼン」は下請企業の余力を奪います。研究開発に人を割けませんし、充てる予算も無い、設備も空かない、という状況はこうして生まれます。
もちろん、アイシンやデンソー豊田織機といったメガサプライヤはトヨタに対しても価格交渉力があります。値下げ要求を呑まなくても、容易に他に乗り換えることは出来ないからです。こうした企業は高い技術力を持つ事が出来ます。
ですが、「値下げを呑まなければ、他に発注先を変更するよ」と恫喝される中小企業には、こうした高い技術を生む余力が無いのです。
日本メーカーの技術は決して低くはありません。日本メーカー製部品が多く利用されているアップルのiPhoneが価格で勝負していないことから判ります。問題は適正な価格で売ることが出来ないこと、つまり付加価値を生む戦略が無い事です。

イニシャルコストとランニングコストについて

イニシャルコストとランニングコストの関係については、実は「品質管理」が大きく関わっています。品質管理の話に関しては、そのうちにエントリーを立てようと思いますが(仮題「“匠の技”が日本の産業を潰す」)、日本企業の品質管理が大きな問題なのです。これは、現在の品質偽装の問題とも関係します。
掻い摘んで説明すると、品質管理は、製造工程の工程全体において戦略的に管理すべきものであり、特に川上側での対応が重要なのですが、日本のメーカーでは、川下側にそのツケを負わすことが多い。このため、ある一定の品質基準を越えると、品質管理に莫大な手間が掛かり、それがランニングコストを膨れ上がらせるのです。
キチンと、こうした製造工程を組んで最適化を図ろう、というビジョンが無い。このため、いくらイニシャルコストを掛ければ、これだけランニングコストを削減できて、品質も維持出来る、というような計算が出来ないのです。せいぜい、それぞれの工程で部分的最適化を図り、ここでは幾ら浮いた、あちらではいくら浮くはず、という「カイゼン」になってしまうのです*1
これが、新しいもの、新しい技術が生み出された場合、それを上手く活かすことが出来ない状況を生んでいます。


企業に大量の内部留保があり、金融緩和で大量の資金が金融機関に溢れ、人手不足で生産性向上がまったなし、なら、イニシャルコストを充分に掛けて、生産性が高い設備・工程を導入していくべきだと思うのですけどね。
まあ、海外への工場移転を目論んでいる企業にとって、国内工場への投資はムダなんでしょうね。
では。

*1:トヨタ式の「カイゼン」を取り上げていますが、実際にはトヨタでも工程全体の最適化、というのがカイゼンのキモです。ですが、中小企業は余力が無いため、工程全体を組み直したり見直すのは難しく、部分的にみみっちい「カイゼン」になっています

本当にあったコワい話

旧知の企業から研究開発に関する相談がありました。


「お久しぶり、シートンさん」
「どうも、ご無沙汰しております。今日はどうしたんですか?」
「いや、ちょっと相談があって」
「へー、どういった御用です?」
「前に、シートンさん達に開発してもらった技術があるじゃない。」
「はいはい。その後、あれはどうなりました?」
「おかげさんで、業界トップの性能って評価してもらって売ってたんだよね」
「あ、それはどうも。ありがとうございます」
「…だったんだけど…」
「だけど?」
「他社が新製品を出してきて、それがウチのシェアを喰い始めているんだよね」
「ありゃ、それはどこです?」
「EB社さん」
「…そりゃ、業界最大手じゃないですか」
「そう。で、シートンさんに新技術を開発して貰えれば、と思って」
「あー、なるほど。ちょっと考えている技術があるんで、太刀打ち行くかは判らないですが、実用化出来るよう開発してみます?」
「じゃあ、お願いします」
「で、予算はどれくらい出せますか?」
「予算?」
「ええ、共同研究となればそちらにも相応に出してもらわなくてはならないですから。まあ、なるべく負担が小さくなるようにしますよ」
「予算は…、ありません」
「は?」
「予算は無いんです。当社の今季の予算計画に入っていないんで」
「えー、じゃあ、来年度に盛り込んで貰うなら、当初はこちらで予備実験を進めましょうか?」
「あー、それは良いですね。是非、進めて貰えば助かります」
「じゃあ、来年度、共同研究を行なうことでいいですか?」
「でも、来年度も予算は無いですけど」
「えっ!それじゃあ困りますよ。本チャンに当てるお金が無いんじゃ、こちらも計画立てられないですし。来年度の研究開発予算ちゃんと付けてくださいよ」
シートンさんだけで何とかなりませんか?」
「ならないですよ。それじゃあ、こちらでの予備実験も出来ませんよ」
「そこを何とか」
「じゃあ、本業では無いですから、アイディアはあげますよ。そちらの設備で実証出来れば、使って構わないですよ」
「設備は、、、無い」
「無いって、今使っているヤツは?」
「設備フル稼働状態なんで、空きが無いんです」
「それは、好景気そうでイイですね」
「おかげさんで」
「いや、皮肉なんです。せめて土日くらい空きませんか?」
「え、シートンさん、土日に出てきて実験してくれるんですか?」
「タダ働きで、土日にそちらに伺うなんてイヤですよ。でも、条件振りが必要なら協力しますが」
「無理です。人がいないので」
「まあ、土日に出てくるのは厳しいですよね」
「土日も出勤してますが、そうではなく、研究開発に振れる人がいないんです」
「すいません。もう、何言ってるかわかんないです。カネなし、ヒトなし、設備なし?これで、業界最大手の技術に勝てっていうんですか?」
「何とかなりません?」
「なりません!!」
「安く、設備の変更もいらず、性能の優れた技術、出てきませんかね?」
「そんな虫のいい話があったら、私が欲しいわ!」


少し縮めたものの、話の内容はほぼこの通り。本当に、こういう話が出てきたんだよ!
一応は大企業なんだけどね。


企業との共同研究で思い知ったことなんだが、とにかく安く値切りたがるし、導入もイニシャルコストもケチるのに、ランニングコストは無頓着。長期的に見て得だ、とか、この技術を導入して高付加価値を付ける、とかいう話が通じにくい。


大企業でもこれなので、中小企業となると、新規開発に当てられる人材・金・設備はほぼ無い。親会社の要求をこなすのでいっぱいいっぱい。これで、イノベーションだ、新規産業だ、といっても対応出来るだけの余裕が失われている。
トヨタ方式の「乾いたゾウキンを絞る」効率化は、上位の企業にとっては都合が良いが、下請関連企業の力を損なっているとしか言いようがない。
こうして考えると、日本の技術は優れている・スゴイ!的なのは勘違いで、日本の技術は(その中身の割には)安い、のだ。だから、薄利多売を目指すし、(その技術による)製造コストを転嫁出来ない分、社員の給与も上げられず、残業頼みになってるんだろうな、と思う。

WiLLおじさんと呑んだくれ

先日、駅のホームで近くにいたオッサンが膨らんだカバンの中をガサガサと引っ掻き廻し始めた。ふと見ると、大量のお菓子が入っている。それも、田舎のばーちゃんとこで、お盆や年末年始に菓子盆に入れられているようなヤツ。思わず見ていると、そのかさばるお菓子の中から一冊の見覚えある装丁の雑誌を取りだした。
何と、WiLLじゃないの。
オッサン、おもむろに手にしたWiLLを読み始める。列車が来て乗り込んでも立った状態でも読み続けている。なるほど、噂に聞いた中高年の極右化、というヤツか。まあ、元々素地はあったのだろうと思う。昨今の環境により“発芽”したのだろう、と慨嘆する。
それにしても、WiLLを衆人環視の中で読む、なんて真似が出来るのは、すでにああしたものが社会に受け入れられているからなのだろう。オレにとっては、極右本を読む、なんてのはエロ雑誌を手にするより恥ずかしいことだが。どういう羞恥プレーなのだ。

同じ日の夜、某大学教員や某研究所の方々と呑んだのだが、話題となったのが、奨学金と外国人留学生の扱いだった。皆の意見はほぼ一致しており、つまり、現在の奨学金奨学金では無く、学生ローンに他ならず、学生が気の毒だ、というもの。
自分も、奨学金を得て、ついでに授業料免除も受けていたから、随分と社会に借りがある。職業が職業だから奨学金は返済免除された。だから、せめて奨学金と授業料分くらいは、育ててくれた社会に恩返ししたい、と考えている。一応、金額でいえば、返せたのではないか、と思ってはいるが。
そして、是非、奨学金は返済不要とすべきだよな、とも思う。それが、若い人を育てる源泉ではないか、と。
さらに、外国人留学生(技能実習生も含む)の扱いも酷いのではないだろうか。せっかく日本で学ぼう、と考えた人々を惨く扱えば、その体験は本国に伝わる。むしろ、日本で学んだ体験が素晴らしいものであれば、つまらない「クールジャパン」のような宣伝をしなくても、日本の評判を上げてくれるだろうに。そして、日本企業が当該国に進出する際の貴重な戦力となってくれるのに。
現在のやり方では、人件費削減のために、日本の就学環境の悪さと、外国人に対する差別的取り扱いを諸外国に大声で触れまわるようなものだ、と。
このような話に皆共感していた。そして、ふとWiLLおっさんを思い出し、すでに日本は分断されているのだ、と実感した。お代りのビールは苦かった。


信者を集めて年収1千万? カルト化するネトウヨ商売の闇
http://bunshun.jp/articles/-/8115

7/15 コメントを下さった hiro.y さんの御指摘によりリンクした記事のURLを修正しました。
hiro.yさん。御指摘感謝いたします。